横中のふしぎ事件

第68話 世界をつなぐ希望の桜

 夏休みが終わり、つぼみたちは晴斗とプラチナによってある場所へと招待された。

神門みかど先生せんせいから神社に来てほしいと伝えられた」

「ちょっとついてきて」

つぼみたちがたどり着いたのは、神門神社。そこには、ソメイヨシノがご神木となっている。

「サクラはヨーロッパ・西シベリア、日本、中国、アメリカ・カナダなど、主に北半球の温帯に広範囲こうはんいに自生しているが、歴史的に日本文化に馴染なじみの深い植物であり、その変異へんいしやすい特質から特に日本で花見目的に多くの栽培品種が作出されてきた。このうち観賞用として最も多く植えられているのがソメイヨシノである。鑑賞用かんしょうようとしてカンザンなど日本由来の多くの栽培品種が世界各国に寄贈きぞうされて各地に根付いており、英語では桜の花のことをCherry blossomと呼ぶのが一般的いっぱんてきであるが、日本文化の影響からSakuraと呼ばれることも多くなってきている。サクラの果実はサクランボまたはチェリーと呼ばれ、世界中で広く食用とされる。日本では、しお梅酢うめずけた花も食用とされる。サクラ全般の花言葉は精神の美・優美ゆうびな女性、西洋ではすぐれた教育も追加される。桜では開花のみならず、散ってさくら吹雪ふぶきみやびな様を日本人の精神に現した。国の天然記念物に指定されているサクラは、沖縄県おきなわけんから東北地方まで二十五都府県に三十九件あり、このうちかり宿じゅくの下馬ザクラと大島のサクラかぶは特別天然記念物に指定されている」

チララとチャミィは、さくらの木に登っている。

「ソメイヨシノは、母をエドヒガン、父を日本固有種のオオシマザクラの雑種ざっしゅとする交配で生まれた日本産の栽培品種のサクラである。遺伝子研究の結果、一九九五年にソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種が交雑してできた単一の樹を始源とする、栽培品種のクローンであることが明らかにされた。日本では、サクラは固有種をふくんだ十か十一の基本の野生種を基に、これらの変種を合わせて百種以上の自生種がある。さらに、これらから古くから改良開発されてきた栽培品種が二十種以上あり、分類によっては六百種とも言われる品種が確認されている。これら多品種のサクラのうち、ソメイヨシノは江戸時代後期に開発され、昭和の高度経済成長期にかけて日本全国で圧倒的あっとうてきに多く植えられた。このため今日では気象庁が沖縄県以東、札幌さっぽろ以西いせいの各地のサクラの開花・満開を判断する標本木としているなど、現代の観賞用のサクラの代表種となっており、単にサクラと言えばこの品種を指す事が多い。ソメイヨシノの樹形は横に大きく広がる傘状(かさじょう)である。花弁はなびらは五枚で葉が出る前に花が開き、満開となる。開花期は九州・四国地方で三月下旬頃である。花色はつぼみではうてなとうも含めてい赤に見えるが、き始めはたん紅色こうしょくで、満開になると白色に近づく。原種の一方であるエドヒガン系統と同じく満開時には花だけが密生して樹体全体をおおうが、エドヒガンよりも花が大きく、派手である。エドヒガン系統の花が葉より先に咲く性質とオオシマザクラの大きくて整った花形を併せ持った品種である。ソメイヨシノ誕生以前に花見の主流だった野生種のヤマザクラより開花してから散るまでが速いと誤解ごかいされることも多いが、これはヤマザクラが野生種で同地でも花期に前後のはばがあるのに対し、ソメイヨシノは栽培品種のクローンであり花期が同地では統一されていることから起きた誤解であり、単一の木で見れば、むしろソメイヨシノの方がヤマザクラより花期は長い。うてなつつ紅色べにいろで、つぼのような形をしている。樹高はおおよそ十メートルほどである。若い木から花を咲かすために非常に良く植えられている。実は小さく、わずかにあまみもあるが、苦みと酸味さんみが強いため、食用には向かない。遺伝子マーカーを用いた研究で、各地から収集されていたソメイヨシノが同一クローンであることが確認されるなどして、ソメイヨシノはクローンであることが判明しており、各地にある樹は全て人の手でぎ木やし木で増やしたものである。ソメイヨシノの発根性の問題から挿し木より接ぎ木の方が繁殖はんしょくの成功率が高いことから、接ぎ木を主流として増殖されたと考えられている。ソメイヨシノのゲノム構成はヘテロ接合性が高く、自家不和合性が強い品種である。よって遺伝子が同一であるソメイヨシノ同士では結実しても種子が発芽はつがに至ることはないが、ソメイヨシノ以外のサクラとの間での交配は可能であり、実をつけその種子が発芽することもあり不稔性ふねんせいではない。こうして誕生したサクラはソメイヨシノとは別品種になる。ソメイヨシノとその他の品種の桜の実生子孫としては、ミズタマザクラやウスゲオオシマ、ショウワザクラ、ソメイニオイ、ソトオリヒメなど百種近くの品種が確認されている。このようなソメイヨシノの実生種から、ソメイヨシノに似て、より病害などに強い品種を作ろうというこころみも存在する」

その近くでは、晴斗とプラチナが神門神社の桜にいて解説している。

「この桜の木、ここ数年は花が咲いていない」

「つまり、れかけの状態だ」

すると、

「これは、こことおとぎの世界、パラレルワールドをつなぐとされている!」

「もし春に花が咲くとしたら、三つの世界がつながるというのだが…」

チララとチャミィも、桜の木を知っているようだ。

 すると、

「うわっ!」

「何をするつもりだ!」

突然とつぜん、桜の木の下にあかおにと青鬼、黄色い鬼が現れた。

「ちゅぴ!桜の木を伐採しようとしている!」

「大切なご神木を切り倒すなんて、許さない!」

チララと晴斗が怒りをあらわにすると、

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

にじいろの光がカレンを包む。

「希望と未来のプリンセス・ロイヤルレインボー、見参!」

 続いて、

「プリンセス・ロイヤルチャージ!」

ロイヤルレインボーがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「3,2,1,Go!」

とピュアロイヤルメイクドレッサーにかがやきをチャージする。

 「あいよ、美しさよ、知性よ、友情よ、勇気よ」

ピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシードをセットすると、

「ロイヤルシード・セット!プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

金とぎんの光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズが現れると、

「鬼は外!」

「福は内!」

コロンとチャミィが鬼たちをいはらう。

 「今がチャンスだ!」

「心の輝きを信じて」

プリンセスドールズがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによる鬼退治が始まった。

「今こそ 力を一つに」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「美しく速く進め」

栄光えいこう つかむために」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「世界の人々に向けて」

「大きな声でさけぶよ」

「誰かのピンチ救うため」

「いつも」

「Don’t stop.」

「たとえつまづいたって」

「すぐに立ち直れる」

現在いまという時代」

「だからこそ」

「輝く未来 築こう」

「賢い人は頭脳ずのうを生かせ」

「勇気のある人 力を生かせ」

「今こそ 力を一つに」

「がんばれ Fight」

「はばたけ Flight」

えがいた夢目指して」

「大輪に咲き誇る桜」

あいいろのダイヤモンド」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「美しく速く進め」

「栄光 つかむために」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「私たちのバトン」

「あなたにつなぐために」

「夢と希望をもって」

「立ち上がる」

「Going on」

「パスを重ねて点を決めるんだ」

「ゴールのマウスにかぎをかけるんだ」

「今こそ 力を一つに」

「がんばれ Fight」

「はばたけ Flight」

「描いた夢目指して」

「黄金に光る太陽」

いくせんの星の子たち」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「世界で一つだけの道」

「夢に向かって走れ」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「一人ではやっていけない」

「私たちがいる」

「みんなもここにいる」

「一緒に エールを」

「エールを送ろう」

「がんばれ Fight」

「はばたけ Flight」

「描いた夢目指して」

「黄金に光る太陽」

「幾千の星の子たち」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「世界で一つだけの道」

「夢に向かって走れ」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「今こそ 力を一つに」

「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ロイヤル・レボリューション!」

プリンセスドールズはロイヤルクリスタルロッドを鬼たちに向ける。すると、鬼たちの撃退げきたいに成功した。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララはプリンセスハートのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とプリンセスハートの回収に成功する。

「これは、プリンセスハート・ローズだ!」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、桜の木の伐採はまぬがれた。


 それから、

「ねえ、晴斗くんは私と出会った時のことを覚えている?」

「もちろんだ」

つぼみと晴斗は、まだ神門神社にいた。

「確か、ここで出会ったような…」

それは、今から九年前の春の出来事。満開の桜の木の下で、当時は年中だったつぼみと晴斗は出会った。

「私、愛沢あいざわつぼみ!」

「僕は藤村晴斗ふじむらはると

「よろしくね!」

「よろしく」

父親である藤村刑事の仕事の関係でニューヨークから引っしてきた晴斗は、つぼみとすぐさま仲良くなった。

「ねえ、一緒に帰ってもいい?」

「もちろん」

それから、つぼみと晴斗は、幼稚園ようちえんと小学校に加えてポートフロンティア学園でもクラスはずっと同じである。

「あれから九年か…」

「そうね…」

あの日から九年の月日が流れ、神門神社の桜は今にも枯れてしまいそうになっている。

「プリンセスハートがすべて集まったのなら、もう一度花が咲くのかも?」

「その可能性はある」

つぼみと晴斗は、桜の復活にはプリンセスハートを集めていくしかないと考えるのであった。

 一方その頃、

「ざます、ざます、ざます…」

パラレルワールドにいるアクシアによる魔法まほうは順調に進んでいるようだ。

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