第84話 悪役令嬢様の態度が急変? (7)

 まあ、告げられて。その後はラブコメのお約束で三人や四人、五人、酷い時は他の令嬢さま達から足踏みの刑を食らうほどの、まあ、俺は人気振りだから。数正の兄ちゃんや鳥居のヤンキー兄ちゃん達も呆れ顔や嘆息、苦笑いを浮かべるから、屋敷の廊下を忙しく歩く女中の姉ちゃん達も俺の様子を見て。


「まあ、若さまは本当に何時見ても面白ですね」とクスクスと明るく微笑む。


 でッ、時には、今川館の廊下を優雅に歩く、重臣達の人質として入館している淑女の麗しいお姉さま達も俺達のラブコメ騒動を見て。


「本当に竹千代さまは面白い御方ですね~。ふっ、ふふふ」


 と優雅に笑ってくれるようになるほど。俺の今川家の立場は日に日によくなっていった。


 そんな中で、俺がいつもの武術の鍛錬を終え、日本人らしく湯浴びをしにいこうと廊下を歩いていると。


《ポン!》


《ポン! ポン!》


 リフティング蹴鞠の音がするから、氏真か? また一人でリフティングをしているのか? と思いつつ。ちょっと湯浴び前にアイツに挨拶でもしておくか? オ〇パイぐらい握らしてくれるかも知れないし? と。


 俺は阿保でいやらしいことを『いっ、ひひひ』と思いつつ、今川氏真今川家の悪役令嬢さまの尻を追いかけにいくと。夕日が沈む中……。庭の木々が茜色に染まる中での、今川氏真今川家の悪役令嬢さまの茜色に染まりながらリフティングをする美しさ、可憐さに俺はついつい魅入り呆然と佇みながら、奴に声をかけるのも忘れ見詰めてしまうのだった。




 ◇◇◇

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