パールのマジカルジュエル

第41話 さすらいの少女・琴音

 ある日突然ひとつぜん、プラチナの家に一人の訪問者が現れた。

「キミは、一体…!」

「つぼみたちの友達?」

戸惑うカレンとチャミィ。その姿は、サイドにまとめた赤いかみに、カジュアルなファッションというつぼみとほぼ同じくらいの少女だった。しかも、口には横中市の名物であるおさかなサブレを加えている。

「誰なんだ?」

わたしの名前は、東京からやってきた神門みかど琴音ことね。ポートフロンティア学園中等部一年一組の担任の神門あかりのめいよ。覚えてちょうだい」

「これがうわさの…!」

「そう」

「赤と金の力を持っているのか!?」

琴音が現れたことに騒然そうぜんとするチャミィ。

「ねえ、ダークネス団の発表会が開かれることって知っている?また横中市の某所ぼうしょでやるらしいけど」

「もちろん。だが、つぼみたちにはまだ伝えていない」

「今、つぼみたちと言った?」

「はい。彼女たちはドールプリンセスだ」

「…私と同じドールプリンセス?」

その時、異様いよう雰囲気ふんいきただよっていた。

 その様子を、ダークネス団アジトにいたドクターはモニターしで見ていた。

「二回目の我々の発表会が開かれること、もう知っているのか。さすが、ダイヤモンドのマジカルジュエルを手に入れた人たちだ」


 その時、

「大変だ!あやしい予感がする」

つぼみたちはじゅう(じゅう)と戦っていた。

「あら、またお会いすることができて本当に光栄こうえい(ですわ」

「本日の魔獣はこちら!」

「インテリアの魔獣だ!」

怪盗かいとうトリオの合図で、木製家具を使ったインテリアの魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」

 プリンセスドールズが現れると、

「今がチャンスだ!」

「さあ、行くよ」

「うん」

プリンセスドールズは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズ・ダイヤモンドのマジカルジュエルの力をさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

ひとみを閉じて」

「あのことを思い出してよ」

うれしいこと 楽しいこと」

「いっぱいあるはず」

「見えるもの 聞こえるもの」

「すべて知ってるとは限らない」

「だからこそ」

「今を生きていくしかない」

「一人じゃできないことも」

「みんながいればできるよね」

「マイナスがプラスに変わる」

「不思議な魔法」

「心重ねる私たち」

そろったときに初めて」

うそなんて もういらない」

「真実の友情を感じたい」

「今こそ、みんなの心を一つに!乙女おとめ結束けっそく!プリンセス・ワンダフル・ギャラクシー!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークをえがき、トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「カイヤナイト。あいいろのマジカルジュエルだ。らんしょうせきとも呼ばれているカイヤナイトは、同一化学組成では、他に多形としてべに柱石ちゅうせきけいせんせきがある。藍晶石は、高圧下で安定な結晶形である」

 「それではみなさん、また次回じかいかがやく世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


その日の夕方、プラチナの家にいるチャミィはあることを琴音に伝える。

「明かりのともる大きなお家に行ってくれ」

「どうして?」

「キミに伝えなければならないことがある」

「仕方ないわね。では、行ってくるわ」

「気を付けて」

琴音はプラチナの家を出る。

 「ここが、ある少女の家ね…」

琴音はチャミィからの言葉をたよりに、つぼみの家にたどり着く。

「失礼するよ」

すると、つぼみの家に琴音が現れた。

「あなたは、誰なの…?」

「神門琴音。ポートフロンティア学園中等部で一年一組の担任を務めている神門あかりの姪よ」

つぼみの問いかけに、琴音は神妙しんみょうな気持ちで答えた。

 「そう。今日は大事なことを伝えに来たの。近いうちに、再びダークネス団の発表会があるらしいわ」

「どういうこと!?」

「今度は、パールのマジカルジュエルがめ込まれた魔獣を連れて、ダークネス団が再び横中に凱旋がいせんするらしいわ。ダイヤモンドのマジカルジュエルが埋め込まれたものより強い力を持っているらしいの」

琴音はつぼみに例の件を伝える。

「そのことを、ほかのドールプリンセスたちにも伝えてほしい」

「分かったわ」

「では、そろそろ帰るね」

「あっ!ちょっと待って!」

琴音はつぼみの家を去ってしまう。

「私たちと同じドールプリンセスなのかな…。ダークネス団の発表会までに仲間になれるのかな…」

つぼみは不安そうにこう語った。

 そのころ、

「どうしてこの時期に…」

横中に季節外れの雪がってきた。

「あれは、ダークネス団の仕業しわざであるかもしれない!」

チャミィは危機感をあらわにした。

 一方、ドクターはダークネス団アジトにいた。

「ついに孵化ふかしたのか…」

と、魔獣のたまごがかえったことにこう感じたうえで、

「近いうちに横中で、我々は発表会をここで行う。その日を覚悟かくごしてくれ、プリンセスドールズ、いや、すべての横中市民よ」

と、横中にダークネス団が襲来しゅうらいすることを予告した。

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