第43話 絶体絶命!寒さに閉ざされた横中

 ダークネス団の発表会が間近にせまった夜、つぼみの家のテレビには、

「つい最近、中学生が次々と消息を絶つという大変たいへんおそろしい事件が多発しています。警察への捜索願そうさくねがいも後を絶ちません」

というニュースが流れている。

「これはひどい!」

「ダークネス財団の仕業しわざかも!」

つぼみとチララがこのニュースにいかりりをあらわにしていると、

「たった今入ってきた速報です。ダークネス団がマスコミ各社に向けて声明を出した模様です」

「近日中に、横中ポートフューチャーで、ダークネスだん主催しゅさいの発表会を行う。その日のニュースは、我々は主役におどり出るだろう。楽しみにしてほしい ダークネス団一同」

ダークネス団が犯行声明を出してきた。

「これとなぞ失踪しっそう事件じけんは何かしらの関係性があるかもしれない!」

つぼみは、あることをひらめいた。

「明日、晴斗くんのところに行ってくる!」

「気を付けて!」

つぼみの決意に、チララはこう受け入れた。

 翌日、つぼみと晴斗は、晴斗の家にいた。

「近頃、中学生の謎に包まれた失踪事件が相次いでいるようだ。現時点で判明しているのは、陸上の短距離走たんきょりそうの中学記録保持者、人気アイドルグループの最年少メンバー、天才中学生ヴァイオリニスト、難関中高一貫校で学年トップの成績の秀才しゅうさい、そして有名プロサッカーチームのジュニアユースに所属している若きエースストライカーだ」

「才能ある人がどうしていなくなっちゃうの?」

「それはまだわからない。だけど、彼らから親への連絡も入ってこないことはお父さんの話から聞いた」

国際警察の刑事を父親に持つ晴斗は、つぼみに事件について説明すると、

「ダークネス団によって連れ去られたのかも」

「その可能性はある」

と、誘拐ゆうかいの可能性を否定しなかった。

 それを、沙奈さなとアリスに伝えると、

「本当なんですか!?」

「信じられないわ」

と驚きを隠せずにいた。それだけではない。アリスの元にこんなものが届けられていた。

「つい先ほど自宅にダークネス団からの手紙が送られてきました」

「ねえ、私たちにこれを見せて」

つぼみは手紙の封を開けると、

「どれどれ…読んでみるね」

つぼみたちは手紙を読む。

「プリンセスドールズよ、近いうちに、横中ポートフューチャーで決闘けっとうを行う。前回、ダイヤモンドのマジカルジュエルはお前たちにうばわれてしまった。だが、パールのマジカルジュエルとお前たちの同年代の子供たちをかけて戦おうではないか。この日の夜、日本の未来をかけた戦いが幕を開ける」

と書かれていた。

 これを読んだつぼみは、

ゆるさない、ダークネス団」

と怒りを露にしたうえで、

「みんな、必ず勝利しよう」

「パールのマジカルストーンだけじゃなく」

「みんなを助けましょう」

と、沙奈とアリスに結束けっそくを呼びけた。


 一方その頃、横中ポートフューチャーは氷でおおわれてしまった。

「大変残念ではありますが、本日の営業は休止しております。またのご来場をお待ちしております」

横中スカイワールドは臨時休業を余儀なくされ、横中の海は完全にこおり付いた。

「ここで合っているの?」

「そうね」

そんな横中ポートフューチャーに、らんとコロンが現れた。

「いつもは、多くの人でにぎわっているのに、今日は誰もいないわ」

「ねえ、見て!」

すると、蘭はこおりけにされた人たちを目撃もくげきした。

「やるといったら、行くしかないわ」

蘭はプリンセスコズミックスターでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

蘭をむらさきと銀の光が包み込む。

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」

 トウィンクルパープルが現れると、

「待たせたな」

ドクターの声とともに、氷でできた鳥をイメージした伝説のじゅうが現れた。

「パールのマジカルジュエルを返してほしいのであれば、これを倒してみろ!」

「その言葉、受けて立つわ」

トウィンクルパープルは魔獣の浄化にいどむ。

「ここで決めるわ」

トウィンクルパープルがプリンセスコズミックスターにダイヤモンドのマジカルジュエルをセット。その力をプリンセススタータンバリンにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

トウィンクルパープルによる魔獣の浄化が始まった。

「発車のベルと」

「同時に出会う二人」

「でもすれちがってしまう」

「早く会いたい」

「だけど知らない」

「だから だから unknown unknown」

「なぜそんなに会いたい?」

「あなたの思い」

「ねえ 目を合わせて」

り向かずに」

「そうそうそう 気になりそう」

「私の脳内のうないは」

「あなたのことだらけ」

「さあさあさあ 勇気を出して」

「本当のことを」

「伝えに行こう」

「恋(こい)するリフレイン」

「ねえねえねえ 教えてよ」

「あなたの気持ち」

「すぐすぐすぐ 行かなきゃ」

「あなたの元へ」

「恋するリフレイン」

「そうそうそう 気になりそう」

「私の脳内は」

「あなたのことだらけ」

「さあさあさあ 勇気を出して」

「本当のことを」

「伝えに行こう」

「恋するリフレイン」

「ダイヤモンドのかがやきでパワーアップ!乙女おとめの輝き!ダイヤモンド・トウィンクル・ナビゲーション!」

トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。しかし、それは魔獣によってね返されてしまった。


 その頃、

「ちょっと、行ってくるわ」

「待て!」

「カレンも行く!」

「君はここにいてくれ!」

プラチナの家にいた琴音ことねは、プラチナとカレンの制止もむなしく家を出てしまう。ダークネス団の襲来しゅうらいを予告したことで、状況はさらに悪化していき、ついには不要不急の外出がいしゅつ自粛じしゅく要請ようせいせざるを得なくなった。

  「誰か助けて…。早く…。お願いだから…」

トウィンクルパープルはその後も魔獣との戦いに大苦戦。

 しかし、その時だった。

「これで終わりか?」

「まだ終わっていないよ」

ドクターからの問いかけに答えながら、つぼみ・沙奈・アリスがトウィンクルパープルの元へけつけてきた。

「どうしてここにいるの!?」

「実は、どうやって魔獣に勝てるかやってみたの…。でも、それが…。まったくできなくて」

つぼみの質問に、トウィンクルパープルは元気なくこう返した。

「私たち、仲間だよね?」

「うん」

「ドールプリンセスが一つの場所にそろったとき、本当の力を出せるのです」

「勇気と友情があれば、なんだってできるわ」

「ありがとう」

つぼみたちの力強い言葉に、トウィンクルパープルは再び立ち上がった。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」

 プリンセスドールズが全員そろうと、

覚悟かくごはいいか?覚悟はできたか?」

「もちろん。さあ、戦いを始めよう!」

こうして、ダークネス団が所有しているパールのマジカルジュエルを取りもどすため、プリンセスドールズとドクターの戦いの火蓋ひぶたが完全に切られたのであった。

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