第44話 パールのマジカルジュエル

 プリンセスドールズとドクターがパールのマジカルジュエルをかけた戦いが始まると、横中ポートフューチャーは氷で閉ざされてしまった。

「まずは、みんなを助けよう!」

「うん!」

プリンセスドールズがこおりけにされていた人たちを助けようとしたその時だっだ。

「暗くて深い やみの向こうに」

「一人さびしく たたずんでいた」

「だけどもう こわがらないで」

「それは迷いを 断ち切ったしるし」

「春風に向かって 旅立っていく」

「さあ 夢のとびらを開こう」

かがやく未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

あいを守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」

砂漠さばくの街に 住んでいても」

「氷でおおわれた 場所にいても」

「心はいつだって 一つだから」

「それは つながっているしるし」

さくらう空 勇気を出して」

「さあ 一歩前へとみ出そう」

「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」

「世界を守るため 宇宙を守るために」

「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」

「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」

「人はみんなときめいている」

「だから ずっとわすれないで」

「心の輝きを信じて」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる」

「みんなのためにいる」

「それがプリンセスなんだから」

乙女おとめの力!スカーレット・ファイヤーワークス!」

ドールプリンセスに変身したと思われる琴音ことねが現れて、赤いほのおによって氷漬けにされていた人たちの救出に成功した。

「あの声は、琴音!」

「新たなドールプリンセスなんでしょうか?」

プリンセスドールズは、赤いドールプリンセスの正体が琴音だと明かすが、琴音は足早にその場を去ってしまう。


 「ちゅぴ!救出された子供たちは晴斗に任せておくよ」

「わかった」

「引き続き頑張がんばって!」

「うん」

琴音によって救出された子供たちは、健康観察のために警察に保護ほごされた。

 すると、チャミィが、

「あのじゅうは優しい性格をしている!」

と断定する。

 その時、チララが、

「サクリスタンをイメージしたピュアスイーツ。さあ、食べて」

と、しっぽに収めていたピュアスイーツを魔獣の口に入れる。すると、魔獣の心は落ち着いた。

「何だと!?魔獣がそんなに優しい性格をしているとは…」

チララがとった勇気のある行動に、ドクターは呆然ぼうぜんとする。

 「今がチャンスだ!」

「さあ、行くよ」

「うん」

プリンセスドールズは、ルビー・サファイア・シトリン・アメジストのマジカルジュエルの力をさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

「Shining! 輝きを」

「いっぱい集めて」

「そのボルテージを」

「高めていこう」

「ここからまた始まる」

「私たちの物語」

「夢をかなえてみせる」

「絶対」

「Star Light Stage」

「ときめいて」

「アイドルになっちゃおう」

ずかしがらずに」

「Star Light Stage」

「一緒に」

「盛り上げていこう」

「一体感を高めて」

「Stardom!」

「ここからまた始まる」

「私たちの物語」

「夢を叶えてみせる」

「絶対」

「Star Light Stage」

「ときめいて」

「アイドルになっちゃおう」

「恥ずかしがらずに」

「Star Light Stage」

「一緒に」

「盛り上げていこう」

「一体感を高めて」

「Stardom!」

「今こそ、みんなの心を一つに!乙女の結束けっそく!プリンセス・トリニティ・ストリーム!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークをえがき、トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、魔獣は別の姿に変化していった。

「これは、鳳凰ほうおうだ!前漢の時代に成立されたという中国最古の類語辞典『』十七章によれば、頭はにわとりうなづくつばめくびへび、背中はかめは魚で、色は黒・白・赤・青・黄の五色で、高さは六尺程とされる。『山海経』などでは鶏に似ており、頸にはとくつばさに義、背中に礼、むねに仁、腹に信のもんがあるとされた。後漢の字典『説文解字』では、前はおおとり、後はりん、頸は蛇、尾は魚、ひたいこうのどりえらおしどり、紋様はりゅう、背中はとら、頷は燕、くちばしは鶏と記された。南朝の時代に成立した『宋書そうしょ』巻二十八志第十八では、頭は蛇、頷は燕、背中は亀、腹はすっぽん、頸は鶴、喙は鶏、前部は鴻、尾は魚に似ており、頭は青、翼を並べるとされる。同じく『宋書』巻二十八志では孔雀くじゃくくらいの大きさとされる。また南宋の『みずのとしんぞうしき』では高さ一丈ほどで、尾はこいに似て、色がいとされた」

氷で覆われていた魔獣から変わった、炎に包まれる鳳凰によって、横中の雪と氷を溶かしていく。

 「何だと!?」

「今がチャンスだ!」

「さあ、行くよ」

「うん」

プリンセスドールズは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズ・ダイヤモンドのマジカルジュエルの力を授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる鳳凰の浄化が始まった。

ひとみを閉じて」

「あのことを思い出してよ」

うれしいこと 楽しいこと」

「いっぱいあるはず」

「見えるもの 聞こえるもの」

「すべて知ってるとは限らない」

「だからこそ」

「今を生きていくしかない」

「一人じゃできないことも」

「みんながいればできるよね」

「マイナスがプラスに変わる」

「不思議な魔法」

「心重ねる私たち」

そろったときに初めて」

うそなんて もういらない」

「真実の友情を感じたい」

「今こそ、みんなの心を一つに!乙女の結束!プリンセス・ワンダフル・ギャラクシー!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークを描き、トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、浄化された鳳凰は空高く飛び立っていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「パール。金色のマジカルジュエルだ。真珠しんじゅとも呼ばれているパールは貝の体内で生成される宝石ほうせきである。生体せいたい鉱物こうぶつと呼ばれる。貝殻かいがら成分せいぶん分泌ぶんぴつする外套がいとうまくが、貝の体内に偶然ぐうぜんに入りこむことで、小石や寄生虫などの異物が貝の体内に侵入した時に外套膜が一緒に入り込む結果、天然真珠が生成される。つまり成分は貝殻と等しい。貝殻を作る軟体動物なんたいどうぶつなら真珠を生成する可能性がある。外套膜は細胞さいぼう分裂ぶんれつして袋状ふくろじょうになり、真珠を生成する真珠袋をつくる。その中でカルシウムの結晶けっしょうと有機質が交互に積層した真珠層が形成され、真珠ができる。この有機質とアラレ石の薄層はくそう(はくそう)構造こうぞう干渉かんしょうしょくを生み出し、真珠特有のにじいろが生じる。真珠層の構造や色素の含有量がんゆうりょうなどの複雑な条件で真珠の色・照りの程度や宝石としての価値が決まる。日本の養殖真珠の発明は、球体にけずった核を、アコヤガイの体内に外套膜と一緒に挿入し、真珠層を形成させる。巻貝まきがいから生成されるコンク真珠やメロ真珠は真珠層が形成されない。従って、真珠と区別されることがある。真珠の重量の計量単位には、養殖ようしょく真珠しんじゅの産業化に成功した国が日本であったことから、日本の尺貫法の単位であるもんめや貫が使われる一方で、グラム、カラットやグレーンも用いられる。真珠の大きさの単位はミリメートルであるが、真珠のネックレスの長さについては業者間の取引では主にインチが使われている。冠婚葬祭かんこんそうさいのいずれの場面でも使える便利な装飾品そうしょくひんで、日本人が最も多く持つジュエリーとの推測もある。炭酸たんさんカルシウムが主成分であるため、汗が付いたまま放置か保管すると塩分えんぶんとの化学反応がゆるやかに発生し、真珠特有の光沢こうたくが失われる。このため、着用や使用後早めにやわらかい布で拭くなどの手入れが大切である」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「覚えとけよ、次は本当に許さないからな…」

とドクターはこう言い残してどこかへと去っていった。


 それから数日後、

「いよいよ明日から春休みとなります。始業式に元気な姿でお会いしましょう」

ポートフロンティア学園は修了式を迎えた。

 その後、

「お邪魔じゃまします」

「いらっしゃい」

つぼみたちはプラチナの家に向かった。

「そういえば、琴音は?」

「今は…ここにいない」

「そんな!」

プラチナから琴音の現在の居場所を聞いて呆然とするつぼみたち。それでも、前を向いているようだ。

「琴音が私たちと仲良くなれることを願っているよ、いつも」

「私も」

「そう思いますよ」

と、琴音がつぼみたちの仲間に加わることを信じているようだ。

 その頃、おとぎの世界の女王はプリズムパレスで人間界の様子を見届けていた。

「ダイヤモンドに続き、パールのマジカルジュエルも取りもどせて、安堵あんどしています。ですが、戦いはまだ終わっていません。プリンセスドールズ、闇の力から世界を救うことがあなたたちの使命ですから」

プリンセスドールズにエールを送ったうえで、

「レッド&ゴールドのドールプリンセスも、あなたたちと仲間になりたいと願っていますよ」

と、琴音についても言及したのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る