第28話 まだ終わっていないでごじゃる(3)
「ふむ、そうで、ごじゃるかぁ」
「はい、そうでございます……」
あの時の俺は、中身はアラサー男だけれど、外見はまだ子供なのに大人……。自分の復讐心のため……。爺二人を利用するために嘘偽り……。策を練り助言をしたのだ。
だってまだあの当時は、織田信秀は織田家の分家で家老の身分……。一族を統一して戦国武将の第一歩を踏み出すのは、
なのに? 俺は今川の親父さまに
だから後ろめたい俺は、今川の親父さまへの回答に対しても頭を上げることができずに下を向いたままでいる。
「和尚、どう思うで、ごじゃる?」
「種子島ですか?」
「うむ」
「……弓よりも連続射撃に劣り、雨の日では使用ができない武器だと思いますが」
「でッ、あるな」
「はい」
まあ、こんな感じだよ。下を向く俺の耳に入る爺二人の会話は、前世の俺が映画やドラマで見た中世的な戦国大名達……。織田信長に敗れ、歴史の途中で消えてゆく英霊達の台詞をドラマ通りにこの後も続けていくから本当に困ったものだと、あの時の俺は思ってしまった。
う~ん、やはり時代の風雲児──! 生まれながらに持つ他人よりも優れた感性、発想力……。そして好奇心がある上に日本人らしい追及心……。そう何でもカスタム化して、他国よりもよい物を造ろうとする日本人のよいところが特に秀でているのが織田信長公だと俺的には思うのだが。爺二人はやはり駄目だと、あの時の俺は呆れ返りながら思った。
でもあのまま爺二人を放置をすれば俺はアイツら二人……。
「御方さま?」
俺は今川の親父さまへと懲りずの声をかける。
◇◇◇
「……ん? 竹千代は麻呂と和尚の会話を聞いて何かしら意見があるのか?」
「はい。少しばかりありまする……」
「そうか、なら言ってみるで、ごじゃる」
本当にさ、俺は後々思うけれど……。今川の親父さまって、俺のことが可愛い? と言うか……。本当に才能を買ってくれていた……。
う~ん、それとも俺が考えるよりも他人を見る目に優れていた?
だから一介のお坊さんだった太原雪斎和尚を召し抱え、自分の側に置き軍師として意見を聞き──国人衆達を押さえ、取り込み、東海道一の弓取と言われる戦国大名へと上り詰めた訳だから。やはりかなりの人物なのだろう? ガキの俺の意見を聞いてくれると告げてきた。
だから俺は「はっ、ははは、はぁ~」だよ。
また生前観た時代劇の武士のようにガキながら畏まって、更に頭を下げる。
「火縄銃は確かに弓よりも連射は遅く、遅れがち、不発もありますが飛行距離と的への到達時間──殺傷能力は上でございます……。それに火縄銃の数だけ揃えれば隊列を組んで、順番に射撃をし、連射をしているように敵に錯覚をさせ欺くことも可能でございます。それに雨降りならば火縄銃の火縄を濡れないのに傘持ち隊を作るなりして雨避けをさせるてもありますが。こちらの陣を柵などして馬止めの要塞化……。火縄銃が雨に濡れないような仮設の建物の中から順序よく連射をさせる手もありますが。もしかするともうすでに連射可能な銃が南蛮の船に取りつけられている可能性もありますから。それを購入する手もありますし。まだ誰も知らぬ大筒なる新型兵器を南蛮人は持っている可能性だってありますから。それを他家よりもいち早く購入して今川家を最強とする手立てもございますが、どうでしょうか、御方さま?」
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