第9話 新たなドールプリンセスが判明!?

 ある夜、つぼみは奇妙きみょうな夢を見ていた。

「ここは…一体どこなの…」

満月の夜、横中ポートフューチャーでつぼみはそこにいた。すると、一人の少女が突如とつじょとしてあらわれる。

「あの…わたしに何か用があるの…ねえ…!」

つぼみと少女が目を合わせたところで、夢からめてしまった。

 「あの少女、私のことが気になるのかな…」

つぼみは、夢の中で見かけた少女を気にしていた。

「はっ、もうこんな時間!?そろそろ学校に行かなくちゃ!」

その後、つぼみはいつものような生活を送っていた。

「おはよう!」

「おはようございます」

「あっ、朝食を食べなくちゃ!」

「そうですね」

「でも、急いでいるし…」

「大丈夫ですよ」

「じゃあ、行ってきます!」

「行ってらっしゃい。気をつけてくださいね」

しかし、今日のつぼみはどうやらあせっているようだ。

 その件をプラチナの家で、沙奈さな・アリス・晴斗に伝えた。

「あのね、私、不思議な夢を見たの」

「どんな夢だったのか、ぼくに教えてほしい」

「それが…満月がきれいに見える夜中に、一人の少女と偶然ぐうぜんすれちがったの。しかも、誰もいなくなった横中ポートフューチャーでね。私が覚えていることはたったそれだけで、それ以外のことはまったく分からなくて」

「私も」

「その夢は見ていましたよ」

沙奈とアリスも、つぼみと同じ夢を見たという。するとそこに、プラチナが現れた。

「いいか、みんな、よく聞いて。実は、世界中にドールプリンセスが他にも複数人いることを」

「本当に!?」

「その話は母上様から聞いた。昨日、おとぎの世界から手紙が来てね」

「そうなの!?」

つぼみたちは、プラチナからの衝撃的しょうげきてきな事実を聞いて驚く。

「現時点で人間界において発見しているドールプリンセスは、あいのプリンセス・ラブリーピンク、水と氷のプリンセス・アクアブルー、花のプリンセス・シトラスイエロー。そして、新たに発見されたのが、星と月のプリンセスだ」

くわしい名前は?」

「まだわからない。だけど、そのことは事実だ」

「四人目のドールプリンセスね…」

「どんな人物なのかな…」

「気になります」

プリンセスドールズ。それは、愛沢あいざわつぼみが変身する愛のプリンセス・ラブリーピンク、雪海ゆきみ沙奈が変身する水と氷のプリンセス・アクアブルー、野々ののはらアリスが変身する花のプリンセス・シトラスイエローからなるドールプリンセスという魔法まほう少女しょうじょの三人組だ。それに、四人目のドールプリンセスが新たに加わるとプラチナは語る。

 「ちゅ、ちゅ!」

チララは何かを思いついて、

「チララ、どうかしたの?」

「ボクの姉が彼女かのじょを見たことがある!」

「じゃあ、何か情報があるのか?」

「それが…まだわかっていない。だって、これを最後に行方ゆくえが分からなくなっているんだから」

「つまり、チララの姉が生き別れになったっていうこと!?」

「そうだ」

「今はどこにいるの?」

「分からない」

チララも、詳しいことは分かっていないようだ。どうやら、四人目のドールプリンセスについての重要な手がかりは、誰も持っていないらしい。


 その頃、ダークミラージュは海の見えるおかにいた。

「ここが、横中という街ね…。私たちが住んでいるパラレルワールドとはまったくことなった街並みだわ」

と語りだすと、

「今夜、満ちた月が美しく見える…」

とつぶやいた。

 その時、ダークミラージュの左薬指に一匹のアゲハちょうがぴたりと止まった。

「これにしようかしら」

ダークミラージュは、早速魔じゅうの生成に取りかる。

 「今日のことを復習しなくちゃ…」

夜になり、つぼみがタブレットパソコンで授業内容の復習を行っていると、

「大変だ!あやしい予感がする」

チララがまどから現れた。

「今すぐ沙奈とアリスに伝えなくちゃ」

すると、つぼみは沙奈とアリスに、例のことをスマートフォンのビデオ通話で伝える。

「沙奈、アリス、大変だよ!」

「どうかしましたか!?」

「魔獣がまた現れたの!?」

「そう!今すぐ公園に行って!」

「わかりました!」

「ええ!」

つぼみたちは、足早に公園へ向かう。

 そこで待っていたのは、ダークミラージュだった。

「どこかで出会ったことがあるような…。あっ、もしかして、昨日見た夢の中で…!」

「本当にそうだったんだわ…」

「正夢ですね」

つぼみたちは、夢の中で見た少女とダークミラージュが一致いっちしていることを判明した。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れると、ダークミラージュは魔獣を呼び出した。

「さあ、出てらっしゃい」

すると、にじいろの蝶をイメージした夢の魔獣が現れた。

「スイッチ・スタート」

ダークミラージュの掛け声で、黒いプリンセスバトンロッドが出てきた。

「もし時間を干渉かんしょうできるのなら」

「過去と未来 どっちがいい?」

「もし時間を止められるのなら」

「どんな瞬間しゅんかんにしたい?」

「私は未来からやってきたの」

「現在には存在しない」

「Time Machine に乗って」

「二人でどこかに行こう」

「誰にも秘密にするから」

「Time Limit なんてないから」

「私の辞書には」

「自由にすればいい」

「Endless Time」

ダークミラージュパフォーマンスに、プリンセスドールズは大苦戦。

「一体、どうすればいいの?」

しかし、その時だった。

「やあ、待たせたね」

プラチナがプリンセスドールズの目の前に現れた。

「プリンセスドールズ、ルビー・サファイア・シトリンのマジカルジュエルを使うんだ!」

「うん!」

そこに、ピルル・ブルル・キルルも現れる。

「さあ、みんなの心を合わせて!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローは、ルビー・サファイア・シトリンのマジカルジュエルをそれぞれのプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる魔獣の浄化が始まった。

「Shining! かがやきを」

「いっぱい集めて」

「そのボルテージを」

「高めていこう」

「ここからまた始まる」

「私たちの物語」

「夢をかなえてみせる」

「絶対」

「Star Light Stage」

「ときめいて」

「アイドルになっちゃおう」

ずかしがらずに」

「Star Light Stage」

「一緒に」

「盛り上げていこう」

「一体感を高めて」

「Stardom!」

「ここからまた始まる」

「私たちの物語」

「夢を叶えてみせる」

「絶対」

「Star Light Stage」

「ときめいて」

「アイドルになっちゃおう」

「恥ずかしがらずに」

「Star Light Stage」

「一緒に」

「盛り上げていこう」

「一体感を高めて」

「Stardom!」

「今こそ、みんなの心を一つに!乙女おとめ結束けっそく!プリンセス・トリニティ・ストリーム!」

プリンセスドールズがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークをえがき、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形あとかたもなく消えていった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララが魔獣のコアから出てきたマジカルジュエルのありかを察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とマジカルジュエルを回収することに成功した。それをラブリーピンクのプリンセスミラーに認識すると、

「ムーンストーン。月のように輝くマジカルジュエルだ。長石類の外観の美しいものが、宝石類ほうせきるいに分類されたもので、主な産地はインド、スリランカ、ミャンマーである。月長石とも呼ばれているムーンストーンの言葉の由来は、透明度とうめいどの高い長石類にカボション・カットをほどこすことによって得られる青色や白色の光沢を月光に見立てたことによる。特に青色のシラー効果のあるものをブルームーンストーンと呼んでいる。スリランカでまれに産出するあわい青のムーンストーンをブルームーンストーンと呼んでいたが、インドなどで産出されている長石もブルームーンストーンと呼ばれるようになったため、特にスリランカ産の青色のシラーがでる美しいムーンストーンをロイヤルブルームーンストーンと呼び、オーストリアのアデュラー山脈さんみゃくで産出されているものは、透明感が高く青く美しい光を放つため、アデュラリアンムーンストーンと呼ばれる。古代からムーンストーンには、悪霊あくりょうを祓い、予知能力を高め、ストレスを和らげ、愛をもたらすと信じられていた。六月の誕生石であり、蟹座かにざの守護石でもある。 また、ムーンストーンの石言葉は『こいの予感』、『純粋じゅんすいな恋』とされるが、ホワイト・ムーンストーンの場合は『計画』とされる。ペリステライトやラブラドライトなどと混同されることもある。特にホワイトラブラドライトがレインボームーンストーンと呼ばれるケースがあるが、ラブラドライトはプラジオクレースである」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、

「プリンセスドールズ、覚えておくわね」

ダークミラージュはこう言い残して、どこかへと去っていった。


 その翌日、つぼみたちはプラチナに例のことについて報告する。

「昨日の夜、私たちは夢の魔獣と戦っていたんだよ。それで、私の夢に出ていた少女の姿があって…」

「それは、どんな様子だったのか?」

藤色ふじいろのロングヘアがウエストまであって、目つきも私たちよりするどい。あと、黒いドレスをまとっていて、私たちと同じようなプリンセスバトンロッドを持っていたけど、黒くめられていてシンボルマークに青いバラがつけていて…。どうやらあの子こそ四人目のドールプリンセスなの?」

つぼみがプラチナに例の件をたずねると、

「その少女を見たということなのか?彼女の名前はダークミラージュであることに違いない。」

「ダークミラージュって?」

「ドクターというダークネス団のボスが生み出した闇のプリンセスで、ダイヤモンドのマジカルストーンを持っているらしい。年齢で言うとつぼみたちとちょうど同じくらいで、ダークネス団側が所有しているドールプリンセスといっても過言ではない」

「じゃあ、ダイヤモンドのマジカルジュエルは?」

「すでにダークネス団のものとなっている。しかも、つい最近彼さいきんかれらの側近だと思われる人物が強奪ごうだつに成功したらしい。それを君たちが手に入れるためには、ダークミラージュを倒さなければならない」

プラチナは、ダークミラージュがダイヤモンドのマジカルジュエルを持っていることを明かした。そのうえで、

「ここから先は厳しい戦いが待っている。それを乗りえるためには君たちの覚悟かくごと努力次第だ」

「私たちも頑張がんばらなくちゃね」

「守りたい、みんなの輝きを」

「みなさんの心の傷をいやして見せます」

つぼみたちは、結束をより強めたのであった。

 一方その頃、

戦闘せんとうプログラム、歌唱かしょうプログラム、ダンスパフォーマンスプログラム、インストール完了…」

ダークネス団のアジトに帰ったダークミラージュはドクターからあるものをわたされた。

「これが、プリンセスミラーとプリンセスジュエル・ブラック。ダークミラージュにいつでも変身できるアイテムだ」

「ありがとう」

「では、君はこれから横中にあるポートフロンティア学園中等部に編入するといっている。でも、輝きを持っている少女には気を付けろ」

「はい」

「じゃあ、行ってこい」

「行ってきます」

 ドクターから黒いプリンセスミラーとプリンセスジュエル・ブラックを手に入れたダークミラージュは、

「もうすぐ、あの少女に会える…」

といって、飛び立っていった。

「さあ、人間界で何か爪痕つめあとを残すんだ」

ドクターはこう静かに語った。

 「聞こえますか、ドールプリンセス…」

その時、つぼみたちの夢の中に光の女神が現れた。

「あなたたちが力を合わせて、ダイヤモンドのマジカルジュエルを取り戻さなければなりません。闇の力によって世界が飲み込まれてしまう前に…」

それは、プリンセスドールズへのメッセージだった。

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