三年目の出来事
どう気持ちを整理すればいいのかわかっているけれど、もやもやしていて時々考え込んでしまうことです。創作小説を書こうと決意して三年目に突入した頃のこと。
イラストをきっかけに小説を読み始めてくれた方と交流が始まりました。
その方は私のSNSをフォローするのと同時期に、小説のキャラクターイラスト・デザインを担当してくださった方をフォローしました。
「イラストをきっかけに小説を読み始めた」
イラストレーターさんにそうリプライ(当時の語句で書いていきます)しているのを見かけました。
魅力的なイラストをきっかけに読者が増える、私は当初それでも嬉しかったのです。
それからその方は私の作品をたくさん読んで、熱心に応援してくれたのを覚えています。しかし、いつしか熱意がイラストへ傾いていくのを感じていました。
イラストレーターさんの小説応援イラストがアップされると、即いいねとRT、熱心なリプライが続くようになりました。そこまでキャラクターを好きになってくれたのは嬉しいな、と最初は思っていました……
仕事終わりにSNSを開くといつも一番にイラストに長いリプライが入っていました。毎回イラスト推しリプライの熱量が高いので、間に割って入って交流する気が薄れてきました。
思えば、最初からイラストに感心が高い方でした。
リプライやいいねなどの関わりの強さから仲良しランキングを出すツールで、イラストレーターさんの名前が一位になった画面をこれ見よがしにツイートされていました。ツイート全部にいいね、イラストへの長々自己PRリプライ、ほぼ張り付き状態で仲良しアピールです。
イラストのリプライが小説キャラの話題で盛り上がっているのに、作者である私は置き去り、そんな時期が半年ほど続きました。
一緒に盛り上がれば良かったんじゃないか、と言われるかもしれません。でも、その方の「悩殺」「宇宙人にも見せたい」「で、出たー!」……妙な盛り上げ方に引いてしまったこともあり、関わるのは控えていました。
私もイラストのいちファンです。素晴らしいイラストを描いてもらったことを感謝しています。特に大好きなイラストにも先のノリのリプライが入っていたときにはさすがに悲しくなりました。作品やイラストはとても思い入れがある、宝物です、とタイムラインに書きましたが、ノリの良さと勘違いした不快なコメントは続きました(私へのアプローチではないから直接言うのも憚られ……)
それはストレスとなって心を苛みました。小説を仕上げて更新すれば、イラストで盛り上がる図式が出来上がっていました。私の小説はイラストレーターと仲良くする踏み台、そう思えてきました。
更新を頑張れば頑張るほどに、毎回この様子を端から眺めることになりました。ときにはキャラのいろんな衣装を見たい、とリクエストしていました。もう小説関係ないやん⁈
悔しくて虚しくて、作品を書くのを止めようか、と思い詰めました。こんな理由で思い詰める自分はなんて心が狭いのか。酷い自己嫌悪に陥り、そのことも非常に辛かったです。
看板作品執筆には凄腕のイラストレーター・デザイナーが支援してくれています。
私はそこに胡座をかいていた、と反省しました。一人で書いたという傲慢な気持ちを恥じました。小説の魅力がキャラデザインに追いついていないからだと卑屈になり、自分を責めました。
私は作品を通して惨めな劣等感や嫉妬、ふて腐れる後ろ向きな姿勢、自分の精神的未熟さと否応なく向き合わされることになったのです。
当該作品を書き始めたときは、希望とやる気に満ちていました。大好きなものを詰め込んだ作品で、思い入れはとても深いのです。
もし、他人のせいにして作品を終了させてしまったら一生後悔する、と踏みとどまりました。
作家仲間から、「作品を書くのをやめないでいてくれてありがとう」と言ってもらえたことで救われました。
このことは未だに心の痂皮としてじくじくとした痛みを伴います。こんな未熟な時期もあった、と思い出話にするにはまだ時間がかかりそうです。
今は自分の気持ちと正直に向き合って、それを乗り越えて良い作品を書くしかない。その気概で執筆を続けています。
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