第70話 スフィンクスと知恵比べ

 ある日、カレンとチャミィは公園であるものを見つけた。

「これは、スフィンクス!古代エジプトにおける本来の名は不明だが、ギリシア語名は古代エジプト語シェセプ・アンクに由来するのではないかとする説がある。ただしこの語は神あるいは王の像に対してのみ使われており、合成ごうせいけものに使われた証拠しょうこはない。スピンクスは女性名詞であり、中国語では人面像じんめんぞうか獅身女面像と訳される。夏目漱なつめそうせきは『虞美人草ぐびじんそう』の中で獅身女という漢字にスフーヒンクスというじゅく字訓じくんを当てた。永井ながい荷風かふうは『あめりか物語』の中では怪像かいぞうに、『ふらんす物語』の中では怪神に熟字訓をあてている。一方、ヘロドトスはエジプトの合成獣を描写びょうしゃする際にこの名詞をAndrosphingesと男性化したが、これが男性スピンクスの唯一の例である。『社会主義』にはスヰンクスという表現があり、明治・大正期には様々な表現が散見される。本来はエジプト神話の生物であるが、非常に古くからギリシア神話にも取り入れられていた。エジプトのスフィンクスは王家のシンボルで、ギザのピラミッドにある、いわゆるギザの大スフィンクスは王の偉大いだいさを現す神聖しんせいな存在である。対してメソポタミアやギリシャのスフィンクスは怪物としてあつかわれていた」

「すごく大きい!」

すると、

「プリンセスハートを手にしたいのであれば、私と勝負して勝ってみてください」

突然とつぜんスフィンクスがしゃべりだし、カレンに勝負をいどんでくる。

「行くよ!」

カレンはロイヤルハートブローチでドールプリンセスに変身する。

「プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

にじいろの光がカレンを包む。

「希望と未来のプリンセス・ロイヤルレインボー、見参!プリンセスステージ・レッツスタート!」


 ロイヤルレインボーが現れると、

脊椎せきつい動物どうぶつの種類をすべて答えなさい」

スフィンクスが問題を出す。

「魚類・両生類・爬虫類はちゅうるい・鳥類・哺乳類ほにゅうるい!」

「正解です」

「脊椎動物とは、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類からなる系統群である。多数の椎骨がつながった脊椎をもつ。のう脊髄せきずいをもち、それぞれは頭蓋骨ずがいこつと脊椎に守られている。いわゆる赤いを持つ。少なくとも一つの半規管を持つ。大型の種が多い。魚類の幼生ようせいには一ミリメートル以下のものがあるが、成熟せいじゅくの体長としては最小のものでも七ミリメートル程度になる。このため多くの動物門にある間隙性かんげきせい生物せいぶつが存在しない。また、最大の水棲すいせい動物どうぶつと最大の陸上動物の両方をふくむ」

一問正解しても、まだ終わりではない。

ほう隆寺りゅうじを建設した人を答えなさい」

次の問題が出題された。

聖徳太子しょうとくたいし!」

「正解です」

「法隆寺は七世紀に創建され、古代寺院の姿を現在に伝える仏教施設であり、聖徳太子ゆかりの寺院である。創建は金堂こんどう薬師やくし如来像にょらいぞう光背こうはいめい、『上宮うえみや聖徳しょうとく法王ほうそう帝説ていせつ』から推古すいこ天皇てんのう十五年じゅうごねんとされる。金堂、五重塔ごじゅうのとうを中心とする西院さいいん伽藍がらんと、ゆめ殿どのを中心とした東院伽藍に分けられる。境内の広さは約十八万七千平方メートルで、西院伽藍は現存する世界最古の木造建築物群である。法隆寺の建築物群は法起寺と共に、法隆寺地域の仏教建造物として世界文化遺産に登録された。建造物以外にも、飛鳥あすか・奈良時代の仏像、仏教工芸品など多数の文化財を有する」

順調に正解していくロイヤルレインボー。しかし、

「これで最終問題となります。百聞は一見にかずということわざの意味を答えなさい」

という問題を出してきた。それについて、ロイヤルレインボーは、

「人から何度聞くよりも実際に自分の目で見たらよくわかること!」

「お見事、正解です」

そして、ロイヤルレインボーは全問正解を達成した。

「しっかりと学習しているからね」

チャミィの言う通り、彼女はつぼみたちと同じ世代の学力を持っているのだ。

 「今しかないよ」

「ここで決めよう!」

ロイヤルレインボーはロイヤルハートブローチにアレキサンドライトのマジカルジュエルをセット。その流れからロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ロイヤルレインボーによるスフィンクスの改心が始まった。

「流星がってくる空」

「私は願いをとなえた」

「この世界を変えたいと」

「心に思いながら」

「夢をけがすものよ」

「悪のしもべたちよ」

「気づいて」

「同じ空にいるのだから」

「悲しみなんてき飛ばせ」

「風に乗って blowing」

「喜びをみんなでシェアしたい」

「大切なひと時」

一瞬いっしゅんしかないMoment」

「悲しみなんて吹き飛ばせ」

「風に乗って blowing」

「喜びをみんなでシェアしたい」

「大切なひと時」

「一瞬しかないMoment」

乙女おとめの思い!レインボー・プリズム・ファンタジー!」

ロイヤルレインボーがロイヤルクリスタルロッドをスフィンクスに向ける。すると、スフィンクスの改心に成功した。

「見つけた!」

と、チャミィはプリンセスハートのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とプリンセスハートの回収に成功する。

「これは、プリンセスハート・アプリコットだ!」

 「それではみなさん、また次回じかいかがやく世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

ロイヤルレインボーが勝利宣言すると、スフィンクスは元の場所へと帰っていった。


 その頃、

「これが、おとぎの世界の地図だ」

プラチナの家では、つぼみたちにおとぎの世界の地図を見せた。

「プリズムパレスの周りを囲んでいるのは?」

「城ですよ」

つぼみたちは、プリズムパレスを囲む城を解明する。

「今は、やみの力によってプリズムパレス以外の城はすでに支配されてしまっている」

「そんな…」

プラチナからの言葉にショックを受けるつぼみたち。

「じゃあ、城を開放する方法は?」

「九賢人が持っているプリンセスハートを手にすることだ」

「九賢人とは?」

「アクシアが生み出した魔法使まほうつかいのことだ。怪盗かいとうトリオやダークネス団よりも強い力を持っているからね」

プラチナは、新たな刺客しきゃくの存在を明らかにした。

 その時、

「あら、再びお会いすることができて光栄ですわ」

かつて怪盗トリオのメンバーとしてプリンセスドールズに立ちはだかっていたアルファは、白銀しろがね山脈さんみゃくのふもとにあるコテージでワーケーションをしていた。

「ベータ、ガンマ、出てらっしゃい!」

「ガッテンだ!」

すると、アルファ・ベータ・ガンマは久々に顔を合わせた。

「へへっ、待ってたぜ!」

開発主任だったベータは、その経験を生かして発明家に転身した。

「やっと再会できたぜ!」

雑用係ざつようがかりだったガンマは、生活費の確保のために横中ポートフューチャーにあるショッピングモールで清掃業せいそうぎょうのアルバイトを行っている。

「まあ、元気そうですね!」

そして、リーダーだったアルファは、実業家として企業きぎょうを立ち上げようとしていた。

「再結成、いっちゃいます?」

「賛成!」

こうして、アルファ・ベータ・ガンマは再結集したのであった。

 一方、

「怪盗トリオって何?」

「うちもよう知らへん」

「ダークネス団の地下ちか倉庫課そうこかの別名ですよ」

「あっ、思い出した!」

九賢人で怪盗トリオを知っている人は少なくないようだ。

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