第54話 小説執筆の友はなんですか
どういう環境で小説を書くかというお話。みなさんはどういう環境で小説を書きますか?
わたしの場合はふたつ。
ひとつは、息子が寝てしまい、息子や奥さんに関わらなくてよくなってから1時間くらい。そして、朝早く(今朝も4時起きである)息子と奥さんが寝ているあいだに30分くらいの時間です。ひとりになって書きたいんです。だれかにガサガサしていてほしいくない。自分の書いている世界に集中してしまいたい。
集中すると言えば、何度かBGMを聞きながら書こうとしたことがありますが、わたしにはムリむと分かりました。文章を書くとき、わたしは頭の中で、なんなら小さな声で文章を口にしながら書いていきます。音楽があると、それが雑音としてわたしの耳に、頭に入ってきてしまうので、音楽NGと分かりました。可能ならシーンと静まり返った家の中で小説を書きたい。そんな時間はわが家にないけれど(いまもわたしの後ろで洗濯機が回っている音がする)。
もうひとつは、通勤時間の駅ベンチや列車の中。時間としては短い。30分から駅のベンチで時間をつぶしても1時間くらい。しかし、この通勤時間の執筆は自宅と比べて非常に快適で集中できます。もちろん、家のなかとは比べものにならないほどうるさいのですが、テレビの音や音楽と違って無秩序なノイズがほとんどなので、わたしの頭の中には入ってきません。たくさんの人もいますが、家族や職場の人たちと違い、街の雑踏にいる人たちはわたしには無関心ですから、結局、わたしにとってはいないのと同じなのです。
ひとりきりで集中して小説を書きたいと思えば、大勢の雑踏のなかにまぎれてしまえばいいというのは、逆説的でおもしろいと思います。と同時に、都会というのは互いに無縁な人々の群れなのだなと寒々しく思こともあります。
列車の中で隣り合わせたおじさんが、スマホを覗き込んで一所懸命何かを打ち込んでいます。時折考え込みながらずっと打っている。メールやメッセージにしては文章が長すぎるぞ。いったいこの人は何をしているんだろう――と感じることがあっても、じぶんの降りるべき駅のドアが開くと、その人はたちまちそんなことは忘れてしまうのです。
わたしが小説の執筆にもとめる環境は、ひとりになって書けること。わたしに対する世界の無関心みたいです。ただ――。小説を書きあげてあとは、無関心でいてほしくはないんですけどね。読んでほしい、読んでくれと思ってしまいます。書いてる間、ずっと無関心でいられたことに対する反動なのでしょうか。
みなさんは、周りが騒がしくても書けるのでしょうか。どうやって集中してますか?
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