動き出す世界

第5話 つぼみ、ハッピーバースデー!

 今日は、つぼみの十三回目の誕生日。

「お誕生日おめでとうございます」

「つぼみ、十三歳じゅうさんさい抱負ほうふは?」

「いつも明るく元気に過ごすこと!」

「つぼみさんらしい言葉ですね」

両親に祝福されるつぼみ。

 「ピンポーン」

「お邪魔じゃまします!」

「どうぞ」

するとそこに、沙奈さなとアリスが現れた。

「つぼみちゃん、お誕生日おめでとう!」

「そんなつぼみさんのために、私の家に行きましょう!」

「うん!」

つぼみは、誕生日プレゼントを選ぶために、沙奈とアリスとともに、アリスの家である花屋へと向かった。


 その頃、買い物客に変装へんそうした怪盗かいとうトリオは、花屋に潜入せんにゅうしていた。

「あら、きれいなお花ですわ」

「これ、すごくいいぞ!」

「おばさん、すいません!このお花をください!」

「はい!じゃあ、お支払しはらいの方をお願いしてもよろしいでしょうか…」

「いだだいたのですわ!」

可憐かれん清楚せいそなお花をゲットだ!」

「おばさん、あばよ!」

「ちょっと待ってください!まだお金を払っていませんよ!」

怪盗トリオが商品であるお花を強奪ごうだつすると、花屋の店長であるアリスのママは、

「キャー!強盗ごうとう!」

さけびながら、直ちに警察に通報した。

それから、怪盗トリオは公園の花壇かだんじゅうを生成していた。

「さあ、二人とも、魔獣ちゃんがそろそろできますわ!」

「ワクワクドキドキだ!」

「今から楽しみ!」

「そんなことより、早く準備するのですわ!小娘(こむすめ)ちゃんがやってくる前に!」

「ガッテンだ!」

ベータとガンマは、アルファの指示に従う。

 つぼみたちが花屋に到着すると、そこには警察官の姿があった。

「お母さん、どうかしましたか!?」

「うちの大事な花を何者かによってぬすまれて…」

「えっ!」

驚くつぼみたちのもとに、チララが現れた。

「大変だ!あやしい予感がする」

「どこに行けばいいの?」

「あそこの公園だ!」

「とにかく、行くしかない!」

「うん!」

つぼみたちが公園に向かうと、怪盗トリオが待ち構えていた。

「あら、また会うことができて本当に光栄こうえいですわ」

「本日の魔獣はこちら!」

花園はなぞのの魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、ひまわりやチューリップ、バラといった色とりどりの花をあしらった花園の魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ・沙奈・アリスは、プリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れると、

「魔獣の攻撃こうげきを止める方法を考えろ!」

と、チララが指示を出す。すると、

「赤・白・黄色に」

「ピンクとオレンジとむらさきと黒も!」

「青色も入れますね」

プリンセスドールズは花でアート作品を作る。

「完成!」

「あら、素敵な作品ね!」

「バラやユリ、コスモス、チューリップ、パンジー、カーネーション、スミレを使っているわ!」

「タンポポとスズランも入れていますよ」

これには、アリスのママもうれしそうな表情だ。

「ま、魔獣よりもあざやかで」

「は、はなやかな作品だ!」

「な、何ということでしょう!」

「怪盗トリオ、そこまでよ!」

ひるんでいる怪盗トリオを横目に、プリンセスドールズは魔獣の周りを囲む。

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

そして、プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

「暗くて深い やみの向こうに」

「一人さびしく たたずんでいた」

「だけどもう こわがらないで」

「それは迷いを 断ち切ったしるし」

「春風に向かって 旅立っていく」

「さあ 夢のとびらを開こう」

かがやく未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」

砂漠さばくの街に 住んでいても」

「氷でおおわれた 場所にいても」

「心はいつだって 一つだから」

「それは つながっているしるし」

さくらう空 勇気を出して」

「さあ 一歩前へとみ出そう」

「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」

「世界を守るため 宇宙を守るために」

「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」

「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」

「人はみんなときめいている」

「だから ずっとわすれないで」

「心の輝きを信じて」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる」

「みんなのためにいる」

「それがプリンセスなんだから」

「今こそ、心を一つにするとき!乙女おとめ結束けっそく!プリンセス・トリコロール・イリュージョン!」

プリンセスドールズがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークをえがき、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「ローズクォーツ。あわいピンクのマジカルジュエルだ。バラ石英やべに水晶すいしょうとも呼ばれているローズクォーツのピンク色は、光に敏感びんかんで、退色しやすい。この色は、不純物として混入する微量びりょうのチタン、鉄、マンガンに由来するとされる。近年のX線元素分析では、この色は光学こうがく顕微鏡けんびきょうで観察可能なレベルのデュモルチェライトの繊維せんいによる。しかしながら、デュモルチェライトは単独の結晶としては滅多めったに産出しないもので、従って、ていしょくはリン酸塩やアルミニウムによるものである。ローズクォーツは内部に微細なルチルの針状結晶をインクルージョンとして持つ場合があり、スター効果を示すものもある。産出のそのほとんどが塊状かいじょうの紅石英で、六角柱状の自形結晶の紅水晶で産出するものはまれにしか見られず、天然のローズクォーツの結晶自体は、最大でも1 センチメートルほどと小さい。完全結晶化したものが少ないのは、四価のチタンイオンがケイ素と部分的に置換ちかんしたことで、イオン半径の大きなチタンイオンが妨害ぼうがいして完全な結晶を形成することができないと考えられている。また四価のチタンイオンは、青から緑色の光を吸収するため補色はうすい紅色になり、チタンの量が増えるほど赤みを増すが結晶はさらに不完全となる」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 「お待たせしました!花束はなたばが出来上がりましたよ」

「アリスちゃん、伝えてくれたのね」

「どうぞ、お持ち帰りください」

その後、安全が確認されて営業を再開した花屋では、つぼみの誕生日プレゼントとなっている花束を、沙奈が手にした。

「つぼみちゃんが大好きなピンクの花を使ったブーケなの!」

「私の母親が愛情を込めて作りました」

「沙奈、アリス、ありがとう!しかも、私の大好きなピンクの花がいっぱいあるなんて、すごくキュンキュンしている!」

花束を受け取ったつぼみは、喜びに満ちあふれた表情だ。

「さあ、行こう!」

「うん!」

つぼみが沙奈とアリスともに家に帰ると、パーティーの準備が進められていた。

「晴斗くん!」

「やあ。つぼみの誕生日を祝うためにここに来た」

「そろそろパーティーが始まるわよ」

「つぼみも準備して!」

「楽しみ!」

そして、つぼみの誕生日パーティーが始まった。

「つぼみ、お誕生日おめでとう!」

「みんな、ありがとう!」

すると、つぼみのパパがあるものを持ってきた。

「つぼみさんのために作った、いちごとホイップクリームのパンケーキです!」

「では、いただきます!」

「いただきます!」

つぼみが特製とくせいのパンケーキを食べると、

「おいしい!とてもキュンキュンした誕生日だね!」

と、大きく喜ぶのであった。

 一方、プリンセスドールズに惨敗ざんぱいした怪盗トリオは、ダークネス団のアジトの地下にある怪盗トリオの基地で反省会を行っていた。

「このカップヌードル一個を」

「三人で食べなければならないのか…」

「もういやだ、こんなブラック企業…」

 すると、いつもプリンセスドールズによって事業が妨害されていることにごうやしているドクターが現れた。

「お前たち、一体何をやっているんだ!罰としてこの倉庫そうこ一体を掃除そうじしてくれ!」

「り、了解…」

プリンセスドールズによって業務の失敗が続いている怪盗トリオは、地下倉庫の清掃を行うことになった。

 その頃、横中の上空を飛んでいたチララは、未来を予言していた。

「もうすぐ、おとぎの世界から光の女神をしたう王子が人間界にやってくる。プリンセスドールズ、運命の扉を開くときがやって来る」

それは、おとぎの世界から人間界に発信したメッセージだった。

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