第29話 カボチャだらけのハロウィンナイト

 今日はハロウィンの夜。

「ケルト人の一年の終わりは十月三十一日で、この夜は秋の終わりを意味し、冬の始まりでもあり、死者のれいが家族を訪ねてくると信じられていました。時期を同じくして出てくる有害な精霊や魔女まじょから身を守るために仮面を被り、魔除まよけのき火を焚いていました。これに因み、十月三十一日の夜、カボチャをくりぬいた中に蝋燭ろうそくを立ててジャック・オー・ランタンを作り、魔女やお化けに仮装かそうした子供たちが近くの家を一軒いっけんずつ訪ねてはトリックオアトリートととなえます。家庭では、カボチャの菓子かしを作り、子供たちはもらったお菓子を持ち寄り、ハロウィン・パーティを開いたりします。お菓子がもらえなかった場合は報復のいたずらをしてもよい、とされています。玄関のライトを点けているかハロウィンのかざりつけをしていると訪問してもよいという意思表示になっており、それにもかかわらず断る家主とはいたずらの攻防戦こうぼうせんが繰り広げられています。これはあくまでも電気が点いている家に対してであり、そうでない場合はがっかりして立ち去るのが多いそうです。カトリック教会の諸聖人の日がハロウィンに重なる形で設定されており、これを『カトリック教会が異教いきょうの祭を取り込んだ』とする見方と、『カトリック教会が異教の祭を潰すために設定した』とする見方があります。いずれにしてもハロウィンは元々キリスト教の祭ではなかったことが両見解の前提ぜんていとなっています」

仮面をかぶって広場でおどり、子供たちがカボチャをくりぬいたランプをささげて行列を行う習慣がある国も少なくない。

「たった今入ってきた速報です。横中に大量のカボチャが生えております。くれぐれも足元には気を付けてください」

こうした中、横中の道端みちばたにカボチャが生えてきたのだ。

「よし、もっと広げるぞ!」

「ガッテンだ!」

怪盗トリオのベータとガンマは、じょうろと肥料ひりょうを使ってカボチャを育てようとしている。

 「大変だ!あやしい予感がする」

じゅうの出現を予知することに成功したチララは、つぼみたちを海の見えるおかに招集する。

「あれは!」

「あなただったのね!」

すると、ベータとガンマが現れた。

「本日の魔獣はこちら!」

「ハロウィンの魔獣だ!」

ベータとガンマの合図で、カボチャとコウモリをイメージしたハロウィンの魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れると、

「あれで増殖ぞうしょくしていたのか!」

「何だと!?」

おれたちの魔獣を台無しにするな!」

チララは、ベータとガンマから肥料の強奪ごうだつに成功した。

「作物の成長を促進するものに、れてしまうことを防ぐものまで!」

「あー!」

「お手製の肥料が!」

すると、チララは、ベータが開発した肥料の中身を空っぽにした。

 さらに、

「トリックオアトリート!」

「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!」

魔女に変装したリコと、ドラキュラに変装したリオまでも現れた。

「子供に用はないぞ!」

「さっさと帰れ!」

リコとリオに応えるベータとガンマ。

「お約束通り」

「いたずらするよ!」

「うひゃー!」

「わー!」

すると、リコとリオはベータとガンマをくすぐった。

「さあ、行くよ」

「うん」

プリンセスドールズは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズ・ダイヤモンドのマジカルジュエルの力をさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

ひとみを閉じて」

「あのことを思い出してよ」

うれしいこと 楽しいこと」

「いっぱいあるはず」

「見えるもの 聞こえるもの」

「すべて知ってるとは限らない」

「だからこそ」

「今を生きていくしかない」

「一人じゃできないことも」

「みんながいればできるよね」

「マイナスがプラスに変わる」

「不思議な魔法」

「心重ねる私たち」

そろったときに初めて」

うそなんて もういらない」

「真実の友情を感じたい」

「今こそ、みんなの心を一つに!乙女おとめ結束けっそく!プリンセス・ワンダフル・ギャラクシー!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークをえがき、トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「レッドベリル。赤いマジカルジュエルだ。ビクスバイトとも呼ばれているレッドベリルは、エメラルドと同じ緑柱石であることから、赤いエメラルドと呼ばれることもある。あか橙色だいだいいろあか紫色むらさきいろから赤色をていする。呈色はマンガンに由来する」

 「それではみなさん、また次回輝かがやく世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

ベータとガンマはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 それから、つぼみたちはプラチナの家にいた。

「これは、カボチャのプリンだよ」

「バニラエッセンスを入れていますので、野菜やさいの味は気にしなくていいですよ」

「あーい」

野菜嫌やさいぎらいなカレンにカボチャのプリンを与える。

「あむっ」

「どうかな?」

「おいちい!」

「よかった!」

カレンは、カボチャのプリンをおいしそうに食べた。

 すると、晴斗とプラチナが現れる。

「これ、道端に生えていたカボチャだ」

「君たちにおすそ分けするよ」

「ありがとう!」

「大事に食べるね!」

つぼみたちは、カボチャを家に持ち帰るのであった。

 一方その頃、ドクターはダークネス団アジトの会議室で団員と話している。

「ダイヤモンドのマジカルジュエル保護ほご作戦さくせんは失敗に終わったが、その二のまいまないための作戦を考えた」

「何でしょうか?」

「その名も、パール保護作戦だ。まぼろしのマジカルジュエルであるパールをプリンセスドールズから守り切ることが主な目的だ」

「それは斬新ざんしんなアイデアです」

その時、ドクターの右手にはパールのマジカルジュエルを肌身はだみはなさずにぎりしめていた。

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