第47話 琴音の心に秘めたもの

 ある日、つぼみの家にプリンセスジュエルの妖精ようせいが現れる。

「あれは、琴音のパートナー?」

「そう。私の名前はアカルル。プリンセスジュエル・レッド&ゴールドの妖精よ」

アカルルはつぼみたちに挨拶あいさつすると、

「私は、人々に勇気や活力を与える力を持っているわ。だから、あなたにそれをあげる」

「これは、金のマジカルジュエルの力!見かけは光沢こうたくのあるオレンジがかった黄色や金色にかがやくわ。金属としては重く、やわらかく、可鍛性かたんせいがあるの。展性と延性に富み、非常にうすく延ばしたり、広げたりすることができるの。同族のどうと銀が比較的ひかくてき反応性はんのうせいに富むこととは対照的に、標準ひょうじゅん酸化さんか還元かんげん電位でんいに基くイオン傾向けいこうは全金属中で最小であり、反応性が低いのよ。金を溶解する水溶液としては、王水、セレン酸、ヨードチンキ、酸素存在下でのシアン化物の水溶液があるの。熱水ねっすい鉱床こうしょうとして生成され、そのまま採掘されるか、風化の結果生まれた金塊きんかい沖積ちゅうせき鉱床こうしょうとして採集されるわ。これらの性質から、金は多くの時代と地域で貴金属として価値を認められてきたわ。化合物ではなく単体で産出されるため精錬せいれんの必要がなく、装飾品として人類に利用された最古の金属で、美術工芸品にも多く用いられたの。銀や銅と共に交換こうかん貨幣用かへいよう金属きんぞくの一つであり、現代まで蓄財ちくざいや投資の対象となったり、金貨として加工・使用されたりしているわ」

コロンに金のマジカルジュエルの力をさずけた。

 その頃、琴音ことねは横中ポートフューチャーにいた。

「ここが、シンボルタワーにスカイクロックね…」

横中の景色をながめている琴音。すると、怪盗かいとうトリオが突如とつじょとして現れる。

「あら、またお会いすることができて本当に光栄こうえいですわ」

「本日のじゅうはこちら!」

「風の魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、疾風しっぷういているような風の魔獣が現れた。

 「さあ、ショータイムのはじまりよ」

琴音は、エースミュージックポッドでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

赤と黄金色こがねいろの光が琴音を包む。

ほのおのプリンセス・スカーレットエース、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 スカーレットエースが現れると、

「さあ、やっちゃいなさい!」

「ガッテンだ!」

先ほどより強い威力いりょくの風が吹いてきた。すると、

一瞬いっしゅんでけりを付けて見せる」

とスカーレットエースは魔獣の手下を抹殺まっさつする。さらに、

「私は、ここで負けるわけにはいかない。心の炎で燃やして見せる!」

とプロミネンスエースカスタネットを両手に構えて、魔獣を波状はじょう攻撃こうげきする。

 「さあ、クライマックスよ」

スカーレットエースはエースミュージックポッドにガーネットのマジカルジュエルをセットする。その力をプロミネンスエースカスタネットに授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

スカーレットエースによる魔獣の浄化が始まった。

「愛の太陽」

「いつも心の中で晴れている」

「こんなにこころふるえるの 初めて」

「愛の太陽」

「周りに雲一つない」

「言えないけどあなたが好き」

「すごいけ足 はしわたった」

「あなたの元にサプライズ訪問するわ」

「電話したい」

「メールしたい」

「それでも まったく時間はない」

「愛の太陽」

「いつも心の中で晴れている」

「こんなに心震えるの 初めて」

「愛の太陽」

「周りに雲一つない」

「言えないけどあなたが好き」

「愛の太陽」

「いつも心の中で晴れている」

「こんなに心震えるの 初めて」

「愛の太陽」

「周りに雲一つない」

「言えないけどあなたが好き」

「ガーネットの輝きでパワーアップ!乙女おとめの力!ガーネット・スカーレット・ファイヤーワークス!」

スカーレットエースがプロミネンスエースカスタネットを魔獣に向けて響かせる。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅるるわー!」

とコロンはマジカルジュエルの気配けはいを察知した。マジカルジュエルが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とコロンがマジカルジュエルを回収することに成功した。それをエースミュージックポッドに認識して、

「トルマリン。いピンク色のマジカルジュエルよ。結晶けっしょうを熱すると電気を帯びるため、電気石と呼ばれているわ。弱い圧電体の一つで、圧電効果と焦電しょうでん効果こうかをもっているの。また、吸光型きゅうこうがた偏光子へんこうしとしての性質も持つわ」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

スカーレットエースが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 それから、

「つぼみ!」

「琴音、待っていたよ」

カフェでつぼみと待ち合わせした。

「そういえば、どうしてこれまで一人で戦ってきたの?」

「それは…」

 それは、今から半年前のこと。琴音は東京都心にある名門女子校に通っていた。

神門みかどさんが描いた作品が、全日本中学生美術コンクールで優秀ゆうしゅうしょうに入賞しました!」

琴音が絵画かいがコンクールの優秀作品賞をとっても、クラスメイトは誰も喜んでくれない。

「まじで最悪だ」

「あんた、またいるのか」

「神門、もう学校に来ないで」

クラスメイトにそんな悪口を言われてしまった琴音だったが、

「私、弱い自分を変えたい!だから、ドールプリンセスになる!」

と想い、プリンセスジュエル・レッド&ゴールドにプリンセスジュエル・ホワイト、エースミュージックポッドを空から授かった。

「これさえあれば、もう何もこわくない…。もう誰にもたよらない…」

こうして、琴音はスカーレットエースに覚醒かくせいした。

「さあ、ショータイムのはじまりよ」

その日から、

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

赤と黄金色の光が琴音を包み、濃い赤からあざやかなピンクになったかみを大きな赤いリボンで結ったサイドテールにツーピースのへそ出しが特徴とくちょうのドレスに身を包んだドールプリンセスの姿に変身する。

「炎のプリンセス・スカーレットエース、見参!」

しかし、琴音の周りには仲間は誰もいない。

「さあ、クライマックスよ。プリンセスステージ、ライブスタート!」

「暗くて深い やみの向こうに」

「一人さびしく たたずんでいた」

「だけどもう 怖がらないで」

「それは迷いを 断ち切ったしるし」

「春風に向かって 旅立っていく」

「さあ 夢のとびらを開こう」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

あいを守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」

砂漠さばくの街に 住んでいても」

「氷でおおわれた 場所にいても」

「心はいつだって 一つだから」

「それは つながっているしるし」

さくらう空 勇気を出して」

「さあ 一歩前へとみ出そう」

「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」

「世界を守るため 宇宙を守るために」

「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」

「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」

「人はみんなときめいている」

「だから ずっとわすれないで」

「心の輝きを信じて」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる」

「みんなのためにいる」

「それがプリンセスなんだから」

「乙女の力!スカーレット・ファイヤーワークス!」

琴音は東京の平和を守っていくが、

「こんな町、退屈たいくつすぎるわ。別の場所へと行きたい」

と感じてしまい、横中へと引っすのであった。

 「そんな過去があったんだね…。だから、琴音は今まで一人で戦ってきたのだね」

つぼみはこのことに、複雑な思いを抱えながら語った。

「お待たせしました。オレンジジュースとダルゴナコーヒーでございます」

「ありがとうございます!」

「ごゆっくりどうぞ」

「では、いただきます!」

「いただきます」

それから、つぼみたちは注文した飲み物を飲むのであった。


 一方その頃、パラレルワールドにあるダークネス団アジトでは、

「もう二度と負けるわけにはいかない」

ドクターはある計画を進めていた。

「おとぎの世界で代々から伝わっている伝説のマジカルジュエルと呼ばれているダイヤモンドとパールの輝きを我々は失ってしまった。だが、気持ちはすでに切り替わっている。幹部かんぶという心強い味方がいるのだから」

としたうえで、

「争いが起こらない代わりに輝きを失った世界…。それをイノセントワールドと我々は呼んでいる。その実現を目指すため、今、動き出す」

ドクターは、イノセントワールド計画を始動した。

 その様子を、家にいたプラチナとカレンはピュアロイヤルメイクドレッサーのかがみを通して見ていた。

「イノセントワールドか…」

「どういうこと?」

「言い伝えによると、ダークネス団にとって理想の世界だという。争いが起こらないことの代償だいしょうとして、輝きが完全に消えた世界のことを意味する。もし実現した場合、人々は力を失ってしまうのだろう」

「なるほど」

プラチナはカレンにイノセントワールドについて解説する。

 その時、ドレッサーの鏡から光の女神が現れた。

「カレン、あなたに伝えなければならないことがあります。世界中に満ちあふれている輝きを守るカギは、あなたがにぎっているのです。そう、あなたは私の正統な後継者ですから」

その言葉に、おとぎの世界の次期女王候補であるカレンは、

「立派な女王になるために、一生懸命何事にも頑張がんばるよ」

気丈きじょうに語った。

「世界中の輝きを守れるか否かはカレンの運命にかかっているのだろう」

その中で、プラチナは、これから何が起こるかわからない未来について語ったのであった。

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