第61話 監視されるの?

 図書館で作業をしているとまた赤松部長が現れた。


「部長お疲れ様です、本日はどの様な案件でしょうか?」


「今日は軽井沢の件だが、当日茉白は私の部屋でオシャレして行くことになってる。その事をエスコートするヤホー君に教えておいてあげようと思ってね」また顎を触っている。


 佳さんのイメージではどんな髭なんだろうと思った。


「とっておきの情報を頂きまして感謝いたします」僕は深々と頭を下げる。


「茉白はとっても楽しみにしてるから、くれぐれも粗相のないように努めてくれたまえ」


「承知いたしました、最善を尽くします」


「うん、まあそんなに緊張する必要は無いから大丈夫だよ」


 赤松部長は偉そうに出て行った。


「エスコートか………」独り言がこぼれ落ちる。



 帰った僕は外出用の服を着てみた、思ったよりも小さい。最近身長が伸びたので服はほとんど小さくなっている。そこへ琴音さんが帰って来た。


「どうしたの星七?」


「身長が伸びたので………」


「ふふふ………子供の服を着ているみたいね」笑っている。


「まだ時間も早いから駅ビルまで行ってみようよ星七!」


「でも………」


「茉白ちゃんに恥をかかせていいの?」全てを察してますと言う表情だ。


「それは嫌ですけど………」


「いいからおいで!」


 琴音さんは僕を引っ張って駅ビルへやってきた。


「どんなのがいいかなあ………ちなみにどこへ行くの?」


「軽井沢ですけど」


「もしかして泊まりなの?」強い視線が飛んでくる。


「ち、違いますよ、そんな訳ないでしょう!」


「そう、だったらいいけど………」


 結局琴音さんは僕の服3着とコートを買ってくれた。


「すみません、いつも買って頂いて………」


「いいの、星七は私の着せ替え人形なんだから。今回は少し大人っぽくしたから茉白ちゃんドッキリするかもよ?」ニヤリと口角を上げた。


 食事も済ませて帰ってきた。琴音さんはスマホを持って僕の横へ来る。


「ねえ星七、GPSを設定するよ」ニッコリ微笑んだ。


「えっ、どう言うことですか?」僕は何度も瞬きする。


「星七が何処に居ても分かるように設定するのよ、もし茉白ちゃんと変なとこへ行ったら直ぐにバレるように監視するの」ニタニタしている。


「それは………心配しなくても日帰りだし、それに何もありませんよ………」


「世の中は何があるか分からないの、もし茉白ちゃんが迫ってきたらどうするの?」


「そんな事は無いですってば!」


「何も無いんだったらGPS設定しても問題ないじゃん、私も分かるようにするから平等じゃん」


「意味がわかりませんよ?」


「いいの、その方が安心なの!」


「まあ何も無いんで良いですけどね………」どうせ僕の言うことは聞いてくれないんだ。


僕は諦めて琴音さんの奴隷に戻った。

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