第79話 命に嫌われている
うちの息子が『命に嫌われている』という歌にハマっています。
昨日、一緒にお風呂に入った時も10分くらい熱唱していました。
小学三年生がうたう歌には、ふさわしくないように思っちゃうんですけど……。サビの部分を取り出して書いてみるとこんな感じ――。
ぼくらは命に嫌われている
価値観もエゴも押し付けて
いつもだれかを殺したい歌を
簡単に電波で流した
ぼくらは命に嫌われている
軽々しく死にたいだとか
軽々しく命を見てる
ぼくらは命に嫌われている
ぼくらは命に嫌われている
幸福の意味すら分からず
生まれた環境ばかり憎んで
簡単に過去ばかり呪う
ぼくらは命に嫌われている
さよならばかりが好きすぎて
本当の別れなど知らない
ぼくらは命に嫌われている
参考にしたサイト
https://www.uta-net.com/song/306192/
なんていうんでしょう。わたしが聞くと「青春の呪詛」って感じに聞こえてしまうのですが、息子本人はかなりゴキゲンで歌っているので、歌詞とのギャップに戸惑います。
非常にメッセージ性の強いこの歌詞は、あきらかに「呪いの言葉」の体をとっています。でも、これは歌詞全体として反語表現になっていて、ぼくたちは呪いの言葉を吐くよう強いられているけれど、じっさいは命を大切にしたいのだし、死は厳粛なものであって、ぼくたちはもっと良く生きなければならないって歌ですよね。闇の部分から人生に光を当てたよい歌詞だと思いますし、いまの殺伐とした時代の空気が強く反映されていると感じます。
でもこれ、小学三年生に分かるのかなあ。
☆☆☆
この歌、大みそかの紅白で歌われるらしいです。
まふまふさんが歌うらしいのですが、この「まふまふ」さん知らなかったんですけど、このあいだNHK+を観ててこの人の特集してて知ったんですけど……。すごかった。びっくりした。
元々はボカロ曲を作ってたらしくて、それを自分で歌うようになった人なんですって。10年くらい前の話らしいのですが、当時はボカロの曲を人が歌うって、理解されていなくて(馬鹿にされていて)、ライブハウスで門前払いを食らっていたそうです。
わたしもNHK+の番組を観るまではそうで、完全ボカロ初の音楽は馬鹿にしてました。わたしがライブハウスのオーナーでも断ったでしょう。「きみたちが歌っていいところじゃないよ。歌いたかったらカラオケにでも行けば?」って。
番組内で、まふまふさんの東京ドームライブ配信の様子が放映されたのですが、いやーヤバかった。すごかった。『命に嫌われている』がそうなんですが、メッセージが、どーん聞いている人の胸を衝くんです。良くも悪くも。おじさんのわたしがすごいと思うのだから、若い子たちにはぶっ刺さるでしょう。
NHK紅白歌合戦のお祭りムードには合わない。むしろ盛り上がりに水を差すような歌だとも思うのですが、どういうパフォーマンスになるのか楽しみです。息子に「紅白で歌うらしい」と話してあげたら、大喜びしてました。一緒に歌うらしいです。
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