第33話 まだ終わっていないでごじゃる(8)

「何で、ごじゃる、か、竹千代?」


 武田信玄公との戦話の話を変えるために、俺はあの時に北条氏康公の話へと切り替える為に今川の親父さまへと声をかけると、少しばかり安堵したのかな? 武士もののふの顔から、お○ゃる丸……。穏やかな公家顔へと変わっているためか? 今川の親父さまは御機嫌よく直ぐに俺へと声を返してくれたと思う?


 まあ、そんな今川の親父さまへと声を返す俺だから、微笑みつつ。


「御方さまと北条氏康さまは遠縁になるのでは御座いませんか?」


 俺は近代日本の歴史の中で、関東北条氏の祖である、伊勢宗瑞北条早雲は今川家の家老をしていたとか? 北条早雲殿の姉妹が今川家へと嫁にきているともSNSか? 織田信長の○望ゲームの攻略本で観て読みした記憶があるくらい。伊勢宗瑞北条早雲殿には色々な諸説があるから尋ねてみた。


「う~ん、まあ、そうで、ごじゃるな……。麻呂のお祖母様がそうであったようで、ごじゃる、が」


 俺の問いかけに対して、今川の親父さまは億劫おっくう気味に言葉を返してきた。


 俺はそれを聞き、「ならば北条家との同盟は安易なのではないですか?」とガキらしくない振る舞いで、気軽に言葉を返した。


「う~ん、まあ、そうで、ごじゃる、が。氏康とは国境の紛争で何度も戦をしているで、ごじゃる。それに竹千代。お主も知っているように鎌倉もあるから麻呂も氏康も小競り合いが絶えぬで、ごじゃる」


 あの時の今川の親父さまは何故か、ガキの俺が知らなくてもいいことを包み隠さず教えてくれたのだ。


「……鎌倉さまですか……」

「うむ、できれば麻呂は鎌倉の鶴岡八幡宮を庇護し、奉りたいので、ごじゃる……」

「そうですか」

「ああ、そうで、ごじゃる……」

「ですよね……。あっ、はははははは」


 俺は今川の親父さまの話を聞き、そうか~、この駿府ならば近いもんな~、鎌倉さま~! 武家の家ならば自分の武力、財力を他家に知らしめるために鎌倉の鶴岡八幡宮は庇護下に置きたいだろうな~。特に武家の頂点に立ちたい野心のある今川義元公ならば、自分の家のハクをつけ、近隣の国人領主を従えるために鎌倉さまの威厳にあやかりたい気持ちがあると思うから。


「それならば関東管領の上杉憲政公や足利公、里見公などと手を組まれてはどうですか?」


 俺はあの時に今川の親父さまへと同盟の提案をした後に、鎌倉が欲しいと言っていたことを思い出して、上杉憲政や長尾景虎と同盟を組むのは難しいな、と思うから、直ぐに言い直して。


「……御方さま、西には京にいくまでに、琵琶湖を抜けるのではなく、斎藤と浅井を無視して、海沿いを進軍すれば堺と摂津を目指すまでに伊勢神宮がありますよ。だから鎌倉さまは諦めて、伊勢神宮を庇護し、上京して天子さまにお会いをすると言った策もございますよ……」


 俺は、ひっ、ひひひ、と闇の軍師のように薄ら笑いを浮かべつつ今川の親父さまに鎌倉さまは諦めて伊勢神宮を庇護すればどうですか? と代案をだすのだった。



 ◇◇◇




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