第64話 闇の魔女・アクシア

 プリンセスドールズは、プラチナからの命令でおとぎの世界にたどり着いた。

「プリズムパレスで、女王さまが待っているはず」

「うん!」

プリズムパレスに入ると、光の女神と大臣が待っていた。

「プリンセスドールズ、お待ちしておりましたよ」

「あなたたちに大切な話があります」

プリンセスドールズは、光の女神と大臣からあることを告げられる。

「プリンセスドールズ、あなたたちにやらなければならないことがあります」

「それは、世界を守る力を持つプリンセスハートを集めることです。

 その時、おとぎの世界では今、私たちがいるプリズムパレス以外の城がやみの力によって支配されております。しかも、ダークネス団が築き上げてきたイノセントワールドとなってしまった街の復興も進んでおりません」

それは、プリンセスドールズに与えられた新たな課題だった。

 その時、

「ゴゴゴゴゴゴゴ…」

地震じしんが発生した。

「みんな、隠れて!」

「うん!」

プリンセスドールズが安全な場所に避難ひなんすると、そこに、

「ざます、ざます…」

なぞ魔女まじょが現れた。

「おやまあ、何て可愛らしい少女たちなんでしょう。しかも、プリンセスドールズという組織でざますか?」

「そうだけれど…」

「なら、わたくしの名前を申し上げるのでざます。わたくしは、アクシアでざます。闇の力によって支配されているパラレルワールドの女王でございます」

その正体は、人間界から遠くはなれたパラレルワールドの女王であるアクシアだった。

 すると、

「ざます、ざます…。たあー!!!」

アクシアは、謎の呪文じゅもんとなえた。

「せいぜい覚悟かくごするのでざます。それでは、さようでございます」

アクシアはプリンセスドールズの元からどこかへと去っていった。

「あの闇の力の女王、ダークネス団よりも強そう…」

ラブリーピンクは、不安を感じつつ新たなる戦いを覚悟した。

 その時、

「大変です!」

家来たちが謁見の間に現れた。

「外へ出てください!」

「はい!」

プリズムパレスから出ると、ユニコーンが暴走ぼうそうしている光景を目撃もくげきした。

「ユニコーンは、一角いっかくじゅうとも呼ばれ、額の中央に一本の角が生えた馬に似た伝説の生き物である。語源はラテン語の ūnus 『一つ』と cornū 『角』を合成した形容詞 ūnicornisで、ギリシア語のモノケロースから来ている。非常に獰猛どうもうだが人間の力で殺すことが可能な生物で、処女しょじょふところかれておとなしくなる。角にはへびなどのどくよごされた水を清める力がある。海の生物であるイッカクの角はユニコーンの角として乱獲らんかくされたとも言われる。そのほとんどが、ライオンの、牡ヤギのあごひげ、二つに割れたひづめを持ち、ひたいの中央に螺旋状らせんじょうすじの入った一本の長くするどとがったまっすぐな角をそびえ立たせた、紺色こんいろの目をした白いウマの姿でえがかれた。また、ヤギ、ヒツジ、シカに似た姿で描かれることもあった。角も、必ずしもまっすぐではなく、なだらかな曲線を描くこともあれば、弓なりになって後ろの方へ伸びていることもあり、はなの上に生えていることもあった。ユニコーンは、山のように大きいこともあれば、貴婦人のひざに乗るほど小さいこともあった。時には様々な動物のたいを混合させてできた生き物だった。ユニコーンと水には医薬的、宗教的な関係があるため、魚の尾をつけてかれることもあった。アジアでは時おりつばさを生やしていることすらあった。体の毛色も白色、ツゲのような黄褐色おうかっしょく、シカのような茶色と変わっていったが、最終的には、再びかがやくばかりの白色となった。中世ヨーロッパの『動物寓意譚どうぶつぐういたん』の中で、モノケロースとユニコーンはしばしば同じものとしてあつかわれるが、中にはそれぞれを別のものとして扱うものもある。その場合、モノケロースはたいがいユニコーンより大きく描かれ、角も大きく非常に長い。またモノケロースの挿絵さしえには処女が一緒に描かれていない。フランスの小説家のフローベールが『聖アントワーヌの誘惑ゆうわく』第七章の中で一本の角を持つ美しい白馬としてユニコーンを登場させ、現在ではその姿が一般的なイメージとなっている。ユニコーンは極めて獰猛で、力強く、勇敢ゆうかんで、相手がゾウであろうとおそれずに向かっていく。足が速く、その速さはウマやシカにもまさる。角は長く鋭く尖っていて強靭きょうじんであり、どんなものでもき通すことができた。例えば、セビリアの教会博士の聖イシドールスがいちじるした『語源集』第十二巻巻第二章第十二 – 十三節には、ユニコーンの強大な角のひと突きはゾウを殺すことができる。このユニコーンとゾウが戦っている挿絵が『クイーン・メアリー詩篇集しへんしゅう』に載っている。また、ドイツのスコラ哲学者、自然科学者のアルベルトゥス・マグヌスは『動物について』第二十二巻第二部第一章第百六節で、ユニコーンは角を岩で研いで鋭く尖らせて、戦闘せんとうそなえている。ユニコーンを人の力で殺しても、生けりにすることはできなかった。仮に生きたままらえられたとしても、らすことはできず、激しい逆上の中、自殺してしまう。さらに、アレクサンドリアの修道士、地理学者のコスマス・インディコプレウステースは『キリスト教地誌』第十一巻第七章の中で、ユニコーンは狩人に取り囲まれ、げ道を失った時、断崖だんがいから真っさかさまに身を投げ、その角を地面に突き立てて落下の衝撃しょうげきを和らげて、逃げると言っている。この逃げ方は、オリックス、アイベックス、ジャコウウシ、アルガリに見られるものである。大ポンペイウスはユニコーンをローマに連れて来て見世物にさせた。ユニコーンの角には水を浄化し、毒を中和するという不思議な特性があるという。さらに痙攣けいれんやてんかんなどのあらゆる病気を治す力を持っているという。この角を求めて人々は危険を覚悟して、ユニコーンを捕らえようとした。グリム童話の『勇ましいちびの仕立て屋』には、仕立屋が国を荒らすユニコーンを捕まえる場面が出てくる。仕立屋は、ユニコーンを激怒げきどさせると素早く樹の後ろに隠れた。そこへ怒り狂うユニコーンが仕立屋をめがけて突進とっしんするが、その武器である貴重な角をうっかり樹に突き(してしまう。こうしてユニコーンは、なわしばられ、王の所に連れて行かれた。エドマンド・スペンサーの『神仙女王』に出て来るライオンも、この方法を使ってユニコーンを出し抜いている。ユニコーンを捕らえるもう一つの方法は処女のむすめを連れて来てユニコーンを誘惑させて捕まえるというものだ。不思議なことにユニコーンは乙女に思いを寄せている。美しくよそおった生粋きっすいの処女をユニコーンのむ森や巣穴に連れて行き、一人にさせる。すると処女のかおりをぎつけたユニコーンが処女にせられ、自分の獰猛さを忘れて、近づいて来る。そして、その処女の膝の上に頭を置きねむり込んでしまう。このように麻痺まひしたユニコーンは近くに隠れていた狩人達で身を守る術もなく捕まるのである。しかし、もし自分と関わった処女が偽物ぎぶつだった場合は、激しく怒り狂い、自分をだました女性を殺してしまう。処女を好むことから、ユニコーンは貞潔ていけつを表わすものとされ、さらにはイエス・キリストが聖処女マリアの胎内たいないに宿ったことや、角を一本だけ有するユニコーンと神のひとり子とのアナロジーから、キリストにもたとえられた。しかし一方で、悪魔などの象徴しょうちょうともされ、七つの大罪の一つである憤怒ふんぬの象徴になった。レオナルド・ダ・ヴィンチは『動物寓意譚』の中で、ユニコーンはその不節制さのために自制することを知らず、美しき処女へのあいのために自分の獰猛さと狂暴さをわすれて乙女おとめの膝の上に頭を乗せ、そうして狩人に捕らえられると言っている。ここではユニコーンは不節制を象徴するものとされた。フランスの文学者、啓蒙けいもう思想家しそうかのヴォルテールは『バビロンの王女』第三章の中で、ユニコーンをこの世で最も美しい、最もほこり高い、最も恐ろしい、最も優しい動物として描いている」

「ロイヤルレインボー、あなたの出番です!」

光の女神がロイヤルレインボーに指示を送る。

「プリンセス・ロイヤルチャージ!」

ロイヤルレインボーがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「3,2,1,Go!」

とピュアロイヤルメイクドレッサーに輝きをチャージする。

 「愛よ、美しさよ、知性よ、友情よ、勇気よ」

ピュアロイヤルメイクドレッサーにロイヤルシードをセットすると、

「ロイヤルシード・セット!プリンセス・ロイヤル・ドレスアップ!」

金とぎんの光がつぼみたちを包む。

「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 ロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズが現れると、

 「今がチャンスだ!」

「心の輝きを信じて」

プリンセスドールズがロイヤルクリスタルロッドを手に持つと、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによるユニコーンの鎮静化ちんせいかが始まった。

「今こそ 力を一つに」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「美しく速く進め」

栄光えいこう つかむために」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「世界の人々に向けて」

「大きな声でさけぶよ」

「誰かのピンチ救うため」

「いつも」

「Don’t stop.」

「たとえつまづいたって」

「すぐに立ち直れる」

現在いまという時代」

「だからこそ」

「輝く未来 築こう」

「賢い人は頭脳ずのうを生かせ」

「勇気のある人 力を生かせ」

「今こそ 力を一つに」

「がんばれ Fight」

「はばたけ Flight」

「描いた夢目指して」

「大輪にほこさくら

あいいろのダイヤモンド」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「美しく速く進め」

「栄光 つかむために」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「私たちのバトン」

「あなたにつなぐために」

「夢と希望をもって」

「立ち上がる」

「Going on」

「パスを重ねて点を決めるんだ」

「ゴールのマウスにかぎをかけるんだ」

「今こそ 力を一つに」

「がんばれ Fight」

「はばたけ Flight」

「描いた夢目指して」

「黄金に光る太陽」

いくせんの星の子たち」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「世界で一つだけの道」

「夢に向かって走れ」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「一人ではやっていけない」

「私たちがいる」

「みんなもここにいる」

「一緒に エールを」

「エールを送ろう」

「がんばれ Fight」

「はばたけ Flight」

「描いた夢目指して」

「黄金に光る太陽」

「幾千の星の子たち」

「それいけ Fight」

「あっぱれ Light」

「秘めた力 信じて」

「世界で一つだけの道」

「夢に向かって走れ」

「がんばれ Let’s Go!」

「日本のBoys & Girls」

「今こそ 力を一つに」

「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ロイヤル・レボリューション!」

プリンセスドールズはロイヤルクリスタルロッドをユニコーンに向ける。すると、ユニコーンはおとなしくなった。

 「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

と、チララはプリンセスハートのありかに察知。そこにたどり着くと、

「キャッチ!」

とプリンセスハートの回収に成功する。

「これは、プリンセスハート・ラベンダーだ!」

 「それではみなさん、また次回輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言すると、ユニコーンは元の場所へと帰っていった。


 「ようやく最初のプリンセスハートを手にしたのですね」

「ありがとうございます」

これで一件落着かと思いきや、

「プリンセスドールズ、あなたたちにはおとぎの世界をめぐる冒険ぼうけんへと出てもらいます」

光の女神からつぼみたちにあることを告げられた。

「おとぎの世界はどんなところなのか、わくわくするね」

「これは行くしかないよ」

ちょうど今頃、ポートフロンティア学園は夏季かき休暇中きゅうかちゅうだ。つぼみたちは、おとぎの世界について気になるようだ。

 一方その頃、

「ざます、ざます…」

横中にもアクシアの声が聞こえてきた。

「まずいな、このままでは大変なことが起こる」

事態を受けて、藤村ふじむら刑事けいじはスマートフォンで晴斗に電話する。

「もしもし?」

「もしもし、何があったのか?」

「先ほど、闇の力を持っている魔女の声が聞こえてきた」

「これは、アクシアという名前の魔女だ」

「知っているのか?」

「そうだ」

晴斗はプラチナから、アクシアの存在を知ったそうで、

「より一層警戒心を強めなければならない」

と、藤村刑事は危機感をあらわにしたのであった。

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