第5話 書きすぎないことが大切だ
今回は、写真の話をします。
でもカメラの話には深入りしないことにします。カメラは写真と密接にかかわっていますが、カメラの話をし始めるとどんどん脇へそれてしまって、かんじんの写真の話ではなくなってしまうので。
息子の成長を記録しようとカメラを買うことから、わたしの写真とのおつきあいはスタートしました(笑)子どもが幼稚園に入るといろいろとイベントが盛りだくさんで、その都度写真を撮らなければならない(ような気がする)ですよね。でも、単にカメラを構えて写真を撮っただけでは、
――なんかイメージしてたのと違う。
写真になりがち。
おかしいなー、雑誌やWebサイトで見る写真は、もっとこう心を掴まれるというか、かっこいい写真が多いんだけど、自分で撮るとそんな写真にならないなーと思っていませんか。思ってますよね!(思ってるということにしましょうよ)でも、何度も撮ってるうちに、
――どうせ何度やってもいい写真は撮れないのよ。
と、イマイチな写真で普通と考えるようになってしまうんです。じつにもったいない! 写真をイマイチでなくする方法っていうのはあるんです。いくつかのセオリーを押さえて撮れば、イマイチな写真は劇的に良くなります。
『カメラはじめます!』(こいしゆうか サンクチュアリ出版)
仕事に必要なので、ここ数年いくつもの写真・カメラに関する本を読んできましたが、いちばん簡単でいちばん写真を撮る気にさせてもらえる本です。じっさい売れているようです。
普通のカメラ本にありがちな「カメラが写真を撮る仕組み」をすっ飛ばして、どうすればきれいでカワイイ写真が撮れるか、仕組みではなく実践にページを割いた本づくりが斬新です。ただ、デジタル一眼カメラで撮影する前提で書かれているので、スマホしか持ってませんという人には向きませんが……。
どんな写真の解説本にも書かれている、写真の基本中のキホンがあります。
――写真は引き算です。
写真の撮り方についてなにも考えたことのない人が写真を撮ると、画面上には5つも6つも要素が写り込んでしまいます。よい写真というのは、その写真のテーマを際立たせるために、写り込みそうな要素をひとつ、またひとつと画面から外してあります。
見る人に訴えたい要素(テーマ)をひとつ。そして、テーマを際立たせるための脇役となる要素をひとつかふたつ画面の中に残して、あとは意図的に画面から外していく……これがいい写真(わかりやすい写真)を撮るセオリーです。
じつは小説もそうで、小説はキャラクターの身の上に起こったことを全部書くわけじゃない。生きていれば付きものであるはずの、食事のシーンやトイレのシーン、物語の要素として必要ない限り省略して書かないのが普通です。現実をそのまま書き写したところで、リアルさは生まれません。
小説は、そのテーマを浮かび上がらせるために、現実の中から「なにを省略して書くか」「どこまで省略して書くか」「いかに省略して書くか」――省略の仕方に書き手の個性が表れる創作物だと思います。
こう書くと写真と似ているでしょう。
じっさいわたしは写真を撮っているときは、小説を書いているときと同じような気分で写真を撮っています。たとえば、こんな……
――主役になるものがないなあ。
――構図(プロット)が決まらん。
――ピントが合ってない!
おー!
そっくり。
わたしが書いている小説のようだ‼ 爆
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