第66話 ヤキモチ?

 僕とミコトさんは土日のバイクイベントへ2台のバイクで行くようになっている。玲司さんと相談して女性バイカーへバイクを好きになったきっかけや、好きなバイク、困った事と対策、今後の夢などをインタビューした。了解が取れたら一眼レフカメラで写真を撮らせてもらう。そしてそれらを文章にまとめ写真と一緒に玲司さんへ提出する。問題がなければSNSへアップした。


 美琴さんがフォローして紹介してくれたので、直ぐにフォロワーは10万人を超えた。そしてその中からピックアップされたものが雑誌に掲載される。初めて自分の書いた記事が雑誌に載って嬉しかった。僕は自分でその雑誌を購入してリビングでニヤニヤしている。琴音さんも自分の事のように喜んでくれた。


「良かったね星七」


「琴音さんのおかげです、勿論玲司さんのおかげでもありますけど」


「よしよし、私を大切にしたほうがいいよ」僕の頭を撫でる。


「はい、勿論大切にします」


 琴音さんは嬉しそうだ。


「明日は久々にミニスカートだなあ………」


「そうですか、最近はミニじゃなくてゲストでトークショーの方が多いですよね」


「そうね、いつまでも足を出してばっかりはね………」


 翌日イベント会場の本部テントでミコトさんはミニスカートになった。僕はいつものようにミニスカートをめくり点検している。


 『カシャ!』突然スマホを向けられ映された。


 数名のユニフォームを着た女性の一人が、呆れた顔でスマホの画像を見せてくる。


「ミコトさん、これを見てどう思います?」


 そこにはミコトさんのミニスカートをめくって真剣に中を見ている僕が写っている。


「あら、なんか生々しい画像ね、これを見られたらまずいかも………」


「そうですよ、星七君のファンが泣きますよ」スマホを持った女性が頷く。


「「えっ………」」僕と琴音さんは一瞬固まる。


「星七君のファンも増えてるんですから、考えてあげた方がいいですよ、ねえ星七君」ニコニコと僕を見ている。


 しばらく考えたミコトさんはゆっくりと頷いた。


「そうね………いつまでも可愛いイトコの子って訳には行かないわね」口角を上げた。


「そうですよ、これ消去しておきますね。星七君、これからも頑張ってね、私たちもフォローしてるのよ」ニッコリと首を横にして微笑んだ。


 イベントが終わって帰って来た琴音さんはリビングで少しイライラしている。


「どうしたんですか琴音さん?」


「何よあの女!結構イラつくんですけど………星七がカッコよくなって来たことは認めるわよ、でも何なのあの言い草は!」頬を膨らませている。


「えっ………」僕は目が点になる。


「星七ぴょん!あんな女に引っ掛かったらダメだからね!」


「え………もしかして………」


「何!何なの!………ヤキモチ焼いたらいけないの?」


「う………」


「星七は私の物なの!茉白ちゃんに使用権を貸したのさえ後悔してるのに………これから色んな女の子が星七に近づいても絶対に使用権は貸さないわ!」唇に力が入っている。


「琴音さん………」僕は言葉を失う。


「星七のバカ!」


 琴音さんは僕の胸をポカポカと叩いた、僕はそっと抱きしめる。琴音さんの体温は僕が思ったよりはるかに暑い気がした。

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