第83話 銀色にきらめく月の城

月の城を探すために、つぼみたちはパラレルワールドの神戸こうべにたどり着いた。

「神戸は、市域は垂水区たるみく須磨区すまく・長田区・兵庫区ひょうごく・中央区・灘区なだく・東灘区・北区・西区の九区から構成される。人口は約百五十二万人で市としては全国七番目、県内最大である。海と山の迫る東西に細長い市街地を持ち、十分な水深のある扇状せんじょうの入り江部に発展はってんした理想的な港湾こうわん・神戸港を有する日本を代表する港町である。大正から戦後の高度経済成長期にかけて、東京・横浜・名古屋・大阪おおさか・京都と共に六大都市の一角であった。開港以来、舶来品はくらいひんや西洋文化の流入する日本の玄関げんかんぐちとなり、今なお旧居留地や北野きたの異人館街いじんかんがいなどの西洋風の街並みにその歴史や影響を見ることができる。阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいによって神戸港を含めて市内の経済機能は壊滅的かいめつてき被害ひがいを受けたが、神戸は今なお全国有数の経済都市を維持している。阪神工業地帯にぞくする工業都市であり、貿易・鉄鋼てっこう・造船・機械・製造・ゴム・真珠しんじゅ加工かこう・観光等の産業を中心に発展、ファッション・医療・食料品・日本酒などの産業もさかんんである。特に日本酒製造に関しては灘区・東灘区から西宮にかけての阪神本線沿線のエリアは灘五なだいさとと呼ばれ、日本有数の酒所として有名である。観光地としては、中華街ちゅうかがいの南京町、旧居留地や北野異人館街などの異国いこく情緒じょうちょな街並み、神戸ハーバーランド、六甲山ろっこうさんからの夜景などが挙げられる。また、デザイン都市に認定されている。神戸という地名は、現在の三宮・元町周辺が古くから生田神社の神封戸の集落であったことに由来する。神戸三社をはじめとする市内・国内にある神社の神事に使うお神酒の生産にも係わった」

水面みなもに月がかんでいる…」

 すると、

「よくここまでたどり着くことができましたね。私の名前はムーンと申します」

波止場からムーンが現れた。

「月の城を開放する条件は、私に勝つことです」

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

にじいろの光がカレンを包む。

「希望と未来のプリンセス・ロイヤルレインボー、見参!」

 続いて、

「プリンセス・ロイヤルチャージ!」

ロイヤルレインボーがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「3,2,1,Go!」

とピュアロイヤルメイクドレッサーにかがやきをチャージする。

 「あいよ、美しさよ、知性よ、友情よ、勇気よ」

ピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシードをセットすると、

「ロイヤルシード・セット!プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

金とぎんの光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズが現れると、

「今から抜き打ちでクイズを出します」

ムーンがクイズを出題した。

「東京・名古屋・大阪が日本の三大都市圏とも呼ばれていますが、それらに次ぐ都市をすべて答えなさい」

札幌さっぽろ仙台せんだい・広島・福岡ふくおか!」

「正解です」

一問目を答えるプリンセスドールズ。

「次の問題です。日米和親条約では下田と函館はこだてを開港しましたが、日米修好通商条約で開かれた港をすべて答えなさい」

「函館・新潟にいがた神奈川かながわ・兵庫・長崎ながさきです!」

「正解です」

シトラスイエローのひらめきで、正解を導き出すことに成功した。

 「今がチャンスだ!」

「心の輝きを信じて」

「ロイヤルシード・セット!」

プリンセスドールズがピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシード・フェアリーハートをセットすると、

「プリンセス・ロイヤル・パワーアップ!」

虹色の光に加え、金と銀の光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・ハートフルフォーム、ここにて見参!」

 それから、つばさかざりがついたロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによるムーンの撃退げきたいがはじまった。

「どうして」

「夢の終わりをいのるのは」

れた大地にも」

「光はすのに」

「白き光と」

「黒い暗闇」

「輝きは世界に」

「満ちあふれるのに」

間違まちがったことを終わらせて」

「愛の意味と希望を」

「私に」

「新しい夢をえがこう」

「君と一緒に」

「虹色の光をさずけて」

やさしく 安らかに」

「生きたいという希望がある」

「さあ」

「心のメロディー」

「最後の歌を今」

「強き者だけの」

「世の中じゃないから」

「Brand New World」

「愛のメッセージ」

「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ハートフル・シンフォニー!」

プリンセスドールズはロイヤルクリスタルロッドをムーンに向ける。すると、

「アンコールはお断り」

と言って、立方体の光に包み込まれたムーンの撃退に成功した。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララはプリンセスハートのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とプリンセスハートの回収に成功する。

「これは、プリンセスハート・シルバーだ!」


そして、

「さあ、今こそ、心のとびらを!」

「開け、月の城!」

つぼみとチララが魔法まほうの言葉をとなえると、シルバーのプリンセスハートによって月の城の解放に成功した。

 「私たちを助けてくれてありがとうございます」

すると、月の女神が現れた。

「月は、古くは太陽に対して太陰たいいんとも、また日輪に対して月輪とも言った。太陽系の中で地球に最も近い自然の天体であり、人類が到達したことのある唯一ゆいいつの地球外天体でもある。地球から見える天体の中では太陽の次に明るく、白色に光って見えるが、これは自ら発光しているのではなく、太陽光を反射はんしゃしたものである。ドイツ語では Mond、フランス語では Lune、英語では Moon、ラテン語では Luna、サンスクリット語では चंद्र、ギリシャ語ではΣελήνηと呼ばれる。古くは太陽に対して太陰ともいった。漢字の月は三日月の形状から生まれた象形しょうけい文字もじが変化したものである。日本語ではツキというが、奈良時代以前はツクという語形だったと推定されている。また月は、広義には、ある惑星わくせいから見てその周りを回る衛星を指す。例えば、フォボスは火星の月であるなどと表現する。月は天球上の白道と呼ばれる通り道をほぼ四週間の周期で運行する。白道は十九年周期でらいでいるが、黄道帯とよばれる黄道周辺八度の範囲はんいに収まる。月はほぼ二週間ごとに黄道を横切る。恒星こうせいが月に隠される現象を掩蔽えんぺいや星食という。惑星や小惑星が隠されることもある。一等星や惑星の掩蔽はめったに起こらない。天球上での月の移動速度は月の視直径程度であるから、掩蔽の継続時間は長くても一時間程度である。こよみと月の関係は近代に至るまで密接みっせつであった。月の満ち欠けを元に決めた暦は太陰暦と言い、地球から月を見ると月の明るい部分の形は毎日変化し約一か月周期で同じ形となっており、この変化の周期を元に暦を決めたものである。歴史的に見れば元々は太陰暦を採用していた地域のほうが多かったのであり、現代でも太陽暦と太陰暦を併用している文化圏はある。月を基準に決めた暦というのは、漁師りょうしなど自然を相手に仕事をする人々にとっては日付がそのまま有用な情報をもたらしてくれるものである。日本でも、明治五年までは太陽太陰暦を主として使用していた。明治五年に公的な制度を変えた段階でこれを旧暦と呼ぶようになったが、その後も長らく旧暦のカレンダーは販売はんばいされ、両方を併用へいようする人々は多かった。今でも一般いっぱんの太陽暦のカレンダーに旧暦を掲載けいさいしたものは広く使われる。日本語では暦を読むことを、月を読む・ツキヨミ・月読と言った。暦と言えば近代まで太陽太陰暦であったため、暦を読むとはすなわち月を読むことであった」

「月があることで、ここと人間界がつながるんだね」

月についてこう思うつぼみたち。

「そのことを、王子さまと女王さまにも伝えてください」

「はい!」

つぼみたちは、月の城が闇の力から解放されたことをプラチナと光の女神に報告するのであった。

 それから、

「太陽の城と月の城の解放に成功しました!」

「そのことが聞けて、ほっとしております」

「あとは、空の城だけだ」

プリズムパレスにいるプラチナと光の女神に報告すると、

「大変です!とうとう終わりの大地が発生しました!」

突然とつぜん、大臣が現れた。

「うそでしょ…」

「私たちの街が…」

これについて、つぼみたちは言葉を失ってしまう。

「ついにアクシアが来てしまったのか…。今すぐ人間界にもどってほしい」

「みなさん、たのみましたよ」

「はい!」

つぼみたちは、アクシアとの最終決戦の場へと向かう。

 一方その頃、横中では終わりの大地による被害の全貌ぜんぼうが明らかになってきた。

「広域の停電ていでんや同時多発する大規模火災からの火災かさい旋風せんぷう土砂どしゃくずれにともなう電車の脱線など、被害が見えてきた…。しかも、大勢の人が折り重なるように倒れ圧死する群衆ぐんしゅう雪崩なだれまで…」

避難所ひなんじょに設けられたテレビを見て、ぼうぜんとする晴斗。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「何でもないよ」

「お姉ちゃんたちが帰っていないのだから…」

不幸中の幸いは、つぼみたちの家族や関係者が無事に避難できたということだ。

 すると、

「ざます、ざます、ざます…。たあーっ!」

アクシアの声が聞こえてきた。

「今入ってきた速報です。横中市に大雨と暴風ぼうふうの特別警報が発令されました。ただちに命を守る行動をとってください」

そこから、あらしが発生したのだ。

「自覚しなさい、ここは被災地よ。会いたい人を待っていても無駄むだなのだから」

神門みかど先生せんせいは晴斗にこんな言葉を投げかけると、

ちがう、つぼみたちがこの状況を打破してくれることを信じている」

と、晴斗は反旗はんきひるがえそうとしていた。

「王子さまが言っていた…。虹色にきらめく透明とうめいなプリンセスハートが闇の力を封じ込めることを…」

晴斗はプラチナの言葉を思い出すが、とうとう始まりの海が発生してしまった。

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