第23話 謎の美女教師登場!

 長い夏休みが明けて二学期が始まったポートフロンティア学園。一年一組のホームルームでは、クラスメイトが何やら落ち着かない様子でいる。

「今日から新しくここを担当することになりました、神門みかどあかりです。よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」

ダークネス団のスパイとしてやみ営業えいぎょうを行っていた前担任の西野先生の懲戒ちょうかい免職めんしょくされて以降いこう、空席だった一年一組の担任が神門先生に決まったのだ。

「私の教育人生にとって初めての学級担任ですが、もし分からないことがあれば、気軽にたずねてくださいね」

 さらに、

「今から席替せきがえを行います!」

「わー!」

「やった!」

とこのクラスでは初めての席替えを行う。西野先生が担任だったころは、クラスの座席表がいつも固定していたからだ。

「楽しみだね!」

「うん!」

つぼみたちが気持ちを高ぶっていると、新しい座席表が発表される。

「つぼみちゃん、晴斗くんととなり同士どうしよ!」

「私の今の気持ち、キュンキュンしてる!」

「よかったですね!」

つぼみと晴斗が隣同士になったことに、興奮こうふんおさえきれない様子だ。

 その頃、怪盗かいとうトリオはポートフロンティア学園に潜入せんにゅうしていた。

「あら、人目につかない静かなところがありますわ」

そこにたどり着いたのは、理科室だった。

「よし、これにしよう!」

「ガッテンだ!」

怪盗トリオはじゅうの生成に取りかる。


 「大変だ!あやしい予感がする!」

休み時間の教室にいたつぼみたちのもとに、突然とつぜんチララが現れた。

「場所は、理科室だ!」

「行こう!」

「うん!」

つぼみたちは、チララの言葉通りに理科室へと向かう。

 そこには、怪盗トリオの姿があった。

「あら、またお会いすることができて光栄こうえいですわ」

「本日の魔獣はこちら!」

「実験室の魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、フラスコや試験管をイメージしたボックスの魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れると、神門先生も登場した。

「今からあなたたちにクイズを出します!どうやって酸素さんそと水素は集めていくのでしょうか?」

神門先生は、プリンセスドールズと怪盗トリオにクイズを出す。

「あ、わかった!」

「バキュームで集めることだ!」

「残念、ちがいます!」

ベータとガンマは、珍回答を出してしまう。

「わかりました、水上すいじょう置換ちかんです!」

「正解です!」

「酸素には、モノを燃やす力があります!水素は、空気中で燃えると爆発ばくはつして水になります!」

プリンセスドールズが正解を導き出して、魔獣にダメージを与えた。ちなみに、水上置換とは、水に溶けにくい気体の捕集ほしゅうに用いられるが、少し水溶性があっても、気体の毒性や引火性が高い場合でも用いることもある。水槽すいそうなどに水を入れ、気体の発生口をその中に入れる。最初に発生口から出る気体は、気体を発生させる装置内そうちないの空気なので、しばらく待ってから気体を容器に集め、容器の中は水で満たしておく。これは空気の混入も少なく、気体の捕集量の計測にも使われる。厳密には蒸気圧に応じて、多少の水蒸気が混入するが、他の気体の捕集法に比べて純度の高い気体が得られるので、実験室レベルでは好んで用いられる。

 その時、チララはプリンセスドールズにアドバイスを送る。

「いいか、ここは新しい技を使うんだ!その技を出すために必要なマジカルジュエルは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズ・ダイヤモンド。これさえ使えば、ルビー・サファイア・シトリン・アメジストとは一味違った技を使うことができる」

すると、ピルル・ブルル・キルル・パルルが現れた。

「やってみるわ」

「うん」

プリンセスドールズは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズ・ダイヤモンドのマジカルジュエルの力をさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

ひとみを閉じて」

「あのことを思い出してよ」

うれしいこと 楽しいこと」

「いっぱいあるはず」

「見えるもの 聞こえるもの」

「すべて知ってるとは限らない」

「だからこそ」

「今を生きていくしかない」

「一人じゃできないことも」

「みんながいればできるよね」

「マイナスがプラスに変わる」

「不思議な魔法」

「心重ねる私たち」

そろったときに初めて」

うそなんて もういらない」

「真実の友情を感じたい」

「今こそ、みんなの心を一つに!乙女おとめ結束けっそく!プリンセス・ワンダフル・ギャラクシー!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークをえがき、トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「マラカイト。緑のマジカルジュエルだ。孔雀くじゃくいしとも呼ばれているマラカイトの化学組成は、炭酸たんさん水酸化すいさんかどうであり、銅製品にできるサビの緑青の主成分と同じである。膜状まくじょう粉状ふんじょう結晶けっしょうの集合体などの形態で産出する。ブロシャン銅鉱どうこうや擬孔雀石に外観がよく似ているが、希塩酸きえんさんなどの酸に溶けるときに発泡するかどうかで区別できる」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 放課後、一年一組の教室にはつぼみたちの声がまだ響いてくる。

「そういえば、今日からここに赴任ふにんしてきた神門先生、私たちとよくやっていけそうな気がする!」

人柄ひとがらがよくて、ちゃんと私たちに接していて、優しい感じがしたわ!」

「前の先生とは大違いだ。しっかりとガイドラインを遵守じゅんしゅしている」

とつぼみ・沙奈さな・晴斗は神門先生の第一印象を語ると、

「あの先生、私たちと協力できるかもしれません。実現する日も、きっと遠くはないと思いますよ」

とアリスはそう思う。

 そのうえで、らんは、

「確か、彼女かのじょも私たちの力になりたいと願っているわ。ダークネス団と敵対しているし、プリンセスドールズについても知っているかもね」

としたうえで、

「ドクターの本当の気持ちを知っている気がするわ」

と自らの経験を交えて神門先生について話した。

「でも、見守るしかないね」

「もちろんです」

「ダークネス団を認めていないとすると、プリンセスドールズにかかわってくれるだろう」

つぼみたちも、ダークネス団側である西野先生より、反ダークネス団側の神門先生に期待を寄せているようだ。

 その頃、ダークネス団アジトの地下ちか倉庫そうこでは、怪盗トリオは反省会を行っている。

「今日もプリンセスドールズに負けちゃって、本当にショックが大きいですわ!これで何回目だと思っていますのよ!?」

「くそっ、おれたちに明るい未来はあるのか!?」

「七転び八起きという言葉を信じろ!」

と四人体制になったプリンセスドールズに惨敗ざんぱいしたことをくやしがっているかれらの前に、突如とつじょとしてドクターが現れた。

 「調子はどうか?」

「そ、それが…」

「どうした?」

「今日もダメでした…」

「何をグズグズやっているんだ!しっかりしてくれ!」

「は、はい」

「り、了解…」

「頼んだぞ」

ドクターは、業務の失敗が続いている怪盗トリオに説教をする。

 すると、ドクターはあることを彼らに伝える。

「ついに、例のものが見つかった」

「何ですか?」

「気になる!」

「楽しみだ!」

「それは、パール。黄金にかがやまぼろし宝石ほうせきだ。白銀に光るダイヤモンドとは対をなしている。ダイヤモンドとパールの二つの輝きが、おとぎの世界を支えているマジカルジュエルだと言い伝えでは語られている」

とダークネス団がパールのマジカルジュエルを手に入れたことを語る。

「プリンセスドールズを今度こそ絶望という地獄じごくにぶち込ませるために、これを守り切らなければなりませんわ!」

「ガッテンだ!」

と怪盗トリオは一念発起する。

「では、健闘けんとうを祈る」

ドクターは怪盗トリオの業務の成功を祈ってその場から立ち去ったのであった。

 その様子を、おとぎの世界にいる光の女神は、水晶玉を通じて見ていた。

「また闇の力が動き出したのですね…。必ずパールのマジカルジュエルをその手から取りもどさなければなりません。それが使命です。プリンセスドールズ、新しい戦いはもう始まっているのです…」

と新たな戦いの幕開けを意味する言葉を残したのであった。

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