第14話 波紋を呼ぶ?期末テスト

 ポートフロンティア学園では、一学期の期末考査の季節となっていた。

「ただいまより、社会のテストを行います。解答、はじめ!」

つぼみたちは、真剣しんけんに問題を解いている。

「ここをこうして…」

「これです」

優秀ゆうしゅうな成績を残しているアリスと晴斗はもちろん、沙奈も解答欄かいとうらんを埋めていくのに対して、

「とりあえず、解いちゃえ!」

つぼみは何となく答えを書いていた。

 その頃、ポートフロンティア学園とはまったくことなる標準制服に身を包んだ怪盗かいとうトリオは、校舎を偵察ていさつしている。

「あら、にぎやかしい教室ですわ」

「ここに何かあるのかな?」

「気になるぞ!」

怪盗トリオは一年二組の教室へと向かう。

 「中学生なのに鉛筆えんぴつを使っている人、見つけましたわ!しかも、HBの鉛筆ですと!」

セーラー服のアルファはある人のつくえの中を物色していると、

「こっちはシャープペンシル!」

「三角定規にコンパスも!」

学生服のベータとガンマもこれに続いた。

「さあ、やりますわよ!」

「ガッテンだ!」

怪盗トリオはじゅうの生成に取り掛かる。


 「解答、やめ!」

テストの時間が終わると、

「解答用紙を回収いたします。すべて回収するまで静かに着席ください」

つぼみたちは、解答用紙を提出する。

「大変だ!あやしい予感がする!」

その時、アリスのもとにチララがけつけてくる。

「一年二組に魔獣の気配けはいが!」

「急ぐしかありません!」

アリスはその知らせを聞いて、一年に組の教室へと急行する。

 そこで待ち受けていたのは、怪盗トリオだった。

「あら、またお会いすることができて光栄ですわ」

「本日の魔獣はこちら!」

文房具ぶんぼうぐの魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、鉛筆や消しゴム、定規を利用した文房具の魔獣が現れた。

「それでは、始めます!」

アリスは、プリンセスミラーでシトラスイエローに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

アリスを黄色い光が包み込む。

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」


 シトラスイエローが現れると、魔獣がこちらへとおそいかかる。

「さあ、やっちゃいなさい!」

「ガッテンだ!」

魔獣が三角定規を投げてくる。

「全校生徒の皆さん、テストは自由にしていいですわ!」

「ひゃっほい!」

怪盗トリオのその言葉に対して、

「試験中にスマートフォンや電卓でんたく、電子辞書などの電子機器の使用は認められていません。それを使ってしまうと、不正ふせい行為こういとみなされてしまい成績も無効となってしまうからです。試験前までには、電子機器の電源を切るか、スマートフォンをマナーモードに設定するなどの対策を取ってくださいね。これには、教科書やノート、プリントにも同様のことが言えます。したがって、机の上には、鉛筆やシャープペンシル、三角定規、コンパスしか置けないのです。あっ、シャープペンシルのしんはあらかじめ補充ほじゅうしておくこと、鉛筆はちょうどいいくらいにけずっておくことも、わすれないでくださいね」

シトラスイエローはこう反論した。

 「行きます!」

シトラスイエローはプリンセスミラーにシトリンのマジカルジュエルをセット。その力をプリンセスバトンロッドにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

シトラスイエローによる魔獣の浄化が始まった。

「花がいて 鳥も鳴いたら」

「あたたかな季節がはじまる」

「たんぽぽの綿毛が」

「飛んでいかないうちに」

「風がいて 月も光ると」

「一日の終わり」

「光に照らされていく」

「黄色のきくが」

「はちみつ色の日々」

「私の人生は」

あまくてほんのり」

「味を感じるの」

「Honey Days」

「It’s a Wonderful Life」

「花が咲く 太陽浴びて」

「新しい日 始まる」

「東に差し込んでくる」

「希望の光」

「はちみつ色の日々」

「今の気持ち」

「なんてハニカムなんだろう」

「はちみつ色の日々」

「私の人生は」

「甘くてほんのり」

「味を感じるの」

「Honey Days」

「It’s a Wonderful Life」

「シトリンのかがやきでパワーアップ!乙女おとめの勇気!シトリン・フローラル・セラピー!」

シトラスイエローがプリンセスバトンロッドでオレンジ色の花をえがき、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをシトラスイエローのプリンセスミラーに認識すると、

「トパーズ。オレンジ色のマジカルジュエルだ。黄玉とも呼ばれているトパーズの語源ははっきりしておらず、ギリシャ語で『探し求める』を意味する『topazos』からと考える文献ぶんけんもあれば、サンスクリット語で『火』を意味する『tapas』からと考える文献もある。産出地である紅海こうかいの島の周辺がきりふかく、島を探すことが困難だったからとされている。古くは、トパゾスはペリドットを意味し、ペリドットとトパーズが混同されていた。フッ素やアルミニウムを含み、様々な色をていするが、宝石ほうせきとしてはたん褐色かっしょくのものが上質とされる。加熱や放射ほうしゃ線照射しょうしゃなどで色が変わる。結晶けっしょうの上下方向にへき開性かいせいがあり、強い衝撃しょうげきを与えると内部ないぶ亀裂きれつが発生することがある。11月の誕生石で、石言葉は『誠実・友情・潔白けっぱく』など。石英より少しかたいケイ酸塩さんえん鉱物こうぶつだ」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

シトラスイエローが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 それから、

「今からテストを返却へんきゃくいたします。名前が呼ばれたらこちらに来てください」

と期末考査の解答用紙が返却された。

「うーん、次は頑張るよ」

つぼみは、一学期の中間考査に続いて期末考査でも思うような結果を残せなかった様子。

「すごいわね!」

「晴斗くん、さすがだね!」

「当然の結果だ」

「私に至っては、全教科満点ですからね!」

晴斗が優秀な成績を残したことに加え、アリスが全教科で満点かつ学年トップという素晴らしい結果をたたき出した。

「さあ、次の大きな行事は林間学校だ」

「楽しみだね!」

「今からワクワクしています」

「待ちきれないわ」

一学期末考査が終わったら、林間学校だ。

 一方その頃、らんは屋上にいた。

「期末考査の問題用紙がすり替えられたのも、林間学校の行き先が変わってしまったのも、あなたのせいだったのね!」

蘭によると、西野先生の手違てちがいで林間学校の行き先が白銀しろがね山脈さんみゃくのふもとに変更になったという。さらに、

「あの先生、私たちの側近であるかもしれないわ」

と、西野先生にまつわる噂話うわさばなしを口にしたのであった。

 それから数時間後、自宅に帰った晴斗はパソコンでプラチナとビデオ電話をする。

「もしもし、王子さま?」

「晴斗くんか。プリンセスドールズの調子はどうかな?」

「順調にマジカルジュエルの回収は進んでいるようだ」

「それはよかった」

「今日、つぼみから話を聞いたからね」

プラチナは、晴斗からプリンセスドールズの近況きんきょうを聞いて安心する。

 そのうえで、

「いいか、よく聞いてほしい」

「大事なことなのか?」

「ああ。ダークネス団が生み出したやみのプリンセス・ダークミラージュがそろそろ曲を出すそうだ」

「一体どういうことだ、ダークミラージュがプリンセスドールズと同じように歌を歌うとは!」

「まあまあ、落ち着いて。もし僕たちがその曲を聞いたのなら、何かしらの対処をするから、安心してほしい」

「分かった」

「では、失礼するよ」

プラチナから衝撃の事実を聞いた晴斗は、

「僕らがプリンセスドールズと協力しなければ、彼女かのじょとダークネス団の作戦を阻止そしすることさえ厳しくなるだろう」

と危機感をつのらせた。

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