　それまで古本屋の棚を漁りに漁って見つけた同人誌を大事に隅々まで読んでいました。あまりの面白さに同じ作者の他の本や好きな漫画のパロディをもっと読みたいと思うようになりました。

　そこで出会ってしまったのが、オタク系情報誌”ファンロード”。アニメージュやニュータイプなどとはまた一線を画したかなりのオタク道を貫いた内輪ウケ炸裂な雑誌だったという印象があります。

　ファンロードにあったのが同人誌紹介コーナー。そこには流行り物のパロディ同人誌の紹介と通販方法が記載されていました。

　現在のネット通販の時代には考えられないことですが、個人の住所が公開されており郵送などで直接申し込む形式です。

　代金の支払いは振り込みか定額小為替。この響き、懐かしい方はレジェンド級の古のオタクです。振り込みは難しくて良く分からないけど、定額小為替は郵便局で買えるらしい。しかし、学校があるのでどんなに早く帰っても三時に閉まる郵便局に日中に行くことなどできないわけです。

　そこで、当時同居していた祖母に定額小為替を何円分買ってきて！とお小遣いを渡して頼みました。初めて定額小為替を手にしたとき、これがあの定額小為替なのか、と感動しました。当時の同人誌の通販はほぼ定額小為替を利用していました。

　通販のやり方を読んで、返信用切手と定額小為替を封筒に入れ、欲しい本のタイトルと冊数を書いた手紙を同封する。忘れてはいけないのは宛名シール。これがあれば住所を間違えて送られることがない。

　初めて届いた同人誌は宝物のようでした。雑誌に紹介されるだけあってとてもレベルが高く、読み応えのある本でした。これに味を占めて、通販を利用して同人誌を購入することを覚えました。

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