第32話 西野先生の逆襲!私はここにいる

 ある日、チララとコロンは、エネルギーについて語っている。

「ヨナベ原子力発電所。かつてパラレルワールドの電力を生み出した場所だ」

「原子力発電は、原子核分裂時に発生する熱エネルギーで高圧の水蒸気を作り、蒸気タービンと同軸どうじく接続せつぞくされた発電機を回転させて発電する」

「しかし、数年前の爆発ばくはつ事件じけんを受けて、火力発電に切りえた。でも、ただちに切り替えるのは至難しなんわざだった」

「火力発電は、水力発電に比べて建設費が安い、電源立地の自然的条件の制約が少ない、大容量機設置ができる、大消費地に近接した地点で建設できるため電力輸送の際の損失そんしつが少ない。一方で、温暖化ガスである二酸化炭素にさんかたんそなど、大気たいき汚染おせんの原因になる。燃料の種類により、窒素ちっそ酸化物さんかぶつ硫黄いおう酸化物さんかぶつといった有害物質を多量に排出する。運転費が大きいという欠点もある」

「横中の電力は火力発電と水力発電でまかなうということを王子さまから聞いた。白銀しろがね山脈さんみゃくに大きなダムがあるそうで」

「水力発電は水力で発電機を動かし電力を生む方式だ。ダム式、水路式、揚水式ようすいしきなどがある。水力発電は、個人が小さな水力すいりょく発電はつでん(装置そうちを自作・設置して行うこともでき、特に小規模の水力発電をマイクロ水力発電という。道脇みちわきの水の流れ、小川、渓流けいりゅうなど比較的小さな水の流れを利用して水力発電を行う。ただし河川や湖沼こしょう、用水路などの水の利用については水利権が設定されているため、権利者との協議や許可きょか申請しんせいを行う必要がある。発電に使用した水を元にもどしても、水流や水質の変化が発生するためである。役割の重要さ、発電量の大きさ、設備のゆうそうな外観などによって、水力発電の中でも特にダム式のものや大河を利用したものがよく知られている」

 ダイヤモンドのマジカルジュエルをかけた戦いから、すっかり三か月の月日が流れていた。

「あなたに会いたがっている人が岩瀬いわせふ頭にいるわ」

「もしかして、あの人なの!?」

コロンの言葉をたよりに、らんが岩瀬ふ頭に向かうと、西野先生が待ち構えた。

「星空蘭、今でもお前のことは覚えている」

一連の事件で逮捕たいほされていた西野先生だが、一か月前に釈放しゃくほうされていた。その時とは、まったく同じ姿だった。

「やるといったら、行くしかないわ」

蘭はプリンセスコズミックスターでドールプリンセスに変身する。

「プリンセスジュエル、セット!プリンセス・ドレスアップ!」

蘭をむらさきと銀の光が包み込む。

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 トウィンクルパープルが現れると、

「この写真を見てほしい」

「あれは!」

「ヨナベ原子力発電所だ。かつてパラレルワールドの電力を賄っていたが、大規模な爆発事故が起こったことではいを余儀なくされた」

それは、数年前のこと。ヨナベ原子力発電所に原因不明の爆発が発生した。すべての電源を喪失そうしつし、原子炉が冷やせなくなったことで、パラレルワールドは大規模停電を長時間にわたりいられた。

「当時、ここで当直を担当していたのが、ダークネス団のボスであるドクターだ。責任を感じていた彼から、『我々と一緒に世界を支配しないか?』と書かれた手紙にかれ、ダークネス団のスパイとして活動することになった」

西野先生は当時のことを説明したうえで、

「あなたの思いはわかったわ。後はあなたの心を浄化するだけね」

トウィンクルパープルはこう決意を固めた。

「ここで決めるわ」

トウィンクルパープルがプリンセスコズミックスターにダイヤモンドのマジカルジュエルをセット。その力をプリンセススタータンバリンにさずけると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

トウィンクルパープルによる西野先生の改心が始まった。

「発車のベルと」

「同時に出会う二人」

「でもすれちがってしまう」

「早く会いたい」

「だけど知らない」

「だから だから unknown unknown」

「なぜそんなに会いたい?」

「あなたの思い」

「ねえ 目を合わせて」

り向かずに」

「そうそうそう 気になりそう」

「私の脳内のうないは」

「あなたのことだらけ」

「さあさあさあ 勇気を出して」

「本当のことを」

「伝えに行こう」

こいするリフレイン」

「ねえねえねえ 教えてよ」

「あなたの気持ち」

「すぐすぐすぐ 行かなきゃ」

「あなたの元へ」

「恋するリフレイン」

「そうそうそう 気になりそう」

「私の脳内は」

「あなたのことだらけ」

「さあさあさあ 勇気を出して」

「本当のことを」

「伝えに行こう」

「恋するリフレイン」

「ダイヤモンドのかがやきでパワーアップ!乙女おとめの輝き!ダイヤモンド・トウィンクル・ナビゲーション!」

トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、西野先生の心は洗われていった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅるるわー!」

とコロンはマジカルジュエルの気配けはいを察知した。マジカルジュエルが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とコロンがマジカルジュエルを回収することに成功した。それをプリンセスコズミックスターに認識して、

「ラリマー。シーブルーのマジカルジュエルよ。ペクトライトの中でも、特に青色系のものをいうわ。美しい海のような色合いが評価され、今まで宝石ほうせきとしての価値が見出されていなかったペクトライトに注目を浴びるようになったの。ペクトライトには様々な色があるが、ラリマーの青色は不純物のどうに起因するといわれているの。また、桃色ももいろのペクトライトに比べると少ないが、シャトヤンシーを示すものもあるわ」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

トウィンクルパープルが勝利宣言すると、

「私はここにいる…。ありがとう」

西野先生はその場で倒れこんで緊急車で病院に搬送はんそうされた。幸い、命に別状はなかったという。


 「ポートフロンティア学園の屋上には、太陽光発電のためのソーラーパネルがあるんだって!」

「太陽光発電の技術的ぎじゅつてき特徴とくちょうとして、発電量が日照に依存し不随意ふずずいに変化する一方、昼間の電力需要ピークを緩和かんわできる。さらに火力発電では不可避ふかひの化石燃料消費量と温室効果ガス排出量をともに削減さくげんできる。放射性ほうしゃせい廃棄物はいきぶつの処理や事故が起きた場合の汚染おせん被害ひがいといった課題をかかえる原子力発電への依存度を下げる手段としても活用されつつある。さらに、発電装置はパネル状なので、屋上にも設置でき、太陽光発電専用の敷地を必要としない。設備は太陽電池や電力として利用するために必要な電圧と周波数を変換するインバータで構成される。発電が行われる時間帯・地域と電力でんりょく需要じゅようが異なる場合には、蓄電池ちくでんちも組み合わせて調整される。開発当初は極めて高価で、宇宙開発等限られた用途に使われた。近年は発電コストの低減が進み、多くの発電方法と比較して高コストながら、年間数十ギガワット単位で導入されるようになった。今後コスト低減や市場拡大が続くと見込まれ、各国で普及ふきゅう政策せいさくが進められると同時に、貿易ぼうえき摩擦まさつに発展する例や、価格競争で倒産する企業きぎょうが見られる」

「風力発電の風車が横中港にあるそうだ」

再生可能エネルギーを使った発電について語っているつぼみたち。

 すると、

「西野先生を見かけたわ」

と蘭が現れた。

「西野先生、あれからどうなっているの?」

「釈放されてからは無色となっているわ。あの件に関しても、すでに反省しているの」

ダークネス団のスパイとしてやみ営業えいぎょうを行っていたことでポートフロンティア学園を追われた西野先生の近況を報告すると、

「今後どうすべきかは、まだ白紙のままよ」

と、西野先生の今後についても語った。

 「 すべての人々の、安価で信頼しんらいできる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。安価で信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的ふへんてきアクセスを確保する。世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅おおはばに拡大させる。世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。再生可能エネルギー、エネルギー効率、先進的で環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究と技術へのアクセスを促進そくしんするための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国や小島嶼しょうとうしょ開発かいはつ途上とじょうこく、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。だから、エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」

その時、岩瀬ふ頭にいたチャミィはこうつぶやくのであった。

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