第74話 ブルームと福岡と花の城

 つぼみたちは、藤村ふじむら刑事けいじとおまかせトリオからの情報をたよりにパラレルワールドの福岡ふくおかにたどり着いた。

「福岡は、近畿地方以西きんきちほういせいの西日本では二番目、東京二十三区を除いた全国の市では横浜市、大阪おおさか、名古屋、札幌さっぽろに次ぐ五番目の人口をようし、九州地方の行政・経済・交通の中心地として同地方最大の人口を有する。博多はかたわんに面するこの地域は古くから博多として認識されており、大陸方面への玄関口として利用されてきた。中世に商人による自治都市が形成され、戦乱で度々焼き払われながらも、豊かな町人文化を育んだ。豊臣とよとみひでよしの手で復興ふっこうされ、黒田氏が福岡城とその城下町を築いたことで、那珂川を境に西が城下町としての福岡、東が商人町としての博多となった。その後、江戸時代から明治時代初頭にかけて、福岡と博多は共存していたが、福岡と博多は統合され福博となり、その後、福岡と改称かいしょうされた。九州地方の行政・経済・交通の中心地であり同地方最大の人口を有し、西日本においても大阪に次ぐ人口を擁する。福岡市を中心とする福岡ふくおか都市圏としけんは都市雇用圏として全国五位の人口を擁し、北九州市とともに形成する北九州・福岡大都市圏は都市単位の経済規模で日本の四大都市圏に数えられる。明治めいじ維新いしんの近代初期は九州地方で最大の都市では無かった。当時、九州地方最大の都市は長崎市ながさきし鹿児島市かごしましであり、九州地方を統括とうかつする中央の出先機関は熊本市に置かれるなど、九州地方における福岡県や福岡市の重要性は低かった。博多港開港と九州きゅうしゅう帝国ていこく大学だいがく設置せっちたんを発して発展が進み、徐々に九州地方の中枢ちゅうすうとして位置づけられるようになった。一九一〇年代に熊本市くまもとしの人口を抜き九州地方最大となる。一九二〇年の人口統計では熊本県の人口の二倍をえている。また、この時期から九州を統括する中央の出先機関は福岡市に移行している。五市合併で北九州市が発足すると同市の人口が九州地方最大となったが、その後、昭和後期の日本における炭鉱たんこうの相次ぐ閉山・第三次産業の急速な発達と、政令都市指定・山陽新幹線博多延伸などを経て、一九七九年に再び福岡市の人口が九州地方最大となった。二〇一〇年以降、福岡市は人口増加数、増加率とも政令市の中で最も高く、現在もなお年間一万人を超えるペースで増加ぞうか傾向かいこうにある。二〇一五年には神戸市をき、全国でも五番目に人口が多い市となった。二〇二〇年五月には、人口が百六十万人を突破とっぱした。グローバル創業・雇用こよう創出そうしゅつとくとして、北九州市とともに国家戦略特別区域に指定されている。福岡市の都心は、天神と博多の両極がある。天神地区は福岡市役所と福岡駅・天神駅のほか、多数の百貨店やファッションビルが集積する九州最大の繁華街はんかがいである。博多には九州最大のターミナル駅である博多駅があり、多数の新幹線や特急列車が九州各都市を結んでいる。また福岡空港も地下鉄で数分と至近しきん距離きょりであるため、駅周辺は大企業だいきぎょうの支社が集積するビジネス街となっている。天神と博多をへだてる那珂川なかがわの中州に形成された歓楽街かんらくがいは、中洲なかすとして全国的に有名である。中洲は西日本一の歓楽街とされ、東京の新宿・歌舞伎かぶきちょう札幌さっぽろ・すすきのと並んで、日本三大歓楽街の一つとされる。天神・博多・中洲・長浜などで夜間に常設される屋台の数は日本一で、屋台目当ての観光客も多い。一九九五年には複合ふくごう商業しょうぎょう施設しせつが中洲の東側に開業、二〇一一年には九州新幹線博多延伸に伴い博多駅に複合商業施設が開業した。博多駅周辺の商業施設の集積が進んでおり、天神地区との商業地競争が激化している。福岡市の主な副都心ふくとしんとしては、西新と香椎かしいが挙げられる。両者の周辺には高校や大学、専門学校が多数存在するほか、ウォーターフロント開発地区として、西新の北にはシーサイドももちが、香椎の西にはアイランドシティが隣接りんせつしている。特にシーサイドももちには、福岡ドーム・福岡市総合図書館・福岡市博物館・報道各社といった文化・エンターテインメント施設が集積している。天神や博多などの福岡都心は福岡空港に近く超高層ビルが建てられないが、福岡市内の高さ百メートル以上の建造物のほとんどがこの両副都心の近辺にある。この両副都心ほど大規模ではないが他に福岡市の副都心としてげられる地域は、大橋や姪浜めいのはまがある」

「九州最大の年なのに、人は誰もいない…」

パラレルワールドの横浜に続き、そちらの福岡の人出もまったくと言っていいほど皆無かいむである。

 すると、

「博多に来てよかばい!ここは好いとう場所!」

博多弁を話す九賢人が現れた。

「ここで出会ったことはほめちゃる!名前はブルームばい!」

その名は、ブルームだ。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみたちはドールプリンセスに変身する。

「プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

にじいろの光がカレンを包む。

「希望と未来のプリンセス・ロイヤルレインボー、見参!」

 続いて、

「プリンセス・ロイヤルチャージ!」

ロイヤルレインボーがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「3,2,1,Go!」

とピュアロイヤルメイクドレッサーに輝きをチャージする。

 「あいよ、美しさよ、知性よ、友情よ、勇気よ」

ピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシードをセットすると、

「ロイヤルシード・セット!プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

金とぎんの光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズが現れると、

「さあ、かかってきんしゃい!ブルーム、まかりとる!」

ブルームがどんたくに乗ってきた。

「いきなりいっちゃるけん!しめなわアタック!」

すると、どんたくにかざってあるしめ縄をプリンセスドールズがおそう。

「ちゅぴ!」

「チララ、どうかしたの?」

「あそこに何かある!」

そんな中、チララはどんたくに飾ってあるものに気づいた。

「県鳥のウグイスに、県花のうめの花!」

すると、チララはウグイスと梅の花、しめ縄の回収に成功した。

「ブルームのどんたくに何をするばい!」

そして、ブルームのどんたくは破壊はかいされた。

 「今がチャンスだ!」

「心の輝きを信じて」

「ロイヤルシード・セット!」

プリンセスドールズがピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシード・フェアリーハートをセットすると、

「プリンセス・ロイヤル・パワーアップ!」

虹色の光に加え、金と銀の光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・ハートフルフォーム、ここにて見参!」

 それから、つばさの飾りがついたロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによるブルームの撃退げきたいがはじまった。

「どうして」

「夢の終わりをいのるのは」

れた大地にも」

「光はすのに」

「白き光と」

「黒い暗闇くらやみ

「輝きは世界に」

「満ちあふれるのに」

間違まちがったことを終わらせて」

「愛の意味と希望を」

「私に」

「新しい夢をえがこう」

「君と一緒に」

「虹色の光を授けて」

「優しく 安らかに」

「生きたいという希望がある」

「さあ」

「心のメロディー」

「最後の歌を今」

「強き者だけの」

「世の中じゃないから」

「Brand New World」

「愛のメッセージ」

「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ハートフル・シンフォニー!」

プリンセスドールズはロイヤルクリスタルロッドをブルームに向ける。すると、

「アンコールはお断り」

と言って、立方体の光に包み込まれたブルームの撃退に成功した。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララはプリンセスハートのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とプリンセスハートの回収に成功する。

「これは、プリンセスハート・ピンクだ!」


そして、

「さあ、今こそ、心のとびらを!」

「開け、花の城!」

つぼみとチララが魔法まほうの言葉をとなえると、ピンクとローズ・コーラルのプリンセスハートによって花の城の解放に成功した。

 「私たちを助けてくれてありがとうございます」

すると、花の城の女王が現れた。

「ここは、一年中春の世界となっております」

「すごく温かい!」

真冬の世界となっている雪と氷の城とは違い、花の城は春のうららかな雰囲気ふんいきに包まれている。

「きれいな花だね!」

「家来たちが愛情込めて育てたのです」

その周りには、色とりどりの花が植えられている。

「そのことを、王子さまと女王さまにも伝えてください」

「はい!」

つぼみたちは、花の城が闇の力から解放されたことをプラチナと光の女神に報告するのであった。

 一方その頃、

「博多名物のとんこつラーメンにもつなべか…。屋台がずらっと並んでいる」

藤村刑事は現実世界の福岡で調査を続けていた。すると、

「ん?」

と、誰かが残した足跡あしあとを見つけた。

「これは、ブルームが残したのだろうか?」

それは、ブルームのものなのだ。

 こうした中、晴斗から電話がかかってくる。

「もしもし?晴斗、何があったのか?」

「おまかせトリオから先ほど連絡が入ってきて、どうやら三人目の九賢人が現れたそうだ」

それは、新たな九賢人の情報だ。

「手掛かりは、海と沖縄おきなわに、既存きぞんの九賢人の家族とみられる」

「わかった。今から沖縄へ調査に行く」

「気を付けて」

藤村刑事は、福岡から沖縄へと向かうのであった。

 「二度あることは三度あるということには、行かないでざます!」

その時、パラレルワールドにいたアクシアはいかりをあらわにするのであった。

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