人の意見を聞く耳

 私はなかなか頑固者で意固地なところがあります。そのため、カチンときたらこれみよがしに食いついたり不貞腐れたり、大人気ない態度を取る面倒くさい性質があります。


 創作のことでどうしても納得できない場面がありました。これで良かれと思って執筆していたのに、ダメ出しを受けました。


 今となってはその指摘は至極真っ当なものでしたが、その時の私は作品に対する愛着とプライドのあまり、悲しさと悔しさに打ちひしがれ、意見を言ってくれた方を蔑ろにしました。


 その時の気持ちは悲劇の主人公でした。指摘が大切なキャラクターに対する批判に思えて心を踏み躙られた気分でした。


 そんなこと言うならもう書きたくないとまでヘソを曲げて不貞腐れていました。

 しかし、根気よく説得されて考え直すことができました。

 結果、作品のテイストがまともになり読者も増えることになりました。


 この時、作品のためを思って折れてくれた方は分からずやの私に歩み寄ってくれたのです。それは並大抵のことではありません。意見は真っ当なのに私を立てることにより自尊心が酷く傷ついたのです。


 私はこのとき見捨てられずに修正すべき箇所を根気強く教えていただけたことで、作品を良い方向に戻すことができました。

 その方の自尊心を犠牲にして私は成長することができたのです。


 思えば作品に固執するばかり、読者の視点が欠如していました。その指摘をもらったときに反発してしまった愚かな行動を悔いています。砕けた心は元通りになることはないのです。


 もしあなたが作品の作り手なら、人の意見を聞く謙虚な気持ちを忘れずにいて欲しい。

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