第76話 スパークルと東京と輝きの城

 つぼみたちは、藤村ふじむら刑事けいじとおまかせトリオからの情報をたよりにパラレルワールドの東京にたどり着いた。

「東京は、日本における政治・経済・文化の中心である。政治面では、日本政府が本拠地ほんきょちとしている。立法府である国会の議事堂、司法府の頂点ちょうてんである最高裁判所、行政府の長である内閣総理大臣の官邸かんてい、中央省庁街などは、いずれも東京の中心部である東京二十三区にある。経済面では、日本の株式かぶしき上場じょうじょう企業きぎょうの本社のほとんどが東京に集中し、近年では購買力こうばいりょく平価を基にしても東京は、世界的な経済都市であり、大消費地でもある。文化面では、たとえば現在では千数百におよぶ劇場・ホール・ライブハウス類があり多数のアーティストたちが活動する場であり、ポップカルチャーなどの新しい文化の発信地でもあり、ミシュランガイドの星つきの飲食店の数は世界最多で、世界各国の食文化がはなひらいている場所でもある。東京は、日本各地、近隣きんりんの国々、世界各国から人々が 観光に訪れる都市であり、さらに東京に移住した外国人の人口は二〇二〇年一月時点で、およそ五十七万七千人で、ひとり暮らしや家族単位の暮らしをしている人々も多いが移民街も形成されており、多文化共生、つまり様々な国の文化背景を持つ人々が仲良く暮らすことが、以前からそれぞれの地区の善意の人々によって進められており、近年では行政によっても積極的に推進されている場所でもある。東京のこれまでの道程どうていは決して平坦であったわけではなく、関東かんとう大震災だいしんさい東京とうきょう大空襲だいくうしゅうで焼け野原となってしまったこともあるのだが、戦後に復興ふっこうのために膨大ぼうだいな努力で、現在では世界最大級のメトロポリス・世界都市となっている。東京は明治期にも課題が山積みの都市であったが、現在も、高い犯罪率、人口過密、通勤ラッシュなど、さまざまな課題をかかえている都市である。江戸幕府の所在地だった江戸という都市が一八六八年九月に東京に名称めいしょう変更へんこうされたものである。もともと江戸時代の江戸の地には江戸幕府すなわち政府が置かれ、徳川家の人々と老中ろうちゅうらが政治を行っており、その一方で京都にも朝廷があり、天皇と太政官がいるといった状態の役割分担や二重構造があったが、翌年の三月二十八日に、京都に都としての位置付けを残したまま、東京に奠都てんとされた。こうして東京は日本の事実上の首都の役割をになってきた」

「ロイヤルシード集め以来、ここに来たけど何も変わっていないよ」

「初めてだけど、人も明かりもない!」

アレキサンドライトのマジカルジュエルを回収するためにここを経由したときと、まったく同じ光景だった。

 すると、

「待っていたのでちゅ!あたしはスパークルでちゅ!」

高層ビルの屋上から、九賢人の一人であるデイジーが現れた。

「プリンセスハートを手にしたけりゃ、あたしに勝つのでちゅ!」

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

にじいろの光がカレンを包む。

「希望と未来のプリンセス・ロイヤルレインボー、見参!」

 続いて、

「プリンセス・ロイヤルチャージ!」

ロイヤルレインボーがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「3,2,1,Go!」

とピュアロイヤルメイクドレッサーにかがやきをチャージする。

 「あいよ、美しさよ、知性よ、友情よ、勇気よ」

ピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシードをセットすると、

「ロイヤルシード・セット!プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

金とぎんの光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズが現れると、

「行くでちゅ!」

スパークルが、アイドルファンにふんした手下を連れてきた。

「ペンライトアタック、いきまちゅ!」

すると、手下はペンライトをってプリンセスドールズに襲い掛かってきた。

「うわっ!」

「まぶしい!」

しかも、ペンライトに明るさはとてつもなくまぶしい。

「ちかちかした光をなんとかしなければ!」

しかし、チララは思い切った行動に出た。

「ペンライトを回収しよう!みんな、手伝って!」

「うん!」

チララは、コロンやチャミィとともに手下からペンライトを強奪ごうだつする。

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

「ほいっと!」

三匹の連係プレーで、ペンライトをすべて回収することに成功した。

「何でちゅか!?ペンライトが無駄むだになっちゃたのでちゅ!」

 「今がチャンスだ!」

「心の輝きを信じて」

「ロイヤルシード・セット!」

プリンセスドールズがピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシード・フェアリーハートをセットすると、

「プリンセス・ロイヤル・パワーアップ!」

虹色の光に加え、金と銀の光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・ハートフルフォーム、ここにて見参!」

 それから、つばさかざりがついたロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによるスパークルの撃退げきたいがはじまった。

「どうして」

「夢の終わりをいのるのは」

れた大地にも」

「光はすのに」

「白き光と」

「黒い暗闇くらやみ

「輝きは世界に」

「満ちあふれるのに」

間違まちがったことを終わらせて」

「愛の意味と希望を」

「私に」

「新しい夢をえがこう」

「君と一緒に」

「虹色の光をさずけて」

やさしく 安らかに」

「生きたいという希望がある」

「さあ」

「心のメロディー」

「最後の歌を今」

「強き者だけの」

「世の中じゃないから」

「Brand New World」

「愛のメッセージ」

「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ハートフル・シンフォニー!」

プリンセスドールズはロイヤルクリスタルロッドをスパークルに向ける。すると、

「アンコールはお断り」

と言って、立方体の光に包み込まれたスパークルの撃退に成功した。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララはプリンセスハートのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とプリンセスハートの回収に成功する。

「これは、プリンセスハート・イエローだ!」


そして、

「さあ、今こそ、心のとびらを!」

「開け、輝きの城!」

つぼみとチララが魔法まほうの言葉をとなえると、イエローとデイジーのプリンセスハートによって輝きの城の解放に成功した。

 「私たちを助けてくれてありがとうございます」

すると、輝きの城の女王が現れた。

「すごく明るい!」

「ここは、いつも夜だからね」

輝きの城は、イルミネーションに囲まれているのだ。

「そのことを、王子さまと女王さまにも伝えてください」

「はい!」

つぼみたちは、輝きの城が闇の力から解放されたことをプラチナと光の女神に報告するのであった。

 一方その頃、

「よろしくお願いいたします」

「お願いいたします」

藤村刑事とつる首相しゅしょうは現実世界の東京で対談たいだんを行っていた。

「九賢人の目撃情報が全国で相次いでいる中、どんな対策を取っているのか?」

「国民の皆様には徹底てっていしたステイホームをお願いしている。特に、夜間や週末の外出はおひかえいただきたい」

「プリンセスドールズについて、どう思うのか?」

「デジタルトランスフォーメーションや少子しょうし高齢化こうれいかが進んでいく中、彼女たちは我々に希望を与える存在となっている。日本、いや世界の未来がどうなっていくかをにぎる重要な少女たちだから…」

藤村刑事からの質問に答える鶴城首相。すると、鶴城首相のスマートフォンに官房かんぼう長官ちょうかんから電話がかかってきた。

「総理、今すぐ官邸にもどってください。新たな九賢人の目撃情報が入ってきました」

なんと、また新たな九賢人の目撃情報が飛び込んできたのだ。

「今度は北日本にいるらしい」

「そうか。では、気を付けて」

事態を重く見た鶴城首相は急遽きゅうきょ官邸かんていで対策本部会議を開き、藤村刑事は九賢人を追跡ついせきすべく北日本へ向かうのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る