第4話 花のプリンセス・シトラスイエロー

 ある日のポートフロンティア学園での休み時間でのこと。

「そういえば、昨日のニュースを見た?」

「またまたドールプリンセスが大活躍だいかつやくだったね!」

「もちろん、これはみんな知っているんだから!」

クラスメイトの話題は、ドールプリンセスで持ち切りとなっている。

「昨日、たまたまアリスちゃんと話したんだけど、どうやら友達が一人もいないようなの」

「えっ!」

そんな中、つぼみたちはオレンジ色のショートヘアと黄色のひとみ特徴とくちょうのアリスについて語っていた。

「あの…。愛沢あいざわさんとゆきさんですよね?」

「ええ」

「そうだけれど、何か用はあるの?」

「一緒に弟と妹をむかえに行きましょうか?」

「アリスちゃん、弟と妹がいるの!?それならば、行くしかないよね!」

「そうだわ」

「ありがとうございます」

「じゃあ、行こう」

「うん」

つぼみと沙奈さなは、アリスと一緒に行動することになった。


 それから、ポートフロンティア学園の近くにある「わかば幼稚園」に到着した。

「ここに、弟と妹が通っています」

中に入ると、二人の女の子がなりきりごっこをしていた。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「プリンセスステージ、レッツスタート!」

「すごいわね!」

「私たちのことを知っているとは!」

幼稚園児の間でも、ドールプリンセスが大流行。

「愛沢さん、あなたのダンスを見せてほしい子もいるようですよ」

「まかせて!」

頑張がんばってね!」

つぼみが子供たちにダンスを披露ひろうすると、

「Tell me わたしに」

「愛の本当の意味を」

「答えてくれるのなら」

「きっと変わるはず」

「たとえ遠くはなれても」

「会えなくなってしまっても」

「心の中でつながっている」

「君に向けて I love you」

「向かい風にかれても」

「君を感じて I feel you」

「私だけのLove Song」

「君に届いて I want you」

「一日だけのステージ」

「君を信じて I need you」

「私だけのLove Song」

「君に向けて I love you」

「向かい風に吹かれても」

「君を感じて I feel you」

「私だけのLove Song」

つぼみのパフォーマンスに、子供たちは思わず拍手はくしゅをした。

「すごい!」

「お姉ちゃん、さすがだね!」

「ドールプリンセスに変身すると、もっと上手におどれるわよ」

「うん!」

 すると、

「じゃあ、おやつにしよう」

「はーい!」

園児たちは、つぼみたちとともにおやつを食べることに。

「それでは、いただきます!」

「いただきます!」

「今日は、私が作ったクッキーだよ!」

「お姉ちゃんのクッキー、すごくおいしい!」

つぼみが作ったドロップクッキーを食べていると、アリスの弟と妹が喧嘩けんかしているところを目撃もくげきする。

「リコも使いたい!」

「だめ!リオも使う!」

すると、アリスが喧嘩を止める。

「リオ、リコ、もうやめてください!みんなと仲良くしましょう!」

「はーい」

「わかりましたー」

それから、リコとリオについてアリスは紹介する。

「紹介しましょう。左が妹のリコで、右が弟のリオです」

「よろしくね」

「どうも」

リコとリオは、つぼみと沙奈に挨拶あいさつした。

 その頃、ベータとガンマは公園でクレープを食べていた。

おれいちごとダブルクリームのクレープが一番人気だ!」

「いや、チョコバナナクレープが一番だぞ!」

すると、ベータが持っているスマートフォンに通知が来た。

かがやき探知アプリが反応したぞ!」

「キラキラ光っている輝き、発見!」

「その場所は、わかば幼稚園だ!」

「あらよ!」

ベータとガンマは、名札付きの幼児用スモッグと黄色い児童用じどうよう帽子ぼうしを身にまとった幼稚園児に変装へんそうする。

「おもちゃがいっぱいあるぞ!」

「よし、これに決めた!」

ベータとガンマは早速、じゅうの生成に取り掛かる。

 「さて、今度はお部屋で遊びましょう…きゃー!誰か助けてー!」

その時、幼稚園の先生が何者かによっておそわれてしまう。

「きゃー!」

「わー!」

これには、子供たちも大混乱。

「どうやら、危険な予感がするわ!子供たちを安全な場所に移動しましょう!」

「わかった!アリスはリコとリオを守って!」

「はい!」

子供たちを幼稚園の外に避難ひなんさせ、アリスはリコとリオとともに幼稚園の屋上へと移動する。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみと沙奈は、プリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ラブリーピンクとアクアブルーが現れると、

「よく残ってくれたな!」

「本日の魔獣はこちら!」

「おもちゃの魔獣だ!」

ベータとガンマは、なまりの兵隊とフランス人形を主役としたおもちゃの魔獣を連れて現れた。さらに、

「みんな、時間だよ!」

魔獣によってあやつられた子供たちまでも登場した。

「え…」

「どうしよう…」

これには、ラブリーピンクとアクアブルーも大苦戦。

 そのころ、屋上にいたアリスのもとに、黄色い宝石ほうせきが空から落ちてきた。

「これは…」

「アリス、私の力になってほしいの」

すると、黄色い宝石から妖精ようせいが現れた。そう、これはプリンセスジュエル・イエローだったのだ。

「私の名はキルル。さあ、これを受け取って」

「わかりました」

アリスは、キルルから手に入れたプリンセスミラーと、黄色い花の形をしたペンダントのプリンセスジュエル・イエローでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

アリスを黄色い光が包み込む。

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

パフスリーブとバルーンスカートが特徴で黄色と白を基調としたコスチュームに小さなカノチェがついたオレンジ色のセミロング姿のシトラスイエローが現れると、

「リオ、リコ、ここにいてください!」

「お姉ちゃん、頑張れ!」

応援おうえんしているよ!」

足早にラブリーピンクとアクアブルーのもとへと向かう。

「アリスちゃん!」

「ドールプリンセスになったんだね!」

「ありがとうございます」

シトラスイエローが仲間に加わったことにラブリーピンクとアクアブルーは喜び、

「何だと!?」

「俺たちの敵がまた増えた!」

ベータとガンマは思わず困惑した。

 「では、行きます!」

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

こうして、ドールプリンセスによる魔獣の浄化が始まった。

「暗くて深い やみの向こうに」

「一人さびしく たたずんでいた」

「だけどもう こわがらないで」

「それは迷いを 断ち切ったしるし」

「春風に向かって 旅立っていく」

「さあ 夢のとびらを開こう」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」

まずは、ラブリーピンクとアクアブルーから。

砂漠さばくの街に 住んでいても」

「氷でおおわれた 場所にいても」

「心はいつだって 一つだから」

「それは つながっているしるし」

さくらう空 勇気を出して」

「さあ 一歩前へとみ出そう」

「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」

「世界を守るため 宇宙を守るために」

「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」

「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」

そこに、シトラスイエローが加わる。

「人はみんなときめいている」

「だから ずっと忘れないで」

「心の輝きを信じて」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる」

「みんなのためにいる」

「それがプリンセスなんだから」

乙女おとめの勇気!ハニー・フローラル・セラピー!」

シトラスイエローがプリンセスバトンロッドで黄色い花をえがき、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをシトラスイエローのプリンセスミラーに認識すると、

「シトリン。あざやかな黄色のマジカルジュエルだ。黄水晶きすいしょうとも呼ばれており、黄色の発色は、紫水晶むらさきすいしょうがすごく高い温度で加熱されると鉄イオンが安定しようとして電子を取り込む電荷でんか移動いどう酸素さんそ原子げんしと鉄イオンとの間で起こり、四価から三価の鉄イオンになり色中心のエネルギー準位が変化して紫色に相当する光エネルギーを吸収しやすくなり、光が当たったときにその補色である黄色が通過することが原因とされる。天然の黄水晶の産出は少なく、市場に出回っている黄水晶のほとんどは紫水晶を熱処理して黄色にしたものである。けむり水晶すいしょうを加熱して出来るものもあり、これは加熱によってアルミニウムイオンの働きで見えていた色は消えるが、同時に鉄イオンがふくまれていた場合に黄色に色づいて見えるようになる。中にはやや緑がかったあわい黄色に変色するものもある。ウラル産のシトリンの中には、アルミニウムやリチウムを含む無色の水晶にコバルトのガンマ線を当てて黄色くしたものがある。これはガンマ線を当てることで、水晶内に色中心が形成される。マディラシトリンとしょうされる深いオレンジの色相をいろどるシトリンは、さらに希少きしょうである。また天然で鮮やかな黄色のカナリーシトリンと呼ばれるシトリンはごくまれである。黄水晶のうすい黄色はトパーズに似ているため、シトリン・トパーズとも言われ、安価なトパーズの代用品として使われる。また、トパーズといつわって売られる場合もある。トパーズと共に十一月の誕生石でもあり、石言葉は『社交性・人間関係・自信・生きる意欲』など。鉄イオンによる色中心が原因ではなく、ヘマタイトやゲーサイト、微細びさい角閃かくせんせきなどが水晶の中に入り込むことによって黄色く見える水晶もある。これらはシトリンとは発色原因がことなるためシトリンとは呼べず、区別するためとでも呼ぶ」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

ドールプリンセスたちが勝利宣言すると、

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

ベータとガンマはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


「そういえば、昨日はご心配とご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」

翌日、アリスがつぼみと沙奈に例のことについて謝罪しゃざいすると、

「いいわよ。ゆるしてくれるなら」

「気にしないで」

と受け入れた。そして、

「これからは、三人力を合わせて頑張ろうね!」

「三人なら、絶対に怖くない!」

「一生懸命、前に向かって進んでいくだけです!」

と決意を新たにした。

「私と沙奈とアリスの今の気持ち、すごくキュンキュンしてる!」

「友情って、本当に素敵な言葉ね!」

「さすがです、つぼみさん、雪海さん!」

「私のことは沙奈でいいよ!」

「ありがとうございます!」

「これからずっと一緒だね!」

 三人がこう語ると、

「決めぜりふ、どうするの?」

「私たち、プリンセスドールズプリンセスステージ、レッツスタート!というのはどうかな?」

「賛成です!」

「これで決まり!」

「プリンセスドールズ、誕生ね!」

こうして、愛沢つぼみが変身するラブリーピンク・雪海沙奈が変身するアクアブルー・野々原アリスが変身するシトラスイエローからなる女子中学生三人組のプリンセスドールズが誕生した。

 その日の夜、つぼみたちの夢の中に光の女神が現れた。

「ドールプリンセス、あなたたちに大切なことを伝えなければなりません」

としたうえで、

「ダイヤモンドのマジカルジュエルを守ることが、あなたたちにとっての使命なのです。闇の力から世界を守るために」

と、今後にかかわる新たな事実を告げた。

「マジカルジュエルの中でも、強い力を持っているのがダイヤモンドか…。我々われわれダークネス団も、ダイヤモンドを狙っている。どちらが本物の輝きを手に入れることができるのか、我々と勝負だ!」

ダークネス団も、虎視眈々こしたんたんとダイヤモンドのマジカルジュエルを手に入れようとしているようだ。

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