第86話 告白? (2)

 だからだろうか?


 俺のいつもの苦笑い、薄笑い、にへらや、いやらしい微笑みすら浮かべない無感情な褒め称えに対して今川氏真今川家の悪役令嬢さまは、自分の顔を夕日に照らされた茜色ではなく、桜色にポッ! と染め、照れ恥かしそうな態度をとったと思うぞ?


 でッ、乙女、いじらしい態度をとったアイツなのだが。自分が俺に対してデレたのを直ぐに悟ると、ムッと不快感を募らせたいつもの雪女……。ツンツン悪役令嬢さまへと変身──! トォ、オオオッ! して。


「あなた~、わらわの御機嫌取りをしても何もでませんよ~」


 今川氏真今川家の悪役令嬢さまは薄ら笑いを浮かべつつ俺へと告げてきたけれど。

 先ほども俺が説明をした通りで、あの時の俺は以前からアイツのことを彼女にする食べてみたいとは思っていたけれど。あの日ほど今川氏真今川家の悪役令嬢さまを自分の物──。女にしたいと思ったことはなかったと思うぞ! 


 だから俺は今川氏真今川家の悪役令嬢さまへと自分の胸を張り、空威張り、エッヘン! と言った容姿で。


「僕は別に氏真さまの御機嫌取りをしたいがために美しい、奇麗だ! と思った訳ではございません! 僕は本気! 心から氏真さまを綺麗だなぁ~と本気で思いました。だから氏真さま、僕の物、嫁になってください。お願いします」


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