未来へのアクション

第24話 学ぶことって、大切なこと

 「しおり、退院おめでとう!」

「ありがとう」

「おかげさまで、しおりは元気になって退院できた」

ダイヤモンドのマジカルジュエルの力で、両足が動かなくなっていたしおりは回復することに成功した。

「でも、まずはリハビリからだ」

頑張がんばる」

しかし、当面の間は日常生活にもどすためのリハビリテーションに専念せんねんするようだ。

「学校から、プリントやドリルが来ているよ」

「タブレット端末たんまつも届いているからな」

「うん」

それでも、学業はおろそかにするわけにはいかない。それもそのはず。横中では、万が一の場合にそなえて、すべての公立の小中高校でオンライン授業ができる環境を整えている。実際のところ、ポートフロンティア学園でもデジタル技術を活用した学習環境がそろっている。

 すると、ピアノの音が聞こえてきた。

「ド、ド、ドレミファソラシド…」

その音をチララが察知すると、

「大変だ!あやしい予感がする」

つぼみたちにそのことを伝える。

「お兄ちゃん…!」

「大丈夫か!?」

「晴斗くん、しおりちゃん、ここで待ってて!」

「わかった」

「うん」

晴斗としおりを安全な場所に避難ひなんし、つぼみは外に出る。

「さあ、変身よ」

つぼみは、プリンセスミラーでラブリーピンクに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

つぼみは、ピンクの光に包まれていく。

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ラブリーピンクが現れると、

「新横中駅に行こう!」

「うん!」

チララの言葉通り、新横中駅へと向かう。

そこには、怪盗かいとうトリオの姿があった。

「あら、またお会いすることができて光栄こうえいですわ」

「本日のじゅうはこちら!」

幻像げんぞうの魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、長い銀髪ぎんぱつにノースリーブの青いドレスをまとった女性をかたどった幻像の魔獣が現れた。

「これは、ショパンの夜想曲!つまり、ノクターンの楽譜がくふだ!あいつがピアノをいていたということだ!」

チララは、新横中駅構内のピアノを魔獣が弾いていたことを、明らかにした。さらに、

「ちゅぴ!どうやら晴斗に会いたいといっている!」

とチララが察した。そこに、晴斗がけつけてくる。

「母さんの声と姿が似ている…」

晴斗としおりは、幼少期ようしょうきに母親を病気でくしてから、横中で藤村刑事が男手一つで育ててきた。しかし、藤村刑事が国際警察の一員になり、しおりがやみの力による原因不明の病気で入院してから、晴斗としおりの間に教育格差が生じてしまったのだ。

 すると、ピルルが現れた。

「ローズクォーツのマジカルジュエルでパワーアップよ」

「今度はキミの番だ」

「僕も、つぼみ、いや、ラブリーピンクのことを信じている!」

「さあ、行くよ」

ラブリーピンクはローズクォーツのマジカルジュエルをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ラブリーピンクによる魔獣の浄化が始まった。

「It’s all right.」

「その先の未来へ」

「見果てぬ世界へ」

「歩いていこう」

「きれいごとは完全に」

「耳を向けないで」

「ずっと心の中に」

「正義があるよ」

「君が語る言葉に」

「なぜか 勇気が」

いてくる」

「It’s all right.」

「一人じゃない」

「仲間がいる」

「喜びきしめて」

「It’s all right.」

「La la la…」

「It’s all right.」

「その先の未来へ」

「見果てぬ世界へ」

「歩いていこう」

「It’s all right.」

「ローズクォーツのかがやきでパワーアップ!乙女おとめの愛!ローズクォーツ・スイート・ハート!」

ラブリーピンクはプリンセスバトンロッドでパステルピンクのハートをえがき、魔獣に向けて放つ。すると、魔獣は消滅しょうめつした。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「ラブラドライト。黒いマジカルジュエルだ。ラブラドル長石とも呼ばれるラブラドライトは、光を当てるとにじいろの輝きを示す性質を持つ。これはイリデッセンスという現象であり、ラブラドル長石のものは特にラブラドル効果かラブラドレッセンスと呼ばれる。はんれい岩、玄武岩げんぶがんなど塩基性えんきせい火成岩かせいがんふくまれるしゃ長石ちょうせきは多くはラブラドル長石である。ホワイトラブラドライトは、間違まちがって、ブルームーンストーンかロイヤルブルームーンストーンとして売られている場合もある」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

ラブリーピンクが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 それから、

「しおり、勉強しようか」

「そうだね」

晴斗としおりは、ドリルを使って学習を行う。

「漢字と計算のドリルを用意したけれど、まずはどこから始めたらいいの?」

「しおりが望んでいるなら」

「じゃあ、漢字から」

「わかった」

しおりは、国語と算数に自信があるという。クラスでの成績が優秀ゆうしゅうな晴斗のサポートを受けて、しおりは勉強を進めていった。

 その頃、つぼみたちはポートフロンティア学園の図書室で自習を行っていた。

「わからないことがありましたら、私に聞いてくださいね」

テストでは全教科満点が続いているアリスが、何でも教えてくれるという。

「三人称や単数には、sやesを付ける!」

らんさん、理解できていますね」

「あっ、この漢字の書き順がわからないけど…」

「私が教えますよ」

沙奈さなと蘭は、授業内容を覚えている様子。

「つぼみさん、どうかしましたか?」

「うーん、これがわからないよ」

つぼみはなかなか学力が伸びなやんでいる。実際、社会と数学を苦手にしており、特に社会の歴史がわからないという。

「それなら、つぼみさんにあるものをわたします」

「ありがとう!」

「大事に使ってくださいね。勉強に一役買っていただけたら幸いです」

そんなつぼみにアリスがプレゼントしたのは、日本史の漫画まんがだった。つぼみは、苦手な歴史を克服こくふくすべく、より一層努力するのであった。

 「すべての人々への包摂的で公正な質の高い教育を提供ていきょうし、生涯しょうがい学習がくしゅうの機会を促進そくしんする。適切で効果的な学習成果をもたらす。無償むしょうで公正で質の高い初等教育と中等教育を修了できるようにする。質の高い乳幼児の発達やケアと就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。手の届く質の高い技術教育と職業教育や大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。技術的スキルや職業的スキルなど、雇用こよう、働きがいのある人間らしい仕事や起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者しょうがいしゃ、先住民や脆弱ぜいじゃくな立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。読み書き能力や基本的計算能力を身に付けられるようにする。持続可能な開発のための教育や持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和や非暴力的文化の推進、世界的・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、すべての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識や技能を習得できるようにする。持続可能な開発のための教育と持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和と非暴力的文化ひぼうりょくてきぶんかの推進、世界的なシチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献こうけんの理解の教育を通して、すべての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識や技能を習得できるようにする。子ども、障害やジェンダーに配慮はいりょした教育施設を構築かつ改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的ほうせつてき、効果的な学習環境を提供できるようにする。開発途上国、特に後発開発途上国や小島嶼開発途上国しょとうしょかいはつとじょうこく、アフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術 、技術・工学・科学プログラムなど、先進国や開発途上国における高等教育の奨学金しょうがくきんの件数を全世界で大幅に増加させる。だから、質の高い教育をみんなに与え続けなければならない」

その時、ポートフロンティア学園の屋上にいたチャミィはこうつぶやくのであった。

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