第26話 まだ終わっていないでごじゃる(1)

「竹千代殿?」

「何でございましょうか、雪斎和尚さま?」

「貴方様は何故、儂が太原雪斎だと言う呼び名だと、直ぐに理解が出来たのでござるかな? 儂は竹千代殿とは一切面識がない者……。爺とは初対面の筈じゃが?」


 俺がチビ、ガキの癖に大人染みた妄想……。また凝りもしないで織田信長執着して、阿保の妖艶な容姿……。様子……。振る舞い……。ああ~、行動を思い出しては懐かしさと、切なさに打ちのめされ、哀愁に浸りつつ、更に武術の最中のどさくさに紛れて、森可成や佐々成政のオ○パイを鷲掴み──ワシワシ、モミモミ、耳や首筋、尻をガシガシと齧りついては貪り、悪戯した日々のことをついつい、自分の腹部の下にある大事な物を大きくそびえ立たせながら、織田家でのハードな丁稚奉公生活を懐かしくも、寂しくノスタルジックに思っていると。

 太原雪斎和尚が俺に尋ねてはならぬこと……。


 そうやはりこの和尚さんは只者でない問いかけ……。俺はマジでどうしよう? どう答えたらいいのだろうか? と思案をすれば。


「和尚の言う通りで、ごじゃる……。麻呂は雪斎和尚の事を和尚と呼ぶで、ごじゃるに。何故竹千代は和尚の事をだと知っておったので、ごじゃるな? 麻呂も不思議でならぬで、ごじゃる?」


 雪斎和尚さんが急に変なことに細かく気がつき、未来人の俺へと尋ねてきたから、志○けんさんの馬鹿殿さまみたいな、ごじゃる、の今川の親父さままが、気持ち悪く可愛く首を傾げ俺へと尋ねてくるから。

 俺は爺二人へと何と答えたらいいか? と思案を始めるのだった。



 ◇◇◇



 う~ん、う~ん、と爺二人にばれないようにしながら呻り、思案をする俺なのだが。


 う~ん、う~ん、と脳内で呻るとしてもさ、やはり自分の顔に、それなりの表情が百面相のようにコロコロと変わりながらでている訳でござるから。


「竹千代どうした? 厠へでも行きたいのか?」


 今川の親父さまはいつも、何だかんだと言っても俺のことを買い、優しいから、気づかいして、身体のことを、心配をしてくれて尋ねてきた。


 だからあの時の俺は直ぐにラッキーだ! と思った。


 だって爺二人の問いかけに対しての言い訳が、あの時の俺には中々思いつかないから、マジで困り果てていた時に、今川の親父さまから助け船のお蔭で一時的だが、謁見の間から逃げ──トイレに籠り、ゆるりと思案をすることが可能だから。はぁ~、よかった! と安堵すれば。


「御方さまの言われる通りで、トイレでございます……」


 俺は自分の頭を深々と下げ──一礼しながらモジモジと落ち着きない様子を装いつつ、今川の親父さまへと告げた。


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