第6話 おとぎの世界の王子様

 ここは、人間界となっている地球からはる彼方かなた遠くはなれたおとぎの世界。そこでは、いつもかがやきに満ちている。ある日、そこにある優雅ゆうがな城でのことだった。

「今日も、世界は輝きに満ちあふれています…」

光の女神が謁見えっけんの間でこうつぶやいていると、正面に王子が現れた。

「母上様、マジカルジュエルを集め続けているプリンセスドールズの力になるために、人間界に行ってもよろしいでしょうか」

「いいでしょう。私の息子であり、おとぎの世界の希望でもますから」

「そこには、ドールプリンセスを探すために空からやってきたチララもいる。かれのことも心配だ」

「ええ。では、気をつけてください」

「行ってきます」

光の女神に温かく見守られながら、王子は人間界へと旅立った。

「人間界の輝きを守るために…」

光の女神は、王子の無事と人間界の平和を祈りながら。

「王子、これが人間界へと向かう列車です!」

「ありがとうございます」

「では、お乗りください」

「はい」

おとぎの世界の入り口では、執事しつじたちが王子のために列車を用意する。

「それでは、行ってきます」

「行ってらっしゃいませ、王子さま!」

「くれぐれも気を付けてください!」

王子を乗せた列車は、人間界へと向かって出発する。

 しばらくすると、地球にやってきた。

「ここが、瑠璃るりいろまる地球か…」

すると、列車は深夜の日本へ向かう。そこから、東京を通りけて横中に到着した。

「ここが、人間界か…なんて美しい世界なんだ」

王子は、生まれて初めて訪れる人間界をこう思った。


 それから、つぼみたちはいつものようにポートフロンティア学園へと登校していた。

「おはよう、みんな!」

「おはようございます」

「おはよう!」

「あっ、あれを見て!」

「素敵なイケメンね」

「かっこいいです」

つぼみたちが年上の青年を見かけると、

「やあ、おはよう」

「お、おはよう!」

青年につぼみたちが声をかけられた。そんな青年につぼみたちは、

「せっかくここに出会えたのだから、今日の放課後に君たちを招待しょうたいするよ」

「ありがとう!」

「では、待っているよ」

つぼみたちは、青年の家にまねかれることになった。

「ねえ、晴斗くん。通学路で見かけた青年のことがなんだか気になるんだけど…」

「ああ、ぼくも学校へ行くときに、一瞬いっしゅんだけこの人とすれちがった。確か、あの人はおとぎの世界からやってきたのではないかと」

晴斗もその青年のことを知っているようで、

「じゃあ、晴斗くんも招待されたの?」

「そうだ」

わたしたちと一緒だね」

どうやら、晴斗も青年に選ばれたようだ。

 放課後、つぼみたちは青年の家に行く。

「あの家は、どんな感じなのかな?」

「今から楽しみです」

「僕も気になるよ」

「そうね」

そこにたどり着くと、西洋近代建築の家が立っていた。

「すいません、誰かいますか?」

そこに、青年の姿が現れた。

「やあ、よく来たね」

「お邪魔じゃまします!」

「さあ、中に入って」

「ありがとう!」

つぼみたちは青年の家を訪問する。

「ここが、僕の家だ」

「すごくきれいだね!」

「まるでヨーロッパにいる気分だ」

青年の家に感心するつぼみたち。

「そう、みんなに自己紹介をしなければならない。僕はおとぎの世界の王子である、プラット・ティム・エスポワール・フェアリーテイル。僕のことはプラチナと呼ばれているが、王子さまでも別に構わないよ。そういえば、君たちの名前を教えてくれないか?」

「私、愛沢あいざわつぼみ!」

「私は雪海沙奈ゆきみさなよ」

「私の名前は、野々ののはらアリスです」

「僕は藤村晴斗ふじむらはるとだ」

「みんなのこと、覚えておくよ」

「よろしくね」

「よろしくお願いいたします」

「よろしく」

つぼみたちは、自分たちのことを紹介した。

「そういえば、王子さまはどうしてここに来たの?」

やみの力から世界を守るために戦っている君たちを支えていくためだ。ちなみに、僕は女神さまの息子だからね」

プラチナが光の女神を親に持つことを明かすと、

「今、僕にできること。それは、君たちがダイヤモンドのマジカルジュエルを手にするために、何ができるのかを考えることだ。ダイヤモンドのマジカルジュエルは、マジカルジュエルの中でもまばゆい輝きをもっているからね」

と、自身に与えられた使命について語った。

 その時、

「誰かいる!」

と、怪盗かいとうトリオがプラチナの家に侵入しんにゅうしてきた。

「あら、あなた、さっきは何と言いました?」

「ダイヤモンドのマジカルジュエルなんだけれど…」

「正解!」

「私たちが探し求めているものをよく当てたのですわ!でも、本日の御用ごようは全くの別物ですわ!」

「それでは、本日のじゅうはこちら!」

「暗闇の魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、周りを真っ暗にさせるという力を持つ暗闇の魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ・沙奈・アリスは、プリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れると、魔獣によってプラチナの家の周辺の空が真っ暗になってしまう。

「明かりを見つけて、真っ暗な空間を照らしてほしい」

「これが、魔獣の弱点だ!」

すると、プラチナとチララがアドバイスを送る。

「これを付けると…」

「そう!」

「街灯が点きましたよ」

シトラスイエローのするどいひらめきで、街灯の明かりが点いた。

「何よ!」

「ま、魔獣が!」

「どうなっているんだ!?」

すると、魔獣の力が次第に弱まっていき、暗くなっていた空も明るくなった。

 「さあ、チャンスだ!」

「今のうちに」

「うん!」

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

そして、プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

「暗くて深い 闇の向こうに」

「一人さびしく たたずんでいた」

「だけどもう こわがらないで」

「それは迷いを 断ち切ったしるし」

「春風に向かって 旅立っていく」

「さあ 夢のとびらを開こう」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」

砂漠さばくの街に 住んでいても」

「氷でおおわれた 場所にいても」

「心はいつだって 一つだから」

「それは つながっているしるし」

さくらう空 勇気を出して」

「さあ 一歩前へとみ出そう」

「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」

「世界を守るため 宇宙を守るために」

「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」

「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」

「人はみんなときめいている」

「だから ずっとわすれないで」

「心の輝きを信じて」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる」

「みんなのためにいる」

「それがプリンセスなんだから」

乙女おとめの愛!ピュア・スイート・ハート!」

「乙女の美しさ!アクア・プリズム・ブリザード!」

「乙女の勇気!ハニー・フローラル・セラピー!」

プリンセスドールズがプリンセスバトンロッドそれぞれのシンボルマークをえがき、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形もなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「オパール。乳白色にゅうはくしょくのマジカルジュエルだ。その和名は蛋白たんぱくせきである。西洋語のオパールを指す語は、ギリシア語 opalliosやラテン語 opalus に起源を持つ。これらは、サンスクリット語で石を意味する upālāという語との関係が指摘されている。非晶ひしょうしつである「opal-A」と、結晶構造の始まりを示すせんしょうしつであり肉眼では非晶質のようにみえる「opal-CT」がある。opal-Aは酸化さんかケイ素の凝集ぎょうしゅうした球の積み重なった間に水が充満じゅうまんしたもので、二酸化ケイ素の球の大きさで「プレシャス・オパール」と「コモン・オパール」に分けられる。opal-CTはクリストバライトや鱗珪りんけいせきの非常に細かい結晶の積み重なりであり、その名をLussatiteとも言う。これは高圧下で水分すいぶん含有量がんゆうりょうが少ないlussatineとなり、水分が蒸発して結晶構造を持つクリストバライトや鱗珪石となり、最終的に水晶や玉髄ぎょくすいに変化する。ブドウ状またはしょう乳状にゅうじょうの集合体や小球状のものとして産出される。透明とうめいなものから、半透明や不透明なものもある。ガラス光沢・樹脂じゅし光沢こうたくをもつものは宝石としてあつかわれ、無色のものから乳白色、褐色かっしょく、黄色、緑色、青色と様々な色のものが存在する。まれに遊色効果を持つものもある。主に火成岩か堆積岩たいせきがん(たいせきがん)のすき間に、ケイ酸分をふくんだ熱水が充填じゅうてんすることで含水がんすいケイ酸鉱物としてできる。埋没まいぼつした貝の貝殻や樹木などがケイ酸分と交代することで生成されたり、温泉の沈殿物ちんでんぶつとして生成されるなど、各種の産状がある。樹木の化石を交代したものは珪化木と呼ばれる。オーストラリアでは、恐竜きょうりゅう哺乳類ほにゅうるいの歯などの化石がアパタイトからケイ酸分に変わり、オパール化して発掘はっくつされたこともある。化石かせきの一種にプラントオパールと呼ばれるものがあるが、これは植物が生きているうちに組織内に形成した非晶質のケイ酸分で風化しにくいため、年代当時の地層中の植物を同定することにも用いられる」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 それから、

「これが、僕の家の看板かんばんだ」

と、プラチナがつぼみたちに、自分の家の近くにある看板について説明した。そこには、

「ドールプリンセスと仲間たち、大歓迎だいかんげい!ダークネス団一同、この先立ち入り禁止!それ以外の人、どうぞご自由にお入りください」

と書かれていた。

「僕はいつでも待っている」

「何かあったらここに来るね」

「それでは、気を付けて」

「失礼します!」

つぼみたちは、プラチナの家を後にした。

「つぼみたち…いや、プリンセスドールズによって世界の輝きは守られている。それにしても、彼女たちが放つ輝きは本物のようだ」

そのとき、プラチナは心の中でそう語った。

 一方その頃、怪盗トリオはダークネス団のアジトで反省会を行っていた。

「今日の敗因を探るため」

「どうすればプリンセスドールズに勝てるのかを見つけるため」

「今から反省会を始めますわ!」

「ガッテンだ!」

 今回も、なぜプリンセスドールズに負けた理由を語り始めた怪盗トリオ。そこに、ドクターが現れた。

「ドクター!」

「今回はどうかね?」

「それが、ダメでした…」

「いつも何をぐずぐずとやってんだ、地下ちか倉庫課そうこか!次という次こそはしっかりしろ」

「り、了解…」

「そういえば、お前たちに会いたいという人がいる。ちょっとついてこい」

「わかりましたわ」

「ガッテンだ!」

ドクターは怪盗トリオを会議室へと案内する。

 そこで待っていたのは、一人の少女だった。

「紹介しよう。がダークネス団が生み出した闇のプリンセス・ダークミラージュだ」

「よろしく。あなたたちのことはすでに覚えておいたわ」

「よ、よろしくお願いいたします」

ダークミラージュは怪盗トリオに挨拶あいさつすると、

「怪盗トリオ、あまえは絶対にゆるさない」

「そうだ。では、ばつとして今回は一階のトイレを清掃せいそうしてくれ」

「さ、行くですわよ…」

「が、ガッテンだ…」

怪盗トリオは、一階にあるトイレへと足早に向かった。

 その後、ダークミラージュはドクターに、

「ちょっと待ってくれ」

「ドクター、どうかしました?」

「こないだ、どこかであるものを手に入れた。これを君にたくしてくれないか?」

「ありがとう、ドクター。大切にするわ」

「では、ダークミラージュ、これからの活躍かつやくに期待しているぞ」

「地下倉庫課のことは任せてください。徹底てっていして管理しますので」

「さらばだ」

ドクターは、ダークミラージュのもとを去っていった。

 「プリンセスドールズ、あなたたちのことを絶対につぶしてみせる。だって、私は『輝き』という言葉の意味が一番嫌いちばんきらい…。そう、ダイヤモンドはこの手にずっと離さない!」

ダークミラージュの左手には、ドクターから託されたダイヤモンドのマジカルジュエルを肌身離はだみはなさずにぎりしめていたのであった。

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