第86話 涙腺が緩んでしまって……
どうも年を取ると、涙腺が緩くなってしまうようで困ります。
NHKEテレの教養番組「100分de名著」が、1月に取り上げる本は、「金子みすゞ詩集」です。本屋さんでテキストを見つけて、すぐに書いました。
――これは、ぜったいにおもしろい。
テキストを読む前から確信がありましたが、いま読み終えまして……号泣。
息子のスイミング教室の待合室で読んでたのですが、本読んで泣いてるおじさんが異様だったと思います。不審に思われた方々、スミマセンでした。金子みすゞの詩と生き様に感動しただけで怪しい者ではありません。
やー、NHKのテキスト買ってよかった。今年は年初からいいもの読んだ。感動して泣くと、心が洗われたような気持ちになります。
金子みすゞは、大正末から昭和初期に「童謡詩」を書いていた詩人。いまから100年くらい前の人です。
詩人といっても、彼女は家庭の人であり、職業詩人ではありません。雑誌に自作の詩を投稿するアマチュアでした。詩人・西條八十に才能を認められ、多くの詩が入選、雑誌に掲載されますが、一冊の詩集も出版できないまま、亡くなりました。自殺でした。
死後、彼女の詩の再評価がすすみ、じつに、亡くなってから54年後の昭和59年になって初めての全集『金子みすゞ全集』が出版されたのでした。
金子みすゞが広く知られるようになったのは、東日本大震災の後、広告自粛で企業がCMを流さなくなった中、各放送局が彼女の詩を用いたAC(公共広告機構)のCMを流し続けたことがきっかけです。
――こだまでしょうか。
――いいえ、だれでも。
当時は、わたしはまったく知らなくて、「こんな詩があるんだ。金子みすゞってだれ?」と思ってました。詩が現代的で、童謡の響きがあることから、戦後から高度成長期にかけて書かれた詩なんだろうなと、おぼろげにそう感じていました。それがまさか100年前の詩だったとは。
あれから11年、どんな人なんだろうと思い続けできて、今回、NHKテキストでその生涯の概略を知ることができたのですが、26歳で亡くなってたんですね。かわいそう過ぎる。
テキストには金子みすゞの詩がいくつも掲載されています。どれもこれも100年前に書かれたものとは思えない、現代性を抱えた詩です。「物」や「事」を描いた文章は、時と共に古びていくけれど、「人の心」を描く文章は時を超えて古びることがないんだなと、めちゃくちゃ感心・感動しました。
わたしもそんな文章が書いてみたいな。
やー。お正月からいいもの読んだ。今年はいいことありそうです(笑)
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