あまりにも黒歴史

 人生に黒歴史はいくつもあれど、同人活動においての恐れを知らぬ無知なる者が刻んだ黒歴史について話そう。本人も恥ずかしいけどすっかり忘れていた。


 友達同士でコピー本を作って楽しんでいるうちに、オフセット印刷なるもので本を作りたい、と思うようになりました。その頃、同人誌即売会が地元でも開催されており、参加の方法も調べました。即売会に参加すれば、同人誌がたくさん売れる!という謎の自信がありました。それは無邪気な自信でした。


 当時大好きだった漫画のパロディ本を初めて印刷所に依頼して、オフセット印刷で作りました。このときの印刷についても酸っぱい思い出があるのですが、それはまた別の機会に。

 装丁は色上質に墨一色刷りというシンプルな作り。印刷にかけるということもあり、一生懸命気合いを入れてつくりました。


 そして印刷したのはなんと100部。50部では少なかろう、という大それた気持ちでした。当時はオンデマンド印刷などそこまで主流ではなかったように思います。100部はキリが良い。何も疑問を抱くこと無く、100部発注したのです。


 ここまではイベント頒布が初めての、同人誌ド素人の甘い読みということで笑える話です。しかし、若き日の無知な私は、初参加のイベント会場に100部をそのまま手持ち搬入したのです。


 地方の個人開催のイベントです。そして絵も大して上手く無い、同人会で人気爆発というわけでもない漫画のパロディ本です。そりゃ売れませんよね。

 確か、知り合いの社会人に無理矢理売り込んで買ってもらった一冊、それがその日の唯一の売上げでした。


 大きな紙袋に99冊を詰めて帰るときの虚しさといったらありませんでしたね。同人誌って、飛ぶように売れるものじゃない。初参加から厳しい洗礼を受けてしまいました。これは本当に今思い出してもドス黒歴史です。


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