第51話 パンツ?

 図書館に来ている。そいとげもソワソワしながらいる。茉白ちゃんと佳さんが入ってきた。


「よう、軽重かるおもコンビ!元気か?」早速佳さんがイジってくる。


「「こんにちは」」二人でぺこりとシンクロして頭を下げる。


「こんにちは」茉白ちゃんが微笑んでくれる、ちょっとドキっとした。


「あのう………これ………ホワイトデーの………」そいとげが紙袋を震えながら差し出す。


「お、そいとげ君、ありがとね」佳さんは受け取るとすぐに開けようとした。


「え〜!ここで開けるんですか?」そいとげは固まって震える。


「えっ、ダメなの?」


「あのう………………………」


 佳さんはニヤリとして紙袋を開ける。


「おっ!」佳さんは中身を引っ張り出した。


 レースやリボンが付いた可愛いパンツがみんなの前に披露される。茉白ちゃんはそれを見て息を呑む。


「そいとげ………マジか………」僕も息を呑んだ。


「そいとげ君!ここへ来なさい!」佳さんが鋭く睨んだ。


 そいとげは泣きそうな顔をしてフラフラと佳さんの前へくる。佳さんはそいとげの頭をくしゃくしゃと撫でた。


「そいとげ君、君はなかなかいいねえ、見どころがあるよ」


「う………」


「このパンツを履いた画像を送ってあげようか?」佳さんはニンマリしている。


「お………え………あ………」そいとげの頭は火山になって大量の蒸気を噴火した。


「佳ちゃん、変なこと言わないで!」茉白ちゃんが袖を引っ張る。


「いいじゃん、そいとげ君はこれを履いて欲しいんでしょう?」


「ま………まあ………そうですけど」


「じゃあ今度内緒で画像を送ってあげるよ」笑っている。


「はい、宝物にします!」嬉しそうだ。


「何も秘密になってませんけどね」僕はドン引きした。


「これは僕からです」僕も紙袋を差し出した。


「おっ、もう一つパンツが増えるのかなあ、今度はどんなやつう?」ニヤリとした。


 受け取るとすぐに開けている。中からハンカチが出てきた。


「なんだ、期待したのに、ねえ茉白?」ハンカチを広げて茉白ちゃんに見せている。


「ヤホー!自分だけいい子になろうとしてるのか!」口を尖らせた。


 茉白ちゃんは少し安心したようだ。


「ヤホー君から茉白へのお返し、見たよ〜、愛が溢れてたねえ」横目でニヤリとした。


「そいとげ君の欲望が溢れた物も、私大好きだけどね」さらにニヤけている。


「もう佳ちゃん、みんなを引っかき回すのはやめてよ!」少し睨んだ。


「ん………でも私がいなかったら茉白とヤホー君はきっと何も進んでないよ?」


「う………多分そうだけど………」茉白ちゃんは俯いた。


「そうですね、僕は佳さんに感謝してます、おかげで素敵な日々になってるので」


「よしよし、ヤホー君はよくわかってるじゃないか」まるで上司のような言い方だ。


「もう………」茉白ちゃんはモジモジしている。


「そいとげ君も素敵な日々になるよう、私の彼氏候補の一人に加えてあげるから頑張って努力するように!」


「はい!俺頑張ります」拳を握った。


 その後みんなで駅カフェへ行き、楽しい時間を過ごした。

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