最後のマジカルジュエル

第56話 シトラスイエローVSグリーン・ガンマ

 ロイヤルシードとアレキサンドライトのマジカルジュエルを手にするため、カレンを取りもどすため、つぼみたちはパラレルワールドにたどり着いた。

「ここは、誰もいない新宿ですね」

「新宿駅東口を中心とした繁華街はんかがいの規模は東京最大級で、年間販売額は日本一位をほこる。百貨店ひゃっかてん不況ふきょうでも新宿エリアは巨大きょだい百貨店ひゃっかてんよん店舗てんぽもある百貨店激戦区である。他にも新宿エリアは日本最大の歓楽街かんらくがいである歌舞伎かぶきちょうや、超高層ちょうこうそうビルが林立し東京有数のビジネス街である西新宿をようする。駅から少しはなれた新宿二丁目は日本最大のゲイタウンとして知られている。このように特徴とくちょうとして地区ごとに様々な機能や顔をあわせ持ち、開発時期もそれぞれことなるため雑多な雰囲気ふんいきを持つ。また、新宿駅は世界一の利用者数を誇るターミナル駅であり、昼夜を問わず人の波が途絶えることはない。駅に併設へいせつしているバスターミナルは、新宿は東京の一大交通拠点として発展している。武蔵野むさしの台地だいちの東方に位置し、江戸時代には甲州道中こうしゅうどうちゅうの宿駅として栄えた。明治めいじ維新後いしんごに日本鉄道の山手線の駅が置かれた。当時、新宿の町の中心は江戸時代から続く甲州街道の宿場町である内藤ないとう新宿しんじゅくがあった辺りであった。鉄道てつどう黎明期れいめいきでは繁華街や既成の市街地などで鉄道に対する反対運動が激しく、内藤新宿に駅を設置できなかった。そのため新宿駅は西側の町外れに置かれ、駅周辺は閑散かんさんとしていた。市政しせい施行しこうには新宿は東京市域にもふくまず、当時の渋谷しぶやいけぶくろと同様、新宿駅は田畑の広がる東京郊外の田舎いなかの駅であった。中央線の前身であるこう鉄道てつどうが新宿駅から八王子駅間はちおうじえきかんが開業すると、徐々に新宿駅を中心として町が発展はってんしていった。繁華街として本格的な発展をげたのは、関東かんとう大震災だいしんさい以降いこうのことである。すなわち、銀座ぎんざ浅草あさくさなどに比べて武蔵野台地上にある新宿は表層ひょうそう地盤じばんが非常に強く被害が軽微けいびで、震災後に下町から移り住んで人口が激増した西部郊外にとって当時の中央線が都心に乗りえなしに行ける唯一の鉄道であったため、私鉄各線から乗り換え需要で新宿に交通が集中するようになり、戦前期には、新宿駅東口は都内有数の一大繁華街となったのである。戦後直後は東京の他のターミナル駅同様、駅前に闇市やみいちが形成された。戦後、高度成長期を中心に東京の郊外は一貫して西側へ拡大していき、郊外住宅地に住む人々が千代田区の丸の内や大手町、中央区の日本橋などの都心部へ通勤・通学するための乗換駅としての役割を果たすとともに、鉄道交通の拠点きょてんとして都心部の繁華街に匹敵・凌駕するまでの商業地として発展していくこととなる。これは他の副都心ふくとしんの渋谷や池袋も同様である。東口に比べてそれまで発展がおくれていた西口は、淀橋ばし浄水場じょうすいじょう閉鎖へいさされ、その跡地あとちで新宿副都心の開発が始まると、東京都庁移転などを経て、超高層ビルが林立する大規模オフィス街に発展した。三大副都心の中では最もオフィス機能が集積している。かつては若者の街、若者文化の流行の発信地といえば新宿を指していた。一九九〇年代以降は、新たな鉄道駅の設置により、複合型の超高層ビルや超高層マンション、オフィスビルを中心とした再開発が進んでいる。新宿は地区ごとに開発時期やコンセプトが異なるため機能や雰囲気が異なるエリアが継ぎぎのように足されることによって拡大・発展してきた。そのため、駅周辺の回遊性がとぼしく、特に東西の移動は新宿駅によって大きくはばままれており、駅の導線は複雑で分かりにくいものとなっている。それに対して東京都や新宿区などは新宿駅の東西自由通路を設置するなどして、回遊性の向上を図っている。将来的には新宿グランドターミナル計画を通して、さらなる回遊性の向上と新宿駅・駅ビル・駅前広場の一体的大規模再開発を目指している。新宿グランドターミナル計画の一環として、線路上空に東西を結ぶ歩行者デッキを設置することが計画されている。全体の計画として、完成は二〇四〇年代を予定しており、新宿駅周辺はこれから大きな変化を迎える」

アリスが目を覚ますと、パラレルワールドの新宿にいた。

 するとそこに、

「よくここまで来たな!」

怪盗かいとうトリオのガンマの姿があった。

「ロイヤルシードを手にしたいのであれば、おれを倒してみろ!」

「それでは、始めます!」

アリスは、プリンセスミラーでシトラスイエローに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

アリスを黄色い光が包み込む。

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」


 シトラスイエローが現れると、

「俺の力を思い知らせてやる!」

ガンマが車を持ち上げた。そう、彼はオメガによって強い力を手にしたのだ。

「うひゃー!」

「危ない!」

投げつけられた車がシトラスイエローをおそうが、チララのバリアで万事休す。

 しかし、

「まだまだこれから!」

ガンマはこれだけでは終わらなかった。なんと、大型バスを持ち上げたのだ。

「よけろ!」

それでも、チララが下したとっさの判断で、シトラスイエローは大型バスの下敷したじきにならずに済んだ。

「こんなに小さな体なんですが、私は負けません!」

シトラスイエローは、プリンセスドールズの中で最も背が低いが、知識とひらめきはずば抜けている。

「何だと!?」

こうなげ(なげ)くガンマを横目に、

「今がチャンスだ!」

「行きます!」

シトラスイエローはプリンセスミラーにシトリンのマジカルジュエルをセット。その力をプリンセスバトンロッドにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

シトラスイエローによるガンマの改心が始まった。

「花がいて 鳥も鳴いたら」

「あたたかな季節がはじまる」

「たんぽぽの綿毛が」

「飛んでいかないうちに」

「風がいて 月も光ると」

「一日の終わり」

「光に照らされていく」

「黄色のきくが」

「はちみつ色の日々」

「私の人生は」

あまくてほんのり」

「味を感じるの」

「Honey Days」

「It’s a Wonderful Life」

「花が咲く 太陽浴びて」

「新しい日 始まる」

「東に差し込んでくる」

「希望の光」

「はちみつ色の日々」

「今の気持ち」

「なんてハニカムなんだろう」

「はちみつ色の日々」

「私の人生は」

「甘くてほんのり」

「味を感じるの」

「Honey Days」

「It’s a Wonderful Life」

次は、トパーズのマジカルジュエルを使う。

「人生は一度きり」

「得意なことより」

「好きなことがいい」

「だけど」

「遊びもいいけど」

「学びもきちんとね」

「時にはきっと苦しい」

「命ってとうとい」

「すべてを受け止めて」

「歩みを止めない」

「そう 人生は一筆書き」

「真っ白なキャンバスに」

「どんなふうにえがこうかな」

「パパとママと先生も」

「おじいちゃんおばあちゃんも」

「そして 子供たちも」

「みんな同じ」

「世界の中に」

「暮らしているよ」

「個性を生かしながら…」

「人生は一度きり」

「空はいつもお見通し」

「人生は一方通行」

「みんな One Chance」

「生かして One Chance」

乙女おとめの勇気!ハニー・フローラル・セラピー!」

シトラスイエローがプリンセスバトンロッドで黄色い花を描き、ガンマに向かって放つ。すると、ガンマはその場に倒れこんだ。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララはロイヤルシードのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とロイヤルシードの回収に成功する。

「ちゅちゅ!これは、ロイヤルシード・イエロー!シトラスイエローをパワーアップするためのアイテムだ!」

 そして、

「ガンマ!」

「俺を助けてくれてありがとう!もうすっかり元気だぜ!」

ロイヤルシード・イエローの力で、ガンマは改心した。

「お前には、俺がかつていた場所でやらなければならないことがある!」

「アレキサンドライトのマジカルジュエルとカレンを必ず取り戻して見せます!」

頑張がんばってくれ!」

シトラスイエローは、ガンマに見送られながら時空のけ目へと入っていった。


 その様子を、晴斗とプラチナは、ダークネス団によって連れ去られているカレンからたくされた水晶すいしょうだまを通して見ていた。

「シトラスイエローによって、ガンマの闇の力を取り除くことに成功した」

「ちなみに、ロイヤルシード・イエローには、プリンセスドールズの知性が秘めているからね」

喜んでいるのもつかの間、

「ちゅぴ!」

「チララだ!」

「どこにいるのか!?」

「ボクは今、パラレルワールドの池袋にいる!池袋は、新宿、渋谷と並ぶ山の手の副都心の一つ。略称りゃくしょうはぶくろである。池袋駅を中心に駅の東口及び西口には大規模な繁華街が広がり、巨大な百貨店や専門店、飲食店などが局在する。北口及び東口サンシャイン通り裏手うらて、同明治通北側一帯には大規模な歓楽街がある。一日に約百万人の集客人員がある。東口には家電量販店かでんりょうはんてんの激戦区になっている。他にもラーメン激戦区・書店激戦区としても知られる。池袋駅が巨大な鉄道ターミナルであり、池袋駅の一日いちにち平均へいきん乗降者数じょうこうしゃすうは約二百七十万人である。これは新宿駅・渋谷駅に次いで世界三位である。池袋駅は埼玉県さいたまけん方面ほうめんに伸びる路線が多数乗り入れ、埼玉県からのアクセスがよいため、通勤・通学・買い物で利用する埼玉県民が多い。また池袋駅の駅ビルが発達し、駅だけで買い物などが事足りてしまうため、新宿や渋谷と比較ひかくして面的な街の広がりが小さいことを揶揄やゆして駅袋と言われることもある。池袋駅北側にあるいけふくろうは池袋の待ち合わせ場所として知られている。池袋駅西口方面には観光地化されていない中華街ちゅうかがいが広がっており、中国から直輸入した食品・書籍しょせきや本場同様の料理を提供ていきょうする店が存在する。例えば、在日中国人が日常生活で利用する店が営業している。また、在日中国人によるビラ配り等も散見される」

チララが水晶玉に映った。

「つまり、東京が今、イノセントワールドと変貌へんぼうしつつあるのか?」

「そうだ!」

チララは、パラレルワールドの東京を晴斗とプラチナに報告する。

「では、イノセントワールドから解放できる方法は?」

「プリンセスドールズがアレキサンドライトのマジカルジュエルを手にするしかない」

晴斗とプラチナは、危機感をあらわにした。

 一方その頃、オメガはダークネス団のアジトにいた。

「ロイヤルシード・イエローがうばわれてしまったのか…」

シトラスイエローによって、ロイヤルシード・イエローを失ったことを知っているオメガ。それでも、

「まだロイヤルシードは残っている。ここでギブアップするわけにはいかない」

とすぐさま前を向いていた。

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