第85話 年賀状で考えた
年賀状、書いてますか?
わたしはあまり書きたくないのですが、書いてます。リアルの知り合いとはSNSで繋がっていないので、年賀状のやりとりがなければ音信不通。死んでると思われててもおかしくありません。
そんな、わたしにとっては社会との絆(オーバー)ともいえる年賀状ですが、減ってますね。一時は100枚くらい書いていた頃(10数年前)もありましたが、いまでは30枚くらいでしょうか。
IT化の進展で「知り合い」というのはSNSで常時繋がりあっている人のことを指していうようになったのかもしれません。「あけましておめでとう」とSNSにメッセージを送れば、知り合いのあいだで共有できて効率的です。
そりゃそうだ。ひとりひとりに宛てて年賀状を書いて送るのは、非効率で不経済ですもんね。
……。
……。
これでよかったのかなあ。
わたしのような年賀状を書くのが嫌いという人も、いざ書かなくなってみるとこれでよかったのかと思うくらいなので、手紙のやり取りを大切に考えている人などは、いまの状況をもっと残念に思っているだろうと思います。
IT化は、わたしたちの生活を便利で快適にしました。郵便はがきを買わなくてよくなり、自由に使えるお金が増えました。はがきに宛先や新年の挨拶を書いたりする時間を節約できて、自由にできる時間が増えました。……ほんとにそうか?
自由なはずの時間とお金をわたしたちは、なにかためになることに使えたのでしょうか。それはひとつひとつ年賀状をしたためるより、大切なことだったのでしょうか。
薄くなってしまった年賀状の束を見て、そんなことを考えたのでした。
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