第30話 お洋服は大切に

ある日のポートフロンティア学園中等部での放課後でのこと。

「かわいい沙奈さなさんも」

「大人っぽい沙奈も」

「かっこいい沙奈も」

「いい感じだね!」

「沙奈さんのこと、大好きです!」

「私も!」

つぼみたちのもとに、沙奈が現れる。

「ねえ、沙奈、一緒に帰ろう」

「ごめんね。今日は用事があるの」

「そうですか…」

「本当なんだね」

「じゃあ、また明日ね」

「じゃあね」

「また明日、お会いしましょう」

「またね」

つぼみたちは帰路についたが、沙奈は仕事現場に向かった。

そんな沙奈は、自身が専属せんぞくモデルを務めるファッション誌の撮影にいどむ。

「では、行きます!」

「カシャ!」

「もう一枚!」

「カシャ!」

「はい、いいですよ!」

「ありがとうございます!」

「さあ、休憩きゅうけいしようか」

「はい!」

 沙奈が撮影をしているスタジオには、怪盗かいとうトリオのアルファが清掃員せいそういん変装へんそうして潜入せんにゅうしていた。

「あら、素敵なお洋服がいっぱいありますわ!これは、じゅうの材料に決まりましたわ!」

アルファが勝手に洋服をぬすんだことに、スタイリストは、

「何をしているんだ!人のものをとったら泥棒どろぼう!」

なげいていた。

「大変だ!あやしい予感がする」

チララは、魔獣の気配けはいを察知する。それをひかえ室にいた沙奈に伝えると、

「魔獣がどうしてこのスタジオにいるの!?」

と驚いた様子で語った。

「うわー!」

「きゃー!」

「誰かー!」

「助けてくれ!」

すると、スタッフたちのさけび声が沙奈とチララの元に響いてきた。

「急ぎましょう!」

「そうだね!」

沙奈とチララは魔獣の居場所だと思われるスタジオへと早急に向かう。

そこにたどり着くと、アルファが待っていた。

「あら、また会うことができて本当に光栄こうえいですわ。さて、本日の魔獣ちゃんはこちら!着せ替え人形の魔獣ですわ!」

アルファの合図で、マネキン人形を使った着せ替え人形の魔獣が現れた。

 「これは、行くしかないわ!」

沙奈は、プリンセスミラーでアクアブルーに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

沙奈は、青い光に包まれていく。

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 アクアブルーが現れると、魔獣がいきなりおそかる。

「さあ、やっちゃいなさい!」

「うわー!お洋服が襲ってくるわ!」

アクアブルーは魔獣との戦いに大苦戦。

すると、アクアブルーは何かをひらめいた。

「このドットがら半袖はんそでシャツとデニムのフリルスカートを合わせたら、ガーリーなコーディネートの出来上がり!」

マネキンを全身コーディネートしたり、

「この着物とドレスを組み合わせて、リメイクしたらいいかも!」

と着物リメイクを思いついた。

「ちょっと、何をするのよ!」

生活せいかつ必需品ひつじゅひんでもある服は、リデュース・リユース・リサイクルできることを知ってほしい!」

それを見たチララはアルファにこううったえた。

「さあ、今がチャンスだ!」

アクアブルーはアクアマリンのマジカルジュエルをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

アクアブルーによる魔獣の浄化がはじまった。

「キラキラ キララ キラキラ」

「青空のキセキ」

「どうしたの?今日はらしくないね」

「疲れているみたい 落ち着こうよ」

「辞書に載っていない 魔法の言葉」

「あなたの心の中で支えとなっているわ」

「Do your best」

「いっぱい食べたい」

「ほしいもの買いたい」

「そう やることたくさん」

「I’m little girl」

あこがれの舞台へ」

「目指していくだけ」

「Let’s try!」

「キラキラ キララ かがやけ」

「みんなで力合わせて」

「キラキラ キララ ときめく」

「もっとがんばれるはず」

「Go for it」

「キラキラ キララ きらめく」

「私がついているわ」

「キラキラ キララ キラキラ」

「青空のキセキ」

「アクアマリンの輝きでパワーアップ!乙女おとめの美しさ!アクアマリン・プリズム・ブリザード!」

アクアブルーがプリンセスバトンロッドで水色のダイヤをえがき、魔獣に向けて放つ。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをアクアブルーのプリンセスミラーに認識すると、

「オニキス。黒いマジカルジュエルだ。瑪瑙めのうとオニキスのちがいはしまの形状だけであり、瑪瑙のうち平行な縞のあるものがオニキスだ。『onyx』は同じつづりのラテン語に由来し、オニキスの語源はつめを意味する古代ギリシャ語の『ὄνυξ』である。肉のような色合いの場合には、オニキスは指の爪に似ていると言われることがある。『ネイル』も同根語である。石英とモガン石の細かいれんしょうからなり、隠微いんびしょうしつである。オニキスの縞の色は白色をはじめ、ほぼあらゆる色のものがある。一般いっぱんには、オニキスの標本にある縞模様は黒色や白色である」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

アクアブルーが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!でも、次はゆるしませんわよ!」

アルファはこう嘆いて、小型のマシーンに乗ってどこかに去っていった。


 「さて、リメイクを始めましょう」

沙奈は着物とドレスを家に持ち帰り、リメイク衣装いしょうを作る。

 数日後、

「大変長らくお待たせいたしました!ただいまより、ヴァーチャルファッションショーを開始いたします!」

沙奈をはじめとした人気モデルたちが出演するファッションショーがオンラインで開催かいさいされた。

「素敵なファッションがいっぱい!」

かわいらしいガーリー、大人っぽいフェミニン、シンプルなベーシック、クールビューティ、明るくて元気いっぱいなポップ、活発なスポーティー、渋谷しぶやや原宿にいそうなひめギャルコーデ、民族的なエスニック、レトロなサイケデリック、トラディショナルなプレッピー、日本の伝統文化をふくめたアジアンコーデ、ノスタルジックな印象を与えるゴシックロリータ、きれいめで高価なゴージャス…。様々な個性を持つファッションが登場する中、

「続いては、プリンセスドールズのメンバーとして活躍する雪海沙奈ゆきみさなさんの登場です!」

沙奈がリメイクした衣装を着て登場した。

「着物とドレスをリメイクするなんて、斬新ざんしんなアイディアだね!」

その時、つぼみはスマートフォンでファッションショーを見ていた。

「もし着ることができなくなった服がタンスの中にしまっているのなら、捨てるのではなくリメイクすることやフリーマーケットに出品することも考えてくれ!」

「うん!」

つぼみに、チララはメッセージを送った。

 「持続可能な生産消費形態を確保する。持続的な消費と生産に関する枠組みプログラムを実施じっしし、先進国主導の下、開発途上国の開発状況や能力を勘案かんあんし、すべての国々が対策を講じる。天然資源の持続可能な管理や効率的な利用を達成する。小売と消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品しょくひん廃棄物はいきぶつを半減させ、収穫後しゅうかくご損失そんしつなどの生産とサプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じて化学物質やの廃棄物の環境に配慮はいりょした管理を達成し、大気、水、土壌どじょうへの排出を大幅おおはば削減さくげんすることにより、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限に留める。予防、削減、リサイクル、再利用により廃棄物の排出量を大幅に削減する。大企業だいきぎょうや多国籍企業をはじめとする企業に対し、持続可能な慣行を導入し、定期報告に持続可能性に関する情報を盛り込むよう奨励しょうれいする。国内の政策や優先事項ゆうせんじこうに従って持続可能な公共調達の慣行を促進そくしんする。あらゆる場所の人々が持続可能な開発や自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。開発途上国に対し、より持続可能な生産消費形態を促進すいしんする科学的・技術的能力の強化を支援する。持続可能な開発が雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業にもたらす影響のモニタリングツールを開発・導入する。 破壊的な消費を奨励する非効率的な化石燃料の補助金を合理化する。これは、課税の再編や該当がいとうする場合はこうした有害な補助金の段階的廃止による環境影響の明確化などを通じ、各国の状況に応じて市場のゆがみを是正ぜせいすることにより行うことができる。その際は開発途上国の特別な要望や状況を考慮し、開発への悪影響を最小限に留め、貧困層ひんこんそうや対象コミュニティを保護ほごするようにする。だから、作る責任、使う責任を取ってほしい」

その時、ワールドストリートにいたチャミィはこうつぶやくのであった。

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