第3話 プロローグ(遠い過去の甘い思い出?)(3)
「も、森ざまゆるじてください。もうにどど、あだなにえっじなごとやいやらじぃごとをじませんからゆるじてぐだざい」
と、幼い僕は【鬼武蔵】に対して泣きながら命乞いをするのだ。
「あっ、ははは~。いっ、ひひひ~。へっ、へへへ~。竹千代は本当に面白いね~。アーシを退屈にさせないわ~」
お約束のようにいつも、吉姉さまが自身のお腹を押さえ、抱えながら歓喜してくれるから。
だから【鬼武蔵】の奴が僕に対して、
「竹千代は何時もそう言っては命乞いをするけれど。姫様の命での相撲競技の最中にうち等に変なこと、エッチ、スケッチなことばかりするから。今回は絶対に許さないからね~!」と諫めてくるから。
「あっ、ははは~。竹千代は岡崎だから情けねぇ~」
「流石竹千代は人質の子だ~。あっ、ははは~」
まあ、こんな感じだよ。馬鹿な二人はね。
そう僕のことをいつも嘲笑い、侮り、揶揄してくる。
『クソ~、いつかは見ていろよ~~~! 恒興と犬千代~~~! お前ら~、二人の首は必ず僕が獲ってやるからな~~~!』
僕は嘲笑う二人のことをいつも自分の奥歯を噛み締めつつ誓い。決意の方を何度もしたぐらいあいつら二人のことが歯痒くて仕方がない。
でもさ? サディスト女王さまの吉姉さまが、僕が【鬼武蔵】に顔の容姿がかわるぐらいしばかれ、折檻をされ続けるのを凝視したぐらいでは、彼女の根っからの苛めっ子の性癖が収まる訳ではないから。
「よ~し、竹千代は可成に負けたから次は恒興~、お前がいけ~。お前が~! わかったなぁ~?」
僕が終われば今度は恒興か犬千代のどちらかになる訳だから。僕が地面を枕にシクシクと泣いていれば。今回は恒興に指名が上がり。
「えぇえええっ!」
恒興の奴の顔につく両目が大きく見開き──飛び出そうなくらいあいつは阿保だから自分を指さしながら驚愕するけれど。
【鬼武蔵】の奴はニヤリ! と微笑みながら自分の指をポキポキと鳴らしながら恒興とのタイマン勝負を嬉しそうに首を長くして待っているから訳だから。
【鬼武蔵】の奴は恒興と目が合えば──自分の指を使用してクイクイと誘う。
「うりゃあああっ! このアマがぁあああっ!」
だから恒興の目がカッコ良くキリッ! と上がり。阿保なあいつの口から覇気! 威勢のある声が吐かれつつ、ふんどし姿の【鬼武蔵】へと猪突猛進──!
恒興は捨て身タックル! 体当たりを決行するけれど。【鬼武蔵】の奴はスペインの闘牛士のようにヒラリと恒興の捨て身タックルをあっさりと交わし。
《ドン!》
【鬼武蔵】の奴は自分の両手を合わせ、握り締め、振り上げると。彼女は避けた瞬間に恒興の背に振り落とし殴るからあいつの身体はそのまま地面に轢かれた蛙のように大の字で「うげっ!」、「げろ!」と変な顔と声を漏らしながら倒れ込んでしまうから。
「ほら、ほら、立てよ~。恒興~! こんなんじゃうちも遊べないから面白くなし~。姫様も満足できないだろうが~! ひっ、ひひひ~。はっ、ははは~」
今度は僕ではなく、恒興がサッカーボールへと変化~~~!
だからあいつは悲痛な表情でダンゴムシ……。本物のサッカーボールのように自分の身体を丸め、大事な個所をガードしながら。
「うげっ!」
「うぎゃぁっ!」
「うごっ!」
「げろげろ」と最後には嘔吐するぐらい。【鬼武蔵】の奴から顔や身体中を踏み、蹴られまくり、悲痛な様子なのだが。
「あっ、ははは~」
「ひっ、ひひひ~」
「えっ、へへへ」
【鬼武蔵】の奴は気が触れ、逝ったような恐ろしい顔で薄気味悪く笑いながら恒興の奴を折檻、虐め回していくのだ。
「あっ、ははは~」、
「ひっ、ひひひ~」
恒興の凄く悲惨な様子……。自分の口から嘔吐を吐き。その後は自分の歯を食いしばりながら男泣き……。嗚咽を漏らすあいつを見て吉姉さま大変に歓喜している。
『マジであいつ生意気だけれど。可哀想だな……』と僕が思うことはない。
『恒興~、ざまぁみろ~! お前が他人のことを笑うからだ~。いっ、ひひひ~。ひゃぁ、ははは~』と心の中で歓喜していれば。
「恒興~。アーシと乳姉弟の癖にそのざまはなんだ~? あんたは~、竹千代よりも弱いじゃないか~? このまま無抵抗で可成に負けたら後でアーシが折檻して、今晩の食事も抜きだからね~、わかったぁ~、恒興~?」
吉姉さまは自分の乳姉弟が余りにも不甲斐無いからと憤怒! 彼女は怒りをあらわにしながら唸りつつ恒興を脅し始める。
だから恒興の涙はピタリと止み、物考えしている顔へと変化……。
そうあいつは、将来の方は意外と策士であり、有望株……。
あの
あいつが吉姉さまの酷い、訓練と言う名の虐めの中で、いつもように頭の中で策を練れば、将来戦上手の片鱗を魅せ──。恒興の奴は超がつくほどの奇策を使用するのだった。
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