第49話 小説を書くのは楽しい

 小説を書くのは楽しいです。

 書きはじめた頃は、おもしろい小説を書こうとしていました。おもしろいプロットを考えて、それを小説に起こすのです。小説というのはそういうものだと思っていました。でも、最近では小説を書くことが楽しくておもしろいです。取り立てておもしろいアイデアやプロットを思いつけなくても、ただ書いていて楽しいです。


 今朝、『ロード』という作品を公開しました。わたしが主催している11月前半の三題噺に寄せて書いた短編です。内容は、兵庫県の尼崎から姫路までオートバイに乗って走るおじさんの話です。なんの捻りもない、事件も起こらない、それだけの小説です。


 でも、書いてるとおもしろいんですよ。前にも同じようなこと書きましたけど、気持ちが入り込んで、電車の中で書きながら涙目になってしまって(笑)恥ずかしい。


『ロード』には、ふたりの男が登場します。結婚してバイクを降りた男と、結婚できなくてバイクに乗り続けている男のふたりです。両方とも「わたし」ですね。


 現実のわたしは結婚しましたが、結婚できない未来も可能性十分でした。現に「40代、50代で結婚したことない人」なんて珍しくもありません。カテゴリは「現代ドラマ」にしましたが、わたしとしては、結婚できたわたしを、結婚できなかったわたしが見て、あれこれ考えるパラレルワールドっぽい(SFっぽい)小説として描いたつもりなんです。


 書いてるうちに、ひょこひょこ「わたし」が小説に顔を出します。わたし自身がよく知っている情けないわたしを演じて去っていきます。わたしの小説の場合、キャラクター性が弱いので尚更そうなのかもしれません。


 わたしが涙目なったのは、主人公が女性に振られてしまったくだり。主人公は結婚できなかったわたし自身なので、失恋のくだりなんか書きたくない。ほんとは。でも、書いてしまうと、ちょっと泣いて、自分が客観視できたような気がして、すっきりできました。小説に書くことによって、自分のネガティブな感情を少し供養することができたような気がします。デトックスみたく?


 小説が上手に書けるようになったら、読んだ人にすっきりしてもらえる――そんな小説を書いてみたいです。エンタメでも純文でもいいのですが、泣いたり笑ったり、読み終わったらすっと肩が軽くなっているような小説が書きたいです。


『ロード』

https://kakuyomu.jp/works/16816700428560373768/episodes/16816700428560395483

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