買うかどうかの迷い

 スペースで売り子をしていると、本を手に取って読む人に熱い視線を送りがちです。どこで目を留めているのか、何が決め手で購入したいという欲求に進むのか、作者としては気になるポイントです。


 お客さんの側は値札の金額を出して買う価値があるか見定めています。自分で考えると、同人誌は一期一会、とはいうけれどやはり値段に見合うかどうかは考えます。

 値段を無視して買いたいものがあれば別ですが、本の価値と値段を無意識に測りにかけています。

 しかし、もう100円安ければ、とは思わないかもしれません。もはや財布を出すか出さないか、という選択をしている気がします。


 お客さんの中にはその逡巡をもろに態度に出す方がおられます。

 どうしようかな、うーん、と口に出ている方は割とありがちなのですが、今日は他の本を買いすぎて電車賃が危ないし・・・という方もいました。そりゃ電車賃にしてくださいよ。


 売り手としては、あまり長時間悩まれると焦れ焦れになります。こちらもそれなりに期待しているので、無駄にドキドキしたくない。

 迷っているときにはこう声をかけています。

「イベントにはよく参加しているので、また見かけたらどうぞ」


 突き放すわけではないですが、それなら、と諦めるかどうかの駆け引きです。こちらもそこまで欲しくない本を無理に押しつけたくはないのです。


 でも、悩んでいる人が購入を決めた瞬間はやっぱり嬉しいですね。この駆け引きもイベント参加の楽しみのひとつです。


 ちなみにこのネット版を目にしたことがありますが、顧客優位があからさまに見えて良い気分ではありません。

 宣伝ポストを引用して「買おうかな、どうしようかな」とポストする。作者が声を掛けざるを得ない状況を作り出しており、上から目線に感じました。


 個人的意見ですが、自分の好きな作家さんにされたら嫌な気分になります。私は買う買わないは確実に買うと決めたとき、または買った後で買ったよ!と言うことにしています。

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