第3話 ドキドキ!学校生活スタート

 さくらく春の陽気に包まれた日。

「今日はついに入学式だね!」

ポートフロンティア学園中等部の制服に身を包んだつぼみがかがみに向かってこう語った後、

「行ってきます!」

と、朝食を食べて元気よくポートフロンティア学園に向かった。

「今日からここに通うんだね!」

つぼみが学園の正門に入ると、沙奈さなが待っていた。

「つぼみちゃん!」

「待ってたよ!さあ、中に入ろう!」

「ええ!」

つぼみと沙奈は、中等部の校舎へと向かう。その入り口には、クラス分けが書かれた張り紙が掲示けいじされていた。

「つぼみちゃん、私と同じクラスだわ!」

「よかったね!」

つぼみが沙奈と同じクラスになったことを喜んでいると、

「つぼみ、また同じクラスの仲間になれてうれしいよ」

と、一人の少年がつぶやいた。

 「ただいまより、ポートフロンティア学園の入学式を行います。一同、礼!」

ついに、ポートフロンティア学園の入学式が始まった。

「桜の花が咲き始め、温かい日差しがり注ぐようになりました。新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。在校生一同、心より歓迎かんげい申し上げます。みなさんと一緒に学生生活を送れることを、とても楽しみにしていました。 私も二年前、皆さんと同じように不安と期待にむねふくらませ、緊張しながら入学式を迎えていました。今日はそんな、少しだけ早く中学生になった私から、学生生活を楽しくする秘訣ひけつを教えたいと思います。それは、『人はそれぞれ考えがちがっている』ことを受け入れることです。当たり前のことですが、意外と難しいことでもあります。学校生活でも、文化祭をとても楽しみにしている人もいれば、面倒だと考える人もいます。こうした些細ささいな考え方の違いで、仲が悪くなることが無いとは言えません。しかし、考えが違うことを受け入れられれば、何か解決策も見つかるかもしれません。そうすればきっと、学生生活を楽しくすることができるはずです。ぜひ、ポートフロンティア学園で充実した時間を過ごしてください。私たち先輩せんぱいとも、素敵な思い出を作っていきましょう。分からないことがあれば、何でも聞いてください。以上をもちまして、歓迎の挨拶あいさつとさせていただきます」

在校生代表の挨拶が終わったあと、

「次に、新入生による宣誓せんせいを行います。新入生を代表して、藤村晴斗ふじむらはるとくん、お願いします」

「はい!」

新入生代表による挨拶が始まった。

「本日は、私たちポートフロンティア学園の新入生のためにこのように盛大な入学式を催して頂き、誠にありがとうございます。校長先生を始め、先生方並びに来賓らいひんの皆様にも、心より御礼申し上げます。朝からみ切った青空となり、私たちを包む景色はまるでかがやいているように見え、この会場に向かって歩く道すがら、桜の花や春の花々を見つけるたびに、まるでどの花も私たち新入生を祝福してくれているような気がいたしました。先程から校長先生を始めご来賓の皆様や、先輩方から温かいお言葉を頂戴ちょうだいし、誠に感無量であります。私たちには無限の可能性があることを信じさせてくれる柔軟じゅうなんさ、自由さがこの学校にはあるように思います。人間として成長すると同時に将来の夢を見つけ『なりたい自分になるための階段をのぼり始める』のにふさわしい、絶好の場だと思うのです。私たちは、この学校で過ごせる三年間に、期待で胸を大きく膨らませております。最後になりますが、校長先生並びに先生方、そして先輩方には温かいご指導とお導きのほどよろしくお願い申し上げます。私たち新入生一同は歴史と伝統あるポートフロンティア学園中等部の学生としてのほこりを持ち、その名にじぬよう実りある学生生活を送ることをここにちかいます。以上を持ちまして私の宣誓の言葉とさせていただきます。 本日は誠にありがとうございました」

その後、

「新たなる光輝く」

高志こしの国で」

「清く 正しく 高らかに」

「青空に映える」

白銀しろがね山脈さんみゃく

「横中で一歩踏む」

「若者たちよ」

「誇り高く 希望をもって」

「ああ 青春の日々 行かむ」

「たくましき命輝く」

「港の街で」

「強く 優しく しなやかに」

群青ぐんじょうに映える」

き通る海」

「少年たち 少女たち」

「いざその時」

「大いなる夢を持って」

「ああ 横中のが母校」

ポートフロンティア学園の校歌を斉唱せいしょうした後、

「以上を持ちまして、ポートフロンティア学園の入学式を終わります。一同、礼!」

こうして、入学式は無事に終了した。

 入学式直後のホームルーム。つぼみと沙奈は、一年一組に配属はいぞくされることになった。

「みなさんはじめまして。私は、このクラスの担任を受け持つことになりました、西野にしのたすくと申します。よろしくお願いします」

野々ののはらアリスです。一日も早くみんなと仲良くなれたらいいなと思います」

雪海ゆきみ沙奈です。将来の夢は、世界で活躍かつやくするタレントになることです」

愛沢あいざわつぼみです!スイーツとバトントワリングが大好きです!」

自己紹介を行うつぼみたち。

「藤村晴斗です。今日みんなとクラスメイトになれて本当に嬉しいです。よろしくお願いします」

その時、つぼみが

「晴斗くん、また一緒だね!」

と心の中で語ると、晴斗の方を一瞬いっしゅんだけり向いた。

「ねえ、つぼみちゃん。晴斗くんって、どんな人なの?」

「晴斗くんとは、幼稚園ようちえんからのおさななじみなの!」

「私も晴斗くんとおしゃべりしたい!」

つぼみと沙奈のやりとりを、西野先生は、

「こら、まだホームルーム中だぞ!静かにしなさい!」

と注意した。

「はい」

「気を付けます」

つぼみと沙奈はすぐさま反省していた。

 「晴斗君、どんな人が好き?」

「かっこいいね!」

「ねえ、どこに住んでるの?」

「将来はどんな人になりたい?」

晴斗は、放課後の話題に上がるほど多くの女子たちに大人気。

「すまない。今日は用事がある。さあ、つぼみ。一緒に帰ろう」

晴斗がつぼみに声をかけると

「わかったよ、晴斗くん」

「ところで、その黒髪くろかみのロングヘアの少女は?」

「沙奈ちゃん!雪海沙奈ちゃんだよ!」

「そうか。じゃあ、沙奈も一緒なのか」

「そう!沙奈ちゃん、一緒に帰る?」

「ええ、いいわよ!」

「それじゃあ、三人で一緒に帰ろう!」

「そうだね」

つぼみと沙奈は、晴斗とともに帰路についた。

「あの子たち、とても楽しそうですね…」

その時、アリスはうらやましそうにこう語った。


 初授業の日。数学の授業では、

「それでは、この問題、分かる人」

「はい!」

「じゃあ、藤村くん」

「行きます」

「では、黒板にどうぞお書きください!」

晴斗が黒板に答えを書いていく。

「答えは…」

「正解です!」

「晴斗くん、かっこいい!」

つぼみが晴斗に感心していると、突然とつぜん廊下ろうかから怪しい影が。

「影のじゅうちゃん、なかなかいい感じですわ!」

その時、怪盗かいとうトリオのアルファは体操着に着替えて、ポートフロンティア学園中等部の屋上にいた。

 休み時間でのこと。

「あれ、晴斗くん、どうかしたの?」

「ちょっと回りが気になって…」

すると、晴斗の背後に、黒い影でできた影の魔獣が現れた。

「私、ちょっと行ってくるね!」

「つぼみのことを信じるしかない」

「気を付けて!」

つぼみは、晴斗を守るために屋上へ向かうが、魔獣が後をう。

「なぜ後からついてくるのか!?」

「それはいいから、屋上が見えてきた!」

「急ごう!」

「うん!」

そこにたどり着くと、アルファが待っていた。

「あら、また会うことができて本当に光栄こうえいですわ。さて、本日の魔獣ちゃんはこちら!影の魔獣ですわ!」

すると、屋上から校庭にかけて映っている影も切り取られてしまった。

「晴斗くんをひどい目にわせるなんて、ゆるせない!」

これにいかりをあらわにしたつぼみは、プリンセスミラーでラブリーピンクに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

つぼみは、ピンクの光に包まれていく。

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ラブリーピンクが現れると、

「いいか?キミの力では、まだ太刀たち打ちできないところもいくつかある。より強くなるには、これを使うしかない」

チララがラブリーピンクにアドバイスを送る。すると、

「ルビーのマジカルジュエルを使ってみよう!ラブリーピンク、あなたもパワーアップするわよ」

プリンセスジュエル・ピンクから、ピルルがルビーのマジカルジュエルを持って現れた。

「あ、新しい曲!」

すると、曲が流れてきた。

「さあ、歌って」

「うん」

ラブリーピンクはルビーのマジカルジュエルをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ラブリーピンクによる魔獣の浄化が始まった。

「Tell me 私に」

「愛の本当の意味を」

「答えてくれるのなら」

「きっと変わるはず」

「たとえ遠くはなれても」

「会えなくなってしまっても」

「心の中でつながっている」

「君に向けて I love you」

「向かい風にかれても」

「君を感じて I feel you」

「私だけのLove Song」

「君に届いて I want you」

「一日だけのステージ」

「君を信じて I need you」

「私だけのLove Song」

「君に向けて I love you」

「向かい風に吹かれても」

「君を感じて I feel you」

「私だけのLove Song」

「ルビーの輝きでパワーアップ!乙女おとめの愛!ルビー・スイート・ハート!」

ラブリーピンクがプリンセスバトンロッドでいピンク色のハートをえがき、魔獣に向けて放つ。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「エメラルド。緑に輝くマジカルジュエルだ。和名は、すいぎょくりょくぎょくである。内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっている。大きく傷の少ない方が高い価値で、明るく濃い緑色のものが最上級である。エメラルドは天然で良質の石がほとんど産しないため、かなりの傷物も宝石として流通させることが一般に認められており、オイルや樹脂じゅしひたすなど化学的処理をほどこして傷を隠したり、石の耐久度たいきゅうどを高めたりする。特に無処理、ノンオイルとの関係がない限り、処理を施してあると考えてもよい。処理が下手な場合、時間の経過とともにオイルが蒸発する、かなり高度な処理でも、近年宝石店ほうせきてんの店頭でも盛んに行われている超音波洗浄機によりオイルが抜けることがあり、本来の傷物の姿にもどる。また、中には黄緑色をした石もあるが、エメラルドとしてあつかわれず、ヘリオドール、グリーンベリルなどと呼ばれ価値も大きく下がる。発色の仕組みも鉄イオンが関係しており、クロムやバナジウムで発色するエメラルドとは原理がことなる。これらの石は加熱処理によりアクアマリンへ変色させることができる。モース硬度こうどではかなりかたい石だが、内部に多数の傷をかかえているという結晶けっしょうの性質上、衝撃しょうげき極端きょくたんに弱い。指輪の台に取り付けるだけで割れることもあり、職人も驚く石とされる。エメラルドカットと呼ばれるカットがされることが多いが、これは屈折くっせつ率がダイヤモンドのように高くなく、ブリリアントカットを施しても屈折率の高い石に特徴的とくちょうてききらめきが見られないため、印象的な緑色をより広く見せようとした結果である。石のもろさや六角柱をした結晶から取り出せる大きさなどとの関係から、なるべくけやすい角が少なくなるカットが生まれた。透明とうめい度の低い石の場合はカボション・カットが施されることもある。まれにキャッツアイ効果の現れるエメラルド・キャッツアイやスター効果のあるスターエメラルドが産出されることがあるが、非常に希少きしょうである。トラピチェ・エメラルドと呼ばれる均等に放射状ほうしゃじょうに六つに割れた一見スターにまぎれている石もあり、これも非常に希少である。同じベリルに属するレッドベリルをアメリカの宝石業界がレッドエメラルドと呼ぶよう他国と激しい議論を重ねているが、本来エメラルドには『緑色の』と言う意味があるためこの名称は正しくないと考える人もいる。ベリルの語源であるギリシア語beryllosにも『海のような青緑の石』という意味がある」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

ラブリーピンクが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!でも、次は許しませんわよ!」

アルファはこうなげいて、小型のマシーンに乗ってどこかに去っていった。


 「晴斗くん、大丈夫!?」

「あ…。ああ」

「よかった!」

つぼみは、晴斗の無事を知って安堵する。

「さあ、教室に戻ろうか」

「うん」

つぼみと晴斗は、一年一組の教室へと戻っていった。

 その日のお昼休みでのこと。

「ぱくぱく…。おいしい!」

「つぼみの弁当は、お父さんが作っているのか」

「そうだよ!」

つぼみと晴斗は、中庭で弁当を食べている。

「さて、私もお昼ご飯を食べないとね」

そのころ、沙奈は食堂にいた。

「あれ?あの子、何だかさびしそうね。ちょっと話しかけてくるわ」

アリスが一人で食事を取ろうとする場面を、沙奈が目撃もくげきした。

「どうしたの?」

「何でもありませんよ」

そんなアリスは、沙奈に対して気丈きじょうに接するのであった。

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