第26話 まだ終わっていないでごじゃる(1)
「竹千代殿?」
「何でございましょうか、雪斎和尚さま?」
「貴方様は何故、儂が太原雪斎だと言う呼び名だと、直ぐに理解が出来たのでござるかな? 儂は竹千代殿とは一切面識がない者……。爺とは初対面の筈じゃが?」
俺がチビ、ガキの癖に大人染みた妄想……。また凝りもしないで
太原雪斎和尚が俺に尋ねてはならぬこと……。
そうやはりこの和尚さんは只者でない問いかけ……。俺はマジでどうしよう? どう答えたらいいのだろうか? と思案をすれば。
「和尚の言う通りで、ごじゃる……。麻呂は雪斎和尚の事を和尚と呼ぶで、ごじゃるに。何故竹千代は和尚の事を太原雪斎だと知っておったので、ごじゃるな? 麻呂も不思議でならぬで、ごじゃる?」
雪斎和尚さんが急に変なことに細かく気がつき、未来人の俺へと尋ねてきたから、志○けんさんの馬鹿殿さまみたいな、ごじゃる、の今川の親父さままが、
俺は爺二人へと何と答えたらいいか? と思案を始めるのだった。
◇◇◇
う~ん、う~ん、と爺二人にばれないようにしながら呻り、思案をする俺なのだが。
う~ん、う~ん、と脳内で呻るとしてもさ、やはり自分の顔に、それなりの表情が百面相のようにコロコロと変わりながらでている訳でござるから。
「竹千代どうした? 厠へでも行きたいのか?」
今川の親父さまはいつも、何だかんだと言っても俺のことを買い、優しいから、気づかいして、身体のことを、心配をしてくれて尋ねてきた。
だからあの時の俺は直ぐにラッキーだ! と思った。
だって爺二人の問いかけに対しての言い訳が、あの時の俺には中々思いつかないから、マジで困り果てていた時に、今川の親父さまから助け船のお蔭で一時的だが、謁見の間から逃げ──トイレに籠り、ゆるりと思案をすることが可能だから。はぁ~、よかった! と安堵すれば。
「御方さまの言われる通りで、トイレでございます……」
俺は自分の頭を深々と下げ──一礼しながらモジモジと落ち着きない様子を装いつつ、今川の親父さまへと告げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます