第22話 文化祭だ!どうしよう?
図書部員は一足先に文化祭の準備を始めるらしい。本の素晴らしさを伝える展示物を作らないといけないのだ。
文芸部とも協力して毎年多くの人が訪れる企画を出している。今年の目玉企画は亜斗夢先輩のサイン会だ、これは多くの人が来ると思う。そして文芸部員は様々な文芸作品を製本機で本にして販売する。これも人気があるらしい、この学校の文芸部から出た作家も数名いて期待されてるようだ。
僕も何か本の素晴らしさを伝える企画を考えなければならない、何をしたらいいんだろう?リビングで考えていた。
今夜琴音さんは仕事で遅くなるらしい、食事も済ませてくるそうなので僕は菓子パンを食べながら考えていた。
「ただいま〜!」琴音さんが帰ってくる。
「お帰りなさい、意外と早かったんですね?」
「あれ?星七の夕飯はその菓子パンなの?」
「まあ………そうですけど………」
「そんなんじゃダメだよ、育ち盛りの高校生なんだから」僕を上から下まで見た。
「すみません、育ってなくて………」項垂れる。
「私の健康やアレルギーを心配してくるのはすごく嬉しいの、でも星七の健康も考えてね」そう言いながらパンツとブラになっている。
僕の心の健康は考えてくれないんだと思った。
お風呂の準備は済ませていたので、パットを見て流行りの本を検索する。やがてミコトさんが写っている雑誌が目にとまる。僕はまだ文章力がない、だから大した文章は書けないと思う、だったら雑誌の紹介をしてみたらどうだろう。バイクの雑誌を紹介するのであれば、琴音さんへ相談することもできるかもしれない。
「うん!それがいいかも」僕は一人頷く。
お風呂を終えてジャージ姿になった琴音さんへそのことを相談した。
「そっか文化祭の展示物ねえ、でもバイクの雑誌を紹介するのはいいと思うよ。バイクはずっと男の乗り物みたいなイメージがあったけど、最近は女性のライダーが増えて一つのムーブメントになってるから、女性とオートバイみたいなテーマにしたら?写真や資料は玲司さんがたくさん持ってるから、貸してくれるかもよ」
「そうですか、だったらやってみたいです」僕は琴音さんへお願いした。
数日経つと資料やパネル、新聞の切り抜き記事などが送られてきた。僕はそれを図書館へ持っていき準備を始める。
茉白ちゃんがそばへ来て興味深げに覗き込む。
「星七くんはバイク雑誌の紹介をするの?」
「うん、僕はまだ文章力とか無いから雑誌の紹介でもできたらなあって思って」
「そうなんだ、とってもいいアイデアだね、星七くん凄い!」茉白ちゃんはキラキラした瞳で僕を見た。
僕は俄然やる気が出てしまう、そしてなんと単純なんだと我が身を恥じる。雪村先輩もやってきていいアイデアだと言ってくれた。僕は頑張って進めようと思った。
『女性とオートバイ』をテーマに雑誌の紹介文を書いて琴音さんへ見せた。琴音さんは読んでしばらく考えている。
「なかなかいいと思うけど、玲司さんのアドバイスも受けてみたら?」
「そんな事できるんですか?」
「多分大丈夫だと思うよ」そう言って琴音さんは僕の書いた原稿をバッグに入れた。
数日すると赤ペンで修正された原稿が帰ってくる、読んでみるとさすがプロだと思った。僕はその原稿を参考にしてもう一度書き直す。ふと修正された原稿の最後に『必要なら文化祭辺りに出版されるバイク雑誌を何冊か提供できるよ』と書いてある。僕は喜んで琴音さんを通じて雑誌の提供をお願いした。
慌ただしく文化祭の準備をしているうちにもう一週間前となってしまった。学校中が慌ただしい、僕のクラスは和風喫茶をやるらしい。そうなったのはそいとげが和菓子を提供すると言ったからだ。忙しそうなそいとげを横目で見ながら僕は図書館へ向かう、図書委員はクラスを手伝わなくていいのだ。
僕は図書館へ届いた荷物を開けてみる。段ボール箱の中には今週発売のバイク雑誌が10冊ほど入っている、なんと表紙はミコトさんだった。ミコトさんは人気があるんだ、凄いと思った。僕は玲司さんのアドレスを聞いていたのでお礼のメールを打つ、すると『頑張ってね』と返信が返ってくる。僕は展示のディスプレイを考え準備を進めた。
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