第30話 まだ終わっていないでごじゃる(5)
「えぇと、あの、ですね、御方さま……。【早合式】と言いまして……」と俺があの時に恐る恐ると呟けば。
「うむ」と今川の親父さまへは本当に興味津々……。俺の話をまさに食い入るように……。
そう、あの時の三人は、自分達の上半身を前かがみで乗り出しながら今川の親父さまと雪斎和尚……。
そして俺には誰だかわからない武士の兄ちゃん……。多分俺の守役の兄ちゃんだと思う人達が真剣に聞き始めたから。
「早合とは木、竹、革……。または紙を漆で固め、それを筒状に成型して、種子島の弾や火薬をその中に入れ筒状にした物で、弾の中身は底から弾・火薬の順に詰められ、弾の頭部は弾丸の径よりも小さく造られて、口は革製のたんぽ、木栓、またはキャップ状の蓋などで塞がれている物を種子島の弾として製造した物で、種子島の銃身からの火薬詰めや弾詰めを簡易化したものでございます。そして装填方法はと言いますと? 早合式の場合は先ず蓋または栓をとり、立てた銃の銃口へ蓋をとった一端から火薬とそれに続く弾を一気に注ぎ込み、更にかるか、または、さくじょうを使用して薬室に衝き込むという方法るのですが。この作業を訓練すれば二十秒前後で弾詰め発射が可能になります、御方さま……」
はぁ、はぁ~と俺は武士らしく頭を下げた。
「フムフム、なるほどで、ごじゃるなぁ」
あの時の今川の親父さまは俺の説明を首肯しながら感心したのだけれど。この爺、俺が言っていることを本当に理解ができているのか? と半信半疑な思いとジト目で爺をあの時に見たと思うよ?
だって太原雪斎和尚や武士の兄ちゃんの二人はポカ~ンと自分の口を開け、異次元の話を聞いて理解ができない顔をしていたからだ。
でも今川の親父さまの、おじさん本当に僕の説明を理解できているの? と生意気に尋ねれば俺の首がポン! と飛ぶから尋ねるのは辞めて。
「はい」と俺はまた深々と頭を下げ、頭を上げると。
「大筒と言う物は別名大砲とも言いますが、瀬戸内の村上水軍が使用する焙烙玉とは違い、爆発! 燃える! と言うことはございませんが。種子島の砲弾が僕の頭ぐらいはある物を使用して発射するので、発射音も大変に大きく、弾が発射されれば敵の兵士や馬なども恐れ戦き、怯えますから、敵の士気が下がるのと地面に大きな穴が開くので、敵は戦意喪失し、武田の騎馬隊であろうとも恐れ戦いて退却とまではいきませんが、必ず後方に下がり、こちらの出方を窺うことは間違えないと思われるのと。この今川館程度の防御では数発で破壊することが可能だと思います。だから大筒は敵の町を破壊するのと館や砦……。そして今噂になっていると思いますが? 大和の松永久秀さまの多聞山城などの、今から増えること間違えない、強固な城郭を兼ね揃えた天守閣の城を攻撃、破壊するのにも、もってこいな武器で、水軍同士の戦でも敵の安宅船に穴を開けることも可能な兵器なのでバテレンの軍船には搭載されているのでございます。はい」と。
今度は今川の親父さまや雪斎和尚、武士の兄ちゃん達へと俺は大筒の説明と簡易的だが戦での使用方法……。
後に織田信長公が長篠の戦場で武田勝頼相手に大筒を使用したのではないか? と言った逸話……。武田勝頼は大筒の音と攻撃力によって冷静さを失ったのではないか? と言われている逸話を俺の予想話として三人へと話し。攻城戦や海戦にも使用ができて、有利に戦えるとも説いた。
「「…………」」
流石にここまで俺の話を聞くと今川の親父さまも顔色を変え、開いた口が塞がらない状態で三人仲良く黙り込んでしまうのだった。
◇◇◇
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