第60話 物語には「流行り」や「廃り」がある

 あー疲れた。

 カクヨムコン向けに書いている追加エピソードが予定の20000文字に達しました。たぶんこれで、トータル10万文字超えると思います。やったー。ただ、追加エピソード自体の完結には、あと3000文字か4000文字かかりそうなので、ほんとに喜べるのはまだ先のことになりそうですけど。まあ、ひとまず数字がクリアできたことを喜びたいと思います。


 よくやった、じぶん!


 さて、前回のエッセイで雪うさこさんが、わたしのカクヨムコンの進捗状況について「お尻に火がついてますね」とコメントしていただいたので、「かちかち山みたいな感じです」とお返事したのですが、じぶんで書いてて、


 ――かちかち山って見なくない?


と思いました。


 息子が小さかったころ(いまでもまだチビですが)、いろいろと絵本を読んであげていましたが「かちかち山」は読んだことないです。「さるかに合戦」も読んだことありません。知ってますか、「かちかち山」「さるかに合戦」。


 こんなお話です――。


 畑を荒らしていたためおじいさんに捕まえられたタヌキ。おじいさんが留守のうちにおばあさんを騙して縄を解いてもらい、おばあさんを殺してしまいます。悲しんでいるおじいさんの力になろうとウサギが、知恵を絞ってタヌキを懲らしめようとする話――「かちかち山」(「かちかち山」の題名は、タヌキの背負う柴に火を点けようとウサギが火打石を叩く音からきています)


 じぶんが見つけたおにぎりとサルの見つけた柿の種を交換してあげた母さんカニ。種から木になった柿には、たくさんの実が生りました。サルにお願いしてとってもらおうとしますが、サルは生った実をとってあげるどころか食べてしまい、母さんカニには青く固い実を投げつける始末。母さんカニは投げつけられた柿に当たって死んでしまいます。腹を立てた子カニが臼や蜂たちの助けを借りてサルに仕返しをする話――「さるかに合戦」


 どちらも因果応報(よい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがある)をテーマにした復讐譚なんですけど、「〇〇の敵を討つ」というお話は、いま子どもに話して聞かせる物語として相応しくないということなのでしょうかね。


 読むと分かりますが、どちらも被害者が加害者に対して行う「私刑」ですからね。ふつう近代的な法治国家は、私刑を認めておらず、裁判と刑の執行は国の定める法律に則って、国の機関で行うことになっています。被害者がその感情にまかせて加害者を裁くような「昔話」は流行らないのでしょう。


 もうすぐ12月。12月14日は、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日です。「忠臣蔵」の物語として有名な復讐譚のクライマックスであり、わたしが子どもの頃は12月に放映される時代劇の定番中の定番でしたが……いまは流行らないですね。いまの子どもたちは、浅野内匠頭とか大石内蔵助とか知らないんだろうなあ。長いこと生きてると分かります。物語には「流行り」や「廃り」があるんだと。書き手もよくわきまえて書かないといけないなと思います。



 

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