空回りの好意
黒歴史の話。
私は中学生のときに同人誌の世界を知った。当時はネット環境などなく、他の人たちがどうやって交流しているのか、全く情報がない。
座談会という作家同士で楽しく語ったログを本に掲載してあり、そこでのノリの良い会話や気心の知れた関係性に憧れたものだ。
私は好きな作家さんたちと仲良くなりたい一心で、手紙をたくさん書いた。
あなたの絵が好きです!私はこのキャラが好きです!このキャラもっと描いてください!
子供ながらの無邪気さでかなり生意気で図々しい文面だったと思う。
何通も送った手紙の返事はようやく一通。その作家さんもほとほと困って仕方なく返事を書いたのだろうという文面だった。相手はドン引きだったに違いない。
よくぞ無礼なクソガキの手紙に返事を書いてくれたと思う。
ハイテンションで一方的に好意を伝えて図々しいお願いをする、年齢が上がるとこうしたやらかしに気がついて、恥ずかしいと思うようになった。
オタクの妙なハイテンションで好きな同人作家に絡んでは後から気まずい思いをしたことは数えきれない。まさに黒歴史だ。
当初、ガキンチョだった私は好きな気持ちに偽りは無かったが、一方的だったり調子に乗っていたり、敬意が欠けていたと思う。
もうご縁は無いが、そんなガキンチョの相手をしてくれた大人な方々には感謝している。
こうした経験から、礼節ある好意の伝え方を心掛けるようにしたいと思っている。
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