第170話 あとがき(9)

 俺は瀬名新妻さまに悪態をつく訳でもなく。その場で直ぐにド~ン! と正座──!


 まあ、男らしくと言った言い方をするのは少し変化もしれないけれど。俺は誠心誠意……。瀬名新妻さま朝比奈泰長泰長が悪い訳ではなく。全部、エッチ。スケッチ・ワンタッチ! な、変態タヌキ爺が悪いのだと告げた。


 だから朝比奈泰長泰長のことを叱らないでくれと嘆願をした。


 でも俺はここであることに気がつくべきだった……。


 そう普通はこんな場面……。主家の婿……。


 それも今川家の跡継ぎにするために織田家からの人質交換できた俺のことは、朝比奈家の次の当主候補の朝比奈泰長泰長も承知のはずだ。


 なのに朝比奈泰長泰長は俺と一緒に仲良く、主家の姫である今川氏真瀬名に浮気の件で謝罪をしないといけない身の上の癖にさ。


 あの日! あの時の朝比奈泰長あいつはいつものようなツンツンではなく、只自分の顔色を青く染めながらソワソワと落ち着きのない様子でね。瀬名新妻さまの顔色を窺うよりも、俺の顔色ばかりを窺っていたのだ。


 それでも俺はこの後に起きる衝撃的な出来事のことなど、この時点ではまだわからない。知らないから。

 俺は可愛い瀬名新妻さまに、婚姻したばかりだけれど。何とか朝比奈泰長泰長を俺のもう一人の奥方もしくは側室にできないか? と。この後も何度も瀬名新妻さまに遠回しに嘆願をしたのだ。


 この後! 謝罪後に! 瀬名新妻さまの強力足蹴り……。サマーソルトキックや延髄蹴り、かかと落としやポピュラーな回し蹴り、横蹴り、前蹴りを叩き込まれ、食らってもいいから瀬名新妻さまへと平に平に嘆願を続けた。


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