Third Season

心を一つにするとき

第45話 炎のプリンセス・スカーレットエース

 もうすぐ中学二年生に進級するつぼみたち。しかし、赤いドールプリンセスだと思われる琴音ことねとは仲良くなれそうでなれないようで、

「どうやって、琴音と仲間になれるのかな…」

つぼみは、複雑な表情をかかえている。

 すると、チララがまどしから現れた。

「またやみの力が動き出した。落ち込んでいる時間はない」

「そうだね。もっと頑張がんばらなくちゃ」

つぼみは、その言葉で奮起ふんきした。そう、闇の力にはカレンダーと時計を持っていない厄介やっかいなものなのだ。


 その頃、プラチナの家では、カレンとチャミィがプラチナの帰りを待っていた。

「お兄ちゃんに会いたい!」

「王子はそろそろおかえりになられる。それまではここで待ってておくれ」

 すると、

「大変だ!あやしい予感がただよってきた!」

とチャミィは闇の力の気配けはいを感じ取る。

「僕は現場へと向かうから、カレンはお留守番してくれ」

「うん!」

「では、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

チャミィはプラチナの家を出る。

 その直後、チャミィがある光景を見る。

「街中がサーカス会場になってる!」

 その様子を、おもちゃ屋さんにいる怪盗かいとうトリオは小型モニターを通して見ていた。

「あら、もうお気づきかしら。でも、本番はこれからですわ」

「行くぞ、サーカスの準備だ!」

「ガッテンだ!」

怪盗トリオはじゅうの育成に取りかる。

「わ、ワールドストリートに強い気配がする!」

 チャミィが怪しい気配がするワールドストリートへと向かうと、そこには琴音が待っていた。

「琴音、どうかしたのか!?」

「もうすぐ魔獣が現れるわ」

すると、怪盗トリオが突如とつじょとして現れる。

「あら、またお会いすることができて本当に光栄こうえいですわ」

「本日の魔獣はこちら!」

「道化師の魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、ピエロをイメージした道化師の魔獣が現れた。

 「さあ、ショータイムのはじまりよ」

琴音は、スマートフォン型のアイテム・エースミュージックポッドでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

赤と黄金色こがねいろの光が琴音を包む。

「炎のプリンセス・スカーレットエース、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 スカーレットエースが現れた途端とたん、つぼみたちも現れた。

「あなたこそ、新しいドールプリンセス!?」

「そう。でも、話はあとよ。あなたたちは向こうに下がって!」

「うん」

つぼみたちが安全な場所に身を寄せて、スカーレットエースと魔獣の戦いの火蓋ひぶたが切られた。

 「さあ、やっちゃいなさい!」

「ガッテンだ!」

魔獣がジャグリングすると、

「魔獣の動きを止めて見せる!」

スカーレットエースはすかさず魔獣のすきをつく。

「大変、大変!火事だ!」

「アルファ様、今すぐ消火器を持ってこい!」

「分かりましたわ!」

スカーレットエースが放つほのおを、怪盗トリオは必死で消そうとする。

 しかし、彼女かのじょは言う。

「あなたたちの好きにはさせない」

と怪盗トリオに言い放つ。

「もう!せっかく消火器を持ってきたのに!」

「火事だと思ったらちがうんじゃないか!」

「あいつ、一体何者なんだ!」

その言葉で、怪盗トリオはおびえてしまった。

 「さあ、クライマックスよ」

スカーレットエースはエースミュージックポッドにパールのマジカルジュエルをセットする。その力を両手で構える武器であるプロミネンスエースカスタネットにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

スカーレットエースによる魔獣の浄化が始まった。

「I’ll be all right.」

「地球はいつでも回っている」

「理想の君になれ!」

かがみの中で明るくスマイル」

ほしうらない毎日ナンバーワン」

「もっともっともっと ねっ」

「きっときっときっと ねっ」

「ずっとずっとずっと ねっ」

かがやき集めなくちゃ」

「I’ll be all right.」

「西から日がのぼっても」

「君を 君だけを見つめてる」

「I’ll be OK.」

「地球はいつでも回っている」

「理想の君になれ!」

「I’ll be all right.」

「西から日が昇っても」

「君を 君だけを見つめてる」

「I’ll be OK.」

「地球はいつでも回っている」

「理想の君になれ!」

「パールの輝きでパワーアップ!乙女おとめの力!パール・スカーレット・ファイヤーワークス!」

スカーレットエースがプロミネンスエースカスタネットを魔獣に向けて響かせる。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅるるわー!」

とコロンはマジカルジュエルの気配を察知した。マジカルジュエルが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とコロンがマジカルジュエルを回収することに成功した。それをエースミュージックポッドに認識して、

「ガーネット。赤いマジカルジュエルよ。ザクロ石と呼ばれているガーネットの主成分は、カルシウム・マグネシウム・マンガン・鉄・アルミニウム・クロム・チタン・ケイ素などが入るわ。結晶けっしょうけいとうじく晶系しょうけいで、結晶は菱形ひしがた十二じゅうに面体めんたいへんほう多面体ためんたいとなるの。その整った形状から、誕生石の一番目に選ばれたといわれるわ。ガラス状の光沢こうたくがあり、透明度とうめいどはさまざま、色は無色・黄・褐色かっしょく・赤・緑・黒などがあるわ」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

スカーレットエースが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 すると、つぼみたちが琴音の元へと向かう。

「五人目のドールプリンセスって、スカーレットエースだったのね!」

「そう。あなたたちの名前は…」

その時、琴音はまだ知らなかった。自分と同じドールプリンセスに変身するつぼみたちの名前を。

「私は愛沢あいざわつぼみ。愛のプリンセス・ラブリーピンクに変身するよ」

「私は雪海沙奈ゆきみさなよ。水と氷のプリンセス・アクアブルーに変身するわ」

「私の名前は野々原アリスです。花のプリンセス・シトラスイエローに変身します」

「私、星空ほしぞららん。星と月のプリンセス・トウィンクルパープルに変身するの」

「へえ、あなたたちの名前はこんな名前ね」

つぼみたちの名前を聞いた琴音は、彼女たちの右手の中指にプリンセスジュエル・ホワイトをはめていることに気づく。

 そう思った彼女につぼみは、

「ねえ、琴音。お願いだから私たちの仲間になって」

たずねると、

「それは…できないわ」

と、琴音はきっぱりと断ってしまう。

 それでも、あきらめきれないつぼみは、

「どうしても一緒に戦ってほしいの!」

と呼びかけると、琴音は、

「どうしてもというのなら…あなたたちがおとぎの世界で古くから代々伝わってきた伝説のアイテム『ピュアロイヤルメイクドレッサー』を手にすることができるのなら、私の仲間になっていいわ。でも、私もこれを見たことがないの」

と仲間になるための条件を語る。

「それはどこに?」

「今、ダークネス団によってパンドラの箱の中に入れているらしいの。パンドラの箱とは、怪盗トリオが世界中をめぐりつつ死力を尽くして手に入れたものだからね」

琴音はつぼみたちにこう告げて、どこかへと去っていった。

「私たちで取りもどすしかないわ」

「パンドラの箱は、ギリシャ神話の言い伝えであらゆる悪やわざわいを封じ込めた箱であると聞いたことがあります。その箱をダークネス団が開けさせないためにも、必ず浄化しなければなりません!」

「そのために、今こそ心を一つにしなくちゃね」

パンドラの箱に入れられたピュアロイヤルメイクドレッサーを取り戻すべく、つぼみたちは決意を新たにする。


 その頃、怪盗トリオはダークネス団アジトの地下ちか倉庫そうこで、会議をしていた。

「そろそろ、パンドラの箱をかけた戦いを始めようかしら?」

「そうだ、そうだ!」

「やっちゃえ!」

と作戦開始の宣言をすると、

 「場所は、どこにしましょうかしら?」

「赤レンガ倉庫にしよう!」

「ガッテンだ!」

もう後がない怪盗トリオはプリンセスドールズとの戦いの準備に取り掛かり、戦闘せんとうモードに突入する。

 その時、つぼみの元に、

「横中の皆さんへ パンドラの箱をかけて私たちと決闘ですわ!赤レンガ倉庫で首を長くして待ってるぜ!勝つか負けるかはお前たちの運次第だからな! 怪盗トリオより」

と書かれた怪盗トリオからの予告状が送られてきた。

「きっと怪盗トリオはここで待ち伏せしているみたい!今すぐ行かなくちゃ!」

つぼみたちは、赤レンガ倉庫へと急行するのであった。

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