第45話 本命チョコ?
日曜になった。僕はそいとげの家へバイクでやってくる。今日は手伝う事になっているのだ。佳さんと茉白ちゃんもすでに来ていて、お店の開店準備をしている。
僕はお客さんの予約を確認して、会計をしてレジを打った。佳さんと茉白ちゃんは和菓子を箱に入れ綺麗に包装してお客さんへ渡している。
かなりバタバタと働いた。夕方になり落ち着いてきたので、奥にある喫茶スペースで休憩する。
「皆さん、ありがとうございます、よかったらどうぞ」そいとげのお父さんがお茶と和菓子を出してくれた。
「「「ありがとうございます」」」みんなでお礼を言って食べる。
「美味しいねえ、それにお仕事の後みたいな充実感があるわ」佳さんが微笑む。
「ありがとうございます」そいとげが嬉しそうに頭を下げた。
「私楽しかった」茉白ちゃんも微笑んだ。
「茉白、ヤホー君と一緒だったからかなあ?」またイジリが始まった。
「そうじゃなくて………それもあるけど………私バイトしたこと無いから、何か嬉しかったの」唇を尖らせた。
「僕もバイトしたこと無いから嬉しかったよ」一瞬、ミコトさんのスカートをめくる仕事を思い出したが、あれはバイトじゃないと思った。
「ヤホー君は優しいねえ」佳さんがニヤニヤしている。
「ヤホーのおかげだなあ、ハロウィンやクリスマスもダメだったのに、バレンタインでこんなに売れるなんて思わなかったよ」
「ハロウィンやクリスマスも、もっと宣伝したら売れたかもしれないよ」僕はそいとげに言った。
「そうよ、今度は宣伝も考えてみたら」佳さんが微笑む。
「俺、頑張ってみます」嬉しそうにそいとげは頷く。」
「ねえ一真くん、この喫茶スペースは使ってないの?」
「喫茶スペースは人手が足りないので最近は営業してないんです」
「勿体無いね、土日だったら私バイトできるけどなあ」佳さんは辺りを見回す。
「えっ、マジですか?」
「うん」
「じゃあ父さんに相談してみます」
「佳ちゃん、大丈夫なの?」茉白ちゃんは心配そうだ。
「大丈夫よ、私カフェでバイトしたことあるもの」
「でも、オーナーと喧嘩して辞めたでしょう?」
「あれはオーナーが変なこと言うからよ、私のせいじゃ無いわ」
「本当なの?」茉白ちゃんは眉を寄せてさらに心配そうな表情になっている。
「あのう………星七君これ………」茉白ちゃんが小さな箱を差し出す。
「お!茉白の本命チョコが星七君の手に渡ろうとしています」変な実況中継が始まった。
「いいの?」僕はそっと手を出した。
「もちろん………」茉白ちゃんは僕の手に箱をそっと置いた。
「ジャ〜ン!ついに星七君の手に本命チョコが、本命チョコが!渡りました〜!!!」
「いいなあ、ヤホーは」そいとげは羨ましそうに一言漏らす。
「じゃあ、寂しい一真くんに、私の義理チョコをしんぜよう」佳さんはそいとげに箱を渡した。
「え………ありがとうございます、義理でもとても嬉しいです」そいとげはまるで表彰状でも受け取るように畏まって受け取った。
「義理チョコはヤホー君にもあるよ、茉白を大切にしてほしいからね」ニッコリと僕にも渡された。
「ヤホー、これ感謝の気持ちだ、ミコトさんと食べてくれよ」
「僕は2個のチョコと和菓子のチョコ風味を持って家へと帰った。
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