第48話 みんなの心を結集するとき

 パラレルワールドにあるダークネス団アジトでは、ドクターがあることをたくらんでいた。

「我々はこれまでに、上海しゃんはい・パリ・ロンドン・ニューヨークを支配することに成功した」

 その時、モニターには人々が消えた世界中の主要都市を映し出していた。つまり、これはやみの力によってかがやきを失ってしまった世界なのだ。

「次なるターゲットは、東京だ」

そのうえで、ドクターは早くも次なる目標を打ち立てた。

 その頃、さくらき始めてようやく新年度が始まった横中では、二年目となるつぼみたちの学園生活も始まろうとしていた。

「つぼみ、今年もよろしくね」

「みんな、ありがとう!」

「力を合わせて頑張(がんば)りましょう」

つぼみは、昨年度に引き続き、沙奈さな・アリス・らん・晴斗と同じクラスになった。

 「これより、ポートフロンティア学園中等部始業式を行います。まず、初めに校長先生によるご挨拶あいさつです」

講堂で始業式の式典が開かれ、校長先生が式辞を述べる。

「この春休みは新学年に向けて有意義な期間に出来たでしょうか?新二年生の皆さん、去年の自分達を思い出しながら一年間で学んだ事をさらに活かしてください。また後輩こうはいが入ってきて先輩になりますので、一人一人が先輩としての責任と自覚を持ってください。そして新三年生の皆さん、いよいよ最後の学年です。勉強は勿論もちろん、残りわずかの部活動や行事など悔いなく毎日を過ごしましょう。どの学年もこれからいそがしくなります。先輩方から受け継いだものを守り、新入生をふくめ生徒一丸となって今年一年いい学校を作っていきましょう」

そして、在校生を代表して晴斗が新年度の誓いを述べる。

「我々ポートフロンティア学園中等部の生徒一同は、文武両道により一層励いっそうはげむことをここに誓います。ポートフロンティア学園中等部生徒代表・藤村晴斗ふじむらはると

晴斗が壇上から降りた途端とたん

「ドドドドドドドドド…」

地鳴りとともに、怪盗かいとうトリオが突如とつじょとして現れる。

「あら、またお会いすることができて本当に光栄こうえいですわ」

「本日のじゅうはこちら!」

振動しんどうの魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、地震じしんを起こすともうわさされている振動の魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

あいのプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!」

わたしたち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


プリンセスドールズが現れると、

「待ちなさい!」

「私も行く!」

「気を付けて!」

生徒たちとともに廊下ろうか避難ひなんしていた神門先生みかどせんせいの制止をり切った琴音ことねは、講堂の中に入る。そう、琴音もつぼみたちのクラスの一員になったのだ。

 「さあ、ショータイムのはじまりよ」

琴音は、エースミュージックポッドでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

赤と黄金色こがねいろの光が琴音を包む。

ほのおのプリンセス・スカーレットエース、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」

スカーレットエースが現れると、光の女神がおとぎの世界から現れて、

「今こそ、ピュアロイヤルメイクドレッサーの封印を解くのです」

とプリンセスドールズにアドバイスを送り、

「さあ、五人の力を、今ここに集うとき」

プリンセスドールズがピュアロイヤルメイクドレッサーの三面鏡さんめんきょうを開けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ピュアロイヤルメイクドレッサーでパワーアップしたプリンセスドールズによる魔獣の浄化がはじまった。

「Dash! Dash! Jumpingしよう!」

「心につばさがある」

「その先は」

「未来」

「Boys & Girls Don’t Think Feel!」

「ウインクだけはなぜか」

「うまくできない」

「笑顔のまま 毎日を」

「過ごしてる」

「選挙の日などはなんか」

「出かけたくなる」

「正午まで数えると」

「眠ってしまう」

きしめて」

「悲しくなったときは」

「抱きしめて」

「今は」

「もう大丈夫だよ」

「Yeah! Yeah! Lucky Every Day!」

「無限の可能性」

「みんなみんな」

「同じ」

「ひとりぼっちじゃない」

「Dash! Dash! Jumpingしよう!」

「心に翼がある」

「その先は」

「未来」

「Boys & Girls Don’t Think Feel!」

「好きな人といると」

「とても幸せ」

「もし魔法を使えるなら」

「時間止めたい」

「抱きしめて」

「友達同士だから」

「抱きしめて」

「もしも」

「さみしいなら」

「Yeah! Yeah! Lucky Every Day!」

「無限の可能性」

「空はいつも青く」

「晴れわたるから」

「Dash! Dash! Jumpingしよう!」

「心の翼広げたら」

「指切りの儀式」

「Boys & Girls Don’t Think Feel!」

「Dash! Dash! Jumpingしよう!」

「心に翼がある」

「その先は」

「未来」

「Boys & Girls Don’t Think Feel!」

「Yeah! Yeah! Lucky Every Day!」

「無限の可能性」

「空はいつも青く」

「晴れ渡るから」

「Dash! Dash! Jumpingしよう!」

「心の翼広げたら」

「指切りの儀式」

「Boys & Girls Don’t Think Feel!」

「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ピュア・エクストリーム!」

プリンセスドールズがピュアロイヤルメイクドレッサーのエネルギーをためていく。すると、プリンセスドールズが、

「アンコールはお断り」

と言って、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「タンザナイト。紺色こんいろのマジカルジュエルだ。タンザニアの石を意味するタンザナイトは、その名が示すとおり、キリマンジャロの夕暮れ時の空を映し出したような美しい青紫色をしている。多色性という特徴とくちょうを持っており、見る角度によって青色や紫色むらさきいろが強くなる宝石ほうせきである。同時に青と紫、紫と赤を有することもある。また自然光の下では透明感とうめいかんに満ちた美しい群青ぐんじょういろに、夜のライトや白熱灯の下では高貴な紫色に、蛍光灯けいこうとうの下では青色に輝く変化も見られる。この特長により、ブルーサファイアとの鑑別かんべつが容易であると言える。以前はタンザナイトがブルーサファイアに似ていたこともあり、多色性が少なく、青味が強いもののほうが高い評価を受けていたこともあったが、タンザナイトはサファイアとはまったくちがった観点から評価を下すものという動きに変化し、現在では多色性の強いものほど高い評価を得ている。色に関してはい紫、濃い青が出るものほど財産的価値は上昇じょうしょうし、反対に色がうすくなればなるほど価値は下がる。タンザナイトの原石そのものはインクルージョンが多い。青色の透明色を出すためには、原石を加熱加工する。タンザナイトはモース硬度こうどが低く、宝石の中でもかなり傷がつきやすい部類に入る。しかも、へき開性かいせいという衝撃しょうげきに対してもろい性質も持つため、大切にあつかわないと割れてしまい、欠けてしまうこともある。超音波洗浄器は禁忌きんきである。石言葉は、ほこり高き人・冷静・空想だ」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「もう、また負けちゃったんじゃないの!」

「今日は勝てると思ったのに!」

「次という次こそは絶対に勝つ!」

怪盗トリオはこうなげいて、マシーンに乗ってどこかに去っていった。


 それから、始業式は再開された。

「新たなる光輝く」

高志こしの国で」

「清く 正しく 高らかに」

「青空に映える」

白銀しろがね山脈さんみゃく

「横中で一歩いっぽむ」

「若者たちよ」

「誇り高く 希望をもって」

「ああ 青春の日々 行かむ」

「たくましき命輝く」

「港の街で」

「強く 優しく しなやかに」

「群青に映える」

き通る海」

「少年たち 少女たち」

「いざその時」

「大いなる夢を持って」

「ああ 横中の我が母校」

ポートフロンティア学園の校歌を斉唱せいしょうした後、

「以上を持ちまして、ポートフロンティア学園の始業式を終わります。一同、礼!」

こうして、始業式は無事に終了した。

つぼみたちが教室へと戻ると、

「二年一組の担任を務めることになりました、神門あかりです。よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」

「それでは、机に置かれている教材に落丁や乱丁がないかご確認ください」

神門あかりの担任の元、ホームルーム活動を行った。

「それでは、自己紹介をお願いします」

「東京都から来ました、神門琴音です。よろしくお願いいたします」

琴音も加わり、二年一組が始動した。

 その翌日、ポートフロンティア学園では、入学式が盛大に開かれた。

「本日は、私たちポートフロンティア学園新入生のためにこのように盛大な入学式をもよおして頂き、誠にありがとうございます。校長先生をはじめ、諸先生方並びに来賓らいひんの皆様にも、心より御礼申し上げます。明け方までっていた春の雨は上がり、私たちを包む景色はまるで輝いているように見え、母とともにこの会場に向かって歩く道すがら、桜の花や春の花々を見つけるたびに、まるでどの花も私たち新入生を祝福してくれているような気がいたしました。 先程から校長先生をはじめご来賓の皆様や、先輩方から温かいお言葉を頂戴ちょうだいし、誠に感無量であります。私はこれまで親がいてくれたレールを何の疑問も持たずに進んで参りました。しかし、この学校に入学し、皆様からのお言葉を頂戴する中で、ぜひともこの学校で多くの学びと経験を身につけ、将来自分がなりたいものを必ず見つけたいと強く思うに至りました。私たちには無限の可能性がある、そう信じさせてくれる柔軟じゅうなんさ、自由さがこの学校にはあるように思います。人間として成長すると同時に将来の夢をみつけ『なりたい自分になるための階段かいだんを昇りはじめる』のにふさわしい、絶好の場だと思うのです。私たちは、この学校で過ごせる六年間に、この学校で学べる六年間に、期待でむねを大きくふくらませております。最後になりますが、校長先生並びに諸先生方、そして先輩方にはあたたかいご指導とお導きのほどよろしくお願い申し上げます。私たち新入生一同は歴史と伝統あるポートフロンティア学園の学生としての誇りを持ち、その名にじぬよう実りある学生生活を送ることをここに誓います。以上を持ちまして私の宣誓せんせいの言葉とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました」

新入生代表のあいさつの後、生徒会役員で在校生代表の晴斗は、新入生たちに向けて言葉を残す。

「新入生の皆さん。このたびは入学おめでとうございます。私たち在校生一同は、皆さんの入学を心から歓迎かんげいしています。このポートフロンティア学園は、歴史と伝統のある学校であるのと同時に、生徒の自主性を重んじる自由な校風を持っています。部活動以外の、自主研究、国際交流も非常に盛んに行われており、実際に学生生活を送っている私たち在校生も、最初は少し驚いたほどです。生徒の自主的な活動に関する先生方のスタンスは、非常に柔軟であり、私たちポートフロンティア学園の学生の自慢じまんでもあります。授業中は眼鏡めがねおくにするどい眼光を光らせている先生方も、私たちの自主的な研究活動や国際交流に関しては非常に理解を示して下さり、普段は決して口出しをなさいませんが、困った時には時には必ず助けて下さいます。しかし、ただ単に何もせず、どんな活動にも参加せずに日々を過ごしていると、あっという間に時間だけが流れていってしまいます。皆さんの大切な六年間を実りあるものにするためにも、何か夢中になれるものをぜひ見つけて下さい。その他にぜひご紹介したいのは、この学校では、学年のかべを超えたイベントがいくつかあるということです。五月のスポーツ大会では、学年の枠を取り払って、チーム対抗たいこうで競い合います。おそらく明日あたり、上級生から皆さんに一緒に練習しようと声がかかることでしょう。私たちの愛するポートフロンティア学園へようこそ。これから一緒に学び、一緒に思い出を沢山たくさんつくりましょう。わからないことがあれば何でも聞いて下さい。皆さんが一日も早くこの学校に慣れるよう、在校生一同、応援おうえんしています。これからは僕たちが革命を起こすときです。これから君たちとともに新しい歴史を、輝かしい未来を築いていきましょう。以上を持ちまして私からの歓迎の言葉とさせて頂きます」

晴斗のスピーチは、新入生の心に残ったようだ。

 一方その頃、ドクターはダークネス団アジトで人間界の様子を見ていた。

「人間界の春は、桜の花が開くのか…」

人間界をリモート視察しているドクター。するといきなり、ドクターが重大発表を行う。

「我が本当の名前は、ネメシス・オメガ。我こそがダークネス団の生みの親で最高責任者だ。それまでは諸般しょはんの事情により偽名ぎめいで名乗るべく我の名をドクターと呼んでいた。そう、ドクターという名前は仮の名前だったのだ」

なんと、ドクターの本名がネメシス・オメガであることが判明した。

「マジカルジュエルの中で最高級とされているもの。それは、アレキサンドライトのマジカルジュエルだ。ただし、これを出現させるには条件がある。それは、残されているマジカルジュエルをすべて集めることだ」

オメガは、アレキサンドライトのマジカルジュエルの存在を明かすのであった。

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